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水の都・徳島の”ニューズド”な魅力に触れる!
温故知新の旅へ【前編】

2023.3.25 PR
水の都・徳島の”ニューズド”な魅力に触れる!<br> 温故知新の旅へ【前編】

徳島と聞いてどんなことを思い浮かべるだろうか? 阿波踊り、徳島ラーメン、お遍路さん、自然の中のサテライトオフィス、個性豊かな地酒、あるいは鳴門金時? そのどれもが徳島ならではの豊かなコンテンツと言えるが、何よりの魅力はエリアごとに息づく個性だ。
今回の徳島の旅では、徳島駅周辺の中心市街地、江戸時代の面影の残る港町、世界初の最新鋭の乗り物DMV(デュアル・モード・ビークル)など、豊かな魅力を放つ海沿いを中心とした徳島のイーストエリアの、懐かしくて新しいものをめぐる旅に出た。

水の都・徳島を学ぶ、新町川クルーズ

訪れたのは2月半ば。例年であれば厳しい寒さの続く時期だが、数日前から地元住民たちも驚くくらいの暖かな日が続いていた。マフラーと手袋を取り、上着を脱いでちょうどよい気候で、春を目の前に旅の気分が否応にも上がる。
最初に訪れたのは、徳島市内中心部を南北に流れる新町川周辺。このエリアは大小138の川が流れる、水とともに発展してきた街だ。徳島駅から市民の心の支えとなっている眉山をまたがるように流れる新町川は、水辺に親しみやすいように親水公園や遊歩道が整備されており、市民自慢の憩いの場となっている。
現在は、洪水から川岸や堤防を守るための護岸も整備されて水質も改善されたが、実は、高度経済成長期は汚され放題。その結果、ヘドロまみれで、30年ほど前まで阿波踊りの日には、川に消臭剤が散布されたという逸話も残るほどで、人々は川に背を向け暮らしていたこともあったという。

特定非営利活動法人新町川を守る会会長であり、現役の船長として舵を握る中村英雄さん

新町川の再生に向けて積極的に取り組んだのは、1990年に会長・中村英雄さんを中心に、10名で発足された特定非営利活動法人新町川を守る会だ。きっかけは、市内で生まれ育った中村さんが、幼少期から新町川で楽しんだ筏レースを企画した際、そのあまりの汚さに驚いたことにはじまる。
「1990年3月に発足してから、毎月欠かさず新町川の掃除をしてきました。“石の上にも三年”といいますが、10年ほどで川がきれいになってきました。いまは若い人や企業の参加もあり、自分たちの地域の川をきれいにしようという想いが育ってきたように思います」と、川への想いと取り組みについて教えてくれた。
こうした取り組みの甲斐あって、近年徳島は川を中心に街づくりが進められ、川辺には人が戻ってきた。中村さんたちの活動の特徴は、行政に頼らずに住民が率先して活動を続けてきたこと。
「住んで楽しい街にしたいという夢をもってやってきました。掃除だけでなく飲み会といった、遊びなどの楽しみも交えたことで続けてこられたのだと思います」と朗らかに笑う。

新町川を訪れたらぜひ、中村さんが船頭のオープンエアのクルーズ船で航行する「ひょうたん島クルーズ」に参加してほしい。ひょうたん島の名前で親しまれる所以は、市中心部のかたちが何本もの川に囲まれた、ひょうたんに似ていることから。
オープンエアのクルーズ船が進行する両岸には、街の成り立ちがわかる名所旧跡など、風光明媚な風景が広がる。この辺りは土地が低いため橋も低く水面に近い。クルーズ船が橋をくぐるたび、船頭が「頭を下げて!」と声を掛け航行する様はスリル満点。徳島の温故知新を訪ねる約30分のクルーズだ。

ひょうたん島クルーズ
料金|大人400円、子ども200円 ※定期便は11:00から40分間隔。最終便は15:40まで
問|090-3783-2084(新町川を守る会)
http://www2.tcn.ne.jp/~nposhinmachigawa/

“水”を生かしたにぎわいは、
倉庫街「万代中央ふ頭」から生まれる

徳島駅から車で5分ほど、新町川河口に近い万代中央ふ頭にある港湾倉庫群の再生が、近年話題となっている。
万代中央ふ頭は1960年代頃より海上交通の要衝として栄えた場所。船舶の大型化や施設の老朽化に伴い、港が沖合に移転し、物流拠点としての機能を次第に失っていった。いまでは当時の繁栄の面影を伝える500mほど続く倉庫街だけが残り、カフェ・レストラン、古着店、インテリアショップやスポーツジム、民営公園などに機能転換し、活気を取り戻しつつある。

