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建築デザインの聖地、黒部峡谷。
日本屈指の絶景鉄道、黒部峡谷トロッコ電車の旅

2019.9.17
建築デザインの聖地、黒部峡谷。<br>日本屈指の絶景鉄道、黒部峡谷トロッコ電車の旅
新柳河原発電所
柳河原発電所を再建した新柳河原発電所。うなづき湖上に浮かぶ西洋の古城風の建築デザインが特徴的。1993年に運用開始
最寄駅:宇奈月駅(通行中)

全3回の《日本屈指の絶景鉄道、黒部峡谷トロッコ電車の旅》最終回は、建築デザインの観点から見どころを紹介する。黒部峡谷は実は建築の聖地。トロッコ電車に揺られながら大自然と共存する建築を眺めるのもこの旅の魅力の一つだ。

黒部川第二発電所(設計:山口文象)
一級河川の黒部川の水を電気へと変える日本電力の発電所として1936年に竣工(現在は関西電力が運営)。鉄筋コンクリート構造の建物は山口文象によって設計
最寄駅:鐘釣駅(通行中)

トロッコに揺られながら大自然と名湯に触れ合う黒部峡谷トロッコ電車の旅。峡谷内の絶景にそびえ立つ建造物も見どころ満載だ。

北アルプスの峡谷として知られ、豊富な水量をもつ黒部川は、大正時代から水力発電の適地として発電所建設が進められてきた。トロッコ電車の車窓からは、こうした発電所やダムを見ることができ、建物のデザインもひと際目を引くものがある。

小屋平ダム(設計:山口文象)
黒部川第二発電所に送水するために建設された高さ54.5mの重力式コンクリートダム。シンメトリーでシンプルなデザインが特徴
最寄駅:鐘釣駅(通行中)

その代表格が新柳河原発電所。宇奈月ダムの建設に伴い柳河原発電所を移設したもので、その特徴的な建築デザインは湖に浮かぶ西洋の城をイメージしたもの。中世ヨーロッパの物見の塔を思わせるつくりは一見の価値がある。

そのほか、黒部川第二発電所に送水する高さ50mを超える大型の小屋平ダム。いずれも近代日本建築運動のリーダーの一人で、モダニズムの建築デザインでありながらも和風建築の名手であったとされる建築家・山口文象氏によるものだ。

奥鐘橋
峡谷随一の絶景スポットとして知られ、黒部川本流に架かる高さ34mの朱色に塗られた奥鐘橋。欅平駅から祖母谷温泉へと向かう最初の橋となっており、橋の上から眺める景色は格別
最寄駅:欅平駅から徒歩約5分

さらには大自然の中に映える朱色の鉄橋など、建築目線からも見どころの多い、いわば建築デザインの聖地。自然の中で共存する建築や土木デザインも黒部峡谷のトロッコ旅の魅力のひとつなのだ。

文=板倉 環 写真=工藤裕之
2019年9月号 特集「夢のニッポンのりもの旅」

山口文象
建築家。1930~60年代にかけて活躍した、近代日本建築運動のリーダーの一人。バウハウス創立者の建築家ヴァルター・グロピウスのアトリエで働いた経歴をもつ。
《日本屈指の絶景鉄道、黒部峡谷トロッコ電車の旅》
1|絶景と名湯を求めてふらり途中下車
2|名湯に浸かり大自然と一体に
3|建築デザインの聖地、黒部峡谷

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