京都・丹後地方の美食・歴史・宿
和の源流を訪ねて都から“海の京都”へ【後編】
2022年に国登録の無形文化財に認定された京料理の一端を担う、食材豊かな“海の京都”丹後地方。丹後の食材を巧みに使いこなすレストランや寿司店、湖畔や海辺に建つホテル、土地の歴史を学べるミュージアムなど、この地を訪れたら立ち寄っておきたいスポットをご紹介。
京都・丹後地方の食文化のルーツは?
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《ガストロノミー》
炊きたてのご飯からはじまるコース
丹後のいまを独自に表現
「魚菜料理 縄屋」
室町和久傳で修業を積んだ吉岡幸宣さんは、2006年に地元に戻って和食店を開業。3年前からは客席数をカウンター8席に絞り、コース内容もがらりと変更。目の前の厨房でごうごうと火を吹くストーブに土鍋をかけ、そこで炊いたご飯からはじまる印象的なコースをつくり上げている。生産者と距離が近く、自身も山菜を採りに行く吉岡さんの料理は型にはまらない自在さが魅力。「新しき魚」と命名した魚2種の焼物もアレンジが利いている。炊きたてのご飯から〆のデザートまで楽しめるコースは1万6500円。
魚菜料理 縄屋
住所|京都府京丹後市弥栄町黒部2517
Tel|0772-65-2127
営業時間|12:00~、18:30~(昼夜ともいっせいスタートのため5分前に要入店)
定休日|火・水曜、ほか不定休あり
https://www.nawaya-restaurant.com/
※要予約
和食を愛するリカルドさんの味を
ポルトガルワインと一緒に
「西入る」
寿司7貫の付くコース料理を割烹スタイルで提供するのはポルトガル出身のリカルド・コモリさん、美穂さん夫妻。ポルトガルで日本食に出合ったリカルドさんは、本格的に学ぶために東京や京都の懐石料理店で勉強。満を持して2022年6月に店をオープンしている。寿司のシャリは、リカルドさんが宮津に根を下ろすきっかけをつくった飯尾醸造の赤酢を使用。近隣の漁港などで捕れた魚に仕込みを加え、楽しませる。選りすぐりのポルトガルのワインと一緒に味わうのが「西入る」流だ。先付からはじまる8品ほどの料理と寿司、そしてデザートが付くコースは1万6500円。
西入る
住所|京都府宮津市新浜1968
Tel|080-8370-4537
営業時間|18:00~21:00
定休日|水・木曜
https://nishiiru.com/
※2日前の17:00までに要予約
\まだまだある、海の京都の美食レストラン/
和食の充実ぶりもさることながら、丹後地方には休日に足を延ばしたくなるピッツァ専門店やイタリアンといった話題の店の存在も。四季を感じる暮らしの中で感性を磨くシェフたちの料理は身体の中から元気にしてくれそう。和洋の気になる店にぜひ訪れてみよう。
ピッツァ:藤原鮮魚店uRashiMa
住所|京都府京丹後市網野町浅茂川328-5
Tel|0772-72-3798
営業時間|11:30~19:00
定休日|木曜
イタリアン:aceto
住所|京都府宮津市字新浜1968
Tel|0772-25-1010
営業時間|18:00~23:00(最終入店20:30)
定休日|月・火曜
https://www.aceto.jp/
寿司:鮨 坐忘
住所|京都府宮津市日置3560-17
Tel|050-3181-6269(瑠璃浜アクティビティセンター)
営業時間|18:00~
定休日|月・火曜(祝日、祝前日は除く)
https://www.zabou.jp/
《ミュージアム》
丹後地方の歴史を物語る出土品で
土地のストーリーに思いを馳せる
「ふるさとミュージアム丹後」
丹後地方にはかつて有力な地方豪族が住んでいたといわれ、一帯には巨大前方後円墳をはじめとした1万基近くの古墳が確認されている。京都府全域の古墳は1万3000基以上あり、その大半が丹後にあることから、歴史ロマンにフォーカスした旅もいい。出土品は丹後の豪族が外交手腕に長けていたことを物語り、当時はヤマト王権から下賜されることが一般的だった銅鏡を、独自ルートで大陸から入手していた可能性も考えられている。「ふるさとミュージアム丹後」では、銅鏡や玉類といった古墳の出土品のほか、漁具の展示なども行っている。
ふるさとミュージアム丹後(京都府立丹後郷土資料館)
住所|京都府宮津市字国分小字天王山611-1
Tel|0772-27-0230
営業時間|9:00~16:30
休館日|月曜(祝日の場合は翌日休)
入館料|200円
https://www.kyoto-be.ne.jp/tango-m/cms/
《宿泊》
穏やかな湖畔のホテルに
プール付きのヴィラが3棟登場
「HOTEL&湖邸 艸花 -SOKA-」
水面がきらめく湖の眺めが広がるHOTEL艸花が、2022年4月に新たに3棟のプール付きヴィラ「湖邸 艸花」をオープン。大きなガラス窓のある眺望抜群の客室には、その景色を存分に楽しめるようソファを用意し、昼はそこでゆったりのんびり最高の気分に。夜は半露天の温泉でリラックス。料理は薪窯で焼くピッツアが好評。魚の旨みたっぷりのズッパ・ディ・ペッシェもおすすめ。
HOTEL&湖邸 艸花 -SOKA-(ホテル アンド こてい そうか)
住所|京都府京丹後市網野町小浜915-15
Tel|0772-72-1009
客室数|HOTEL 艸花-SOKA-16室、湖邸 艸花 -SOKA-3棟
https://soka-kyoto.jp/
我が家のような心地よさ
滞在型の旅を選ぶならここ
「HOTEL HOLIDAY HOME」
久美浜湾に面した「かぶと山公園」の一角にあるホテル。暮らしているような感覚に浸れる滞在をテーマにした客室は、薪ストーブのある2階建ての一軒家から、イギリスはコッツウォルズ地方の建物を再現したような洋館まで魅力的な空間ばかり。雑木林を望むレストランでは久美浜湾で捕れた魚料理のほか、期間限定(毎年11~3月中旬)でカニ尽くしのディナーも用意している。
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HOTEL HOLIDAY HOME
住所|京都府京丹後市久美浜町向磯2575
Tel|0772-83-3131
客室数|6室
https://holidayhome.co.jp/
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京都の魅力再発見の旅へ
1|和の源流を訪ねて都から“海の京都”へ
【前編】京都・丹後地方で美食旅
【後編】京都・丹後地方の美食・歴史・宿
2|なぜアーティストは“海の京都”へ?
【前編】河原シンスケが京都・天橋立に移住した理由
【後編】いま若手職人が京都・丹後を拠点にする理由
3|作家・柏井壽がひも解く!京都で“どうした家康”
【前編】徳川家康と京都の深い関係
【後編】徳川家康・明智光秀の面影をたどる旅
4|平安の女性たちの物語を巡る、作家・柏井壽の京都案内
【前編】女性たちの平安京
【後編】紫式部「源氏物語」の舞台・平等院へ
5|京都の料亭へ行こう
【前編】新旧が交錯する会席で“京料理の美”を堪能
【後編】京料理を支えるうつわ、もてなし、食材
text: Mayumi Furuichi photo:Takuya Oshima