NPO法人アクア・チッタの理事・事務局を務める岡部斗夢さん

その動きを先導するのが、NPO法人アクア・チッタ。理事・事務局の岡部斗夢さんは、2005年の設立以来、万代中央ふ頭エリアの現状を憂い、再生に知恵を絞ってきた。ふ頭の魅力に少しでも触れてほしいと、2005年から開催を続ける「アクア・チッタフェスタ」のほか、2014年には「倉庫からSOCO」をキーワードに、建築家や知識人を招いて「全国倉庫サミット」なども開催。岸壁で生演奏に合わせて花火があがる「音楽花火」やフードイベントを企画するなど、その動向は見逃せない。
万代中央ふ頭の魅力のひとつは、徳島市の中心市街地からアクア・チッタなどが入居する万代中央ふ頭倉庫街まで「ひょうたん島クルーズ」、「ひょうたん島水上タクシー」で乗り付けることができるところ。徳島観光で水辺のアクティビティとしても人気を博している。

特定非営利活動法人アクア・チッタ
住所|徳島県徳島市万代町5-71-4
Tel|088-679-8001
Mail|npo@aquacitta.com
https://aquacitta.com

“四国の右下”に世界初の乗り物がある!?

徳島県内を列車や車で走っていると、車窓には美しい里山の風景が広がる。その景色は、繁華街から離れれば離れるほど、より味わい深いものになる。お遍路さんを迎えた宿場町は、半世紀前のディスカバージャパンブーム当時と少しも変わらない温かな風情で訪れる人を迎え入れてくれる。と同時にマイカー時代の幕開けとともに、ツーリストたちの憩いの場として賑わった懐かしい佇まいのドライブインも、峠の途中でいまもひっそりと営業を続ける。
町と町、そしてそこで暮らす人と人を結ぶためには移動手段は欠かせない。どうしてもマイカーやレンタカーが中心になるが、子どもやお年寄りにとっての安全で快適な移動手段は、公共交通機関だろう。
いま、“四国の右下”(県南部)といわれるエリアに、世界初の本格営業運行となる阿佐東線「DMV」(デュアル・モード・ビークル)が走行し注目を集めている。DMVとは、道路と線路の両方を走る乗り物。道路ではバス、線路上では鉄道として乗り換えをすることなく利用できる、非常に便利な公共交通機関だ。青、緑、赤と鮮やかなカラーリングが施された、マイクロバスを改造して開発されたボンネットバスのような見た目とは裏腹に、ひとたび走り出せば機能性の高い未来の乗り物というギャップがユニーク。

DMVの始発駅、阿波海南文化村のバス停で、まずはバスとして乗車。のどかな町中を抜けると、阿波海南駅からは線路に接続! 車内では地元高校生による阿波海南太鼓の演奏が流れる中、線路上に鉄車輪が現れて、バスモードから約15秒で鉄道モードにモードチェンジ。鉄道モードでは、マイクロバスが線路の上を走っているような不思議な乗り心地で、海沿いのトンネルをくぐったりと、約20分の鉄道旅を味わえる。
列車とバス、ふたつの乗り心地を下車せずに味わえるのは、世界広しといえども“四国の右下”だけ。過疎化が進む町の貴重な足として地域住民の暮らしを支えながら、地域活性化、そして災害時に早期復旧可能なインフラとしての役割も期待される。全国の鉄道・バスマニアも熱視線を送る乗り物で、席数に限りがあるため、乗車にはオンラインなどで事前予約が安心だ。

阿佐海岸鉄道
住所|徳島県海部郡海陽町宍喰浦字正梶22-1
Tel|0884-76-3701
https://asatetu.com

また、“四国の右下”では、DMV+1としてDMVとともにプラス1の観光事業を推進している。訪れる際は、ぜひ地域の観光局のウェブサイトなどの事前チェックをおすすめしたい。サイクリングやSUP、サーフィンなどの豊かな自然を生かしたアクティビティのほか、伊勢海老、アワビ、サザエ、そして阿波尾鶏、阿波ジビエなどのグルメ情報はもちろん、祭りなどの郷土探訪まで多彩かつ実用的な情報が満載だ。
中でも注目したいグルメは、とろけるような甘さが特徴の伊勢海老。水揚げをする日和佐町漁港は、資源管理型漁業に取り組む漁港として知られる。操業日数や網数の制限、捕獲量・漁獲サイズの規制など、海産資源を守る長年の活動が功を奏し、伊勢海老は県下25~30%ほどのシェアを誇るという。その日和佐町漁港の目の前にある飲食店「てこ屋」では、冬の解禁に合わせて、伊勢海老のお造りがいただけるため、ぜひ味わっていただきたい(要予約)。

てこ屋
住所|徳島県海部郡美波町日和佐浦41-1
Tel|0884-77-0073
営業時間|11:30~13:00、17:30~20:00
定休日|月曜

お遍路(四国八十八ヶ所)の、第二十三番霊場で厄除寺として知られる薬王寺の門前町、そして漁村として栄えた日和佐の町並みの中でも、ひと際美しい外観をもつ建物がある。築114年の元銭湯を活用した「あわえ美波本社」は、IT企業サイファー・テックの吉田基晴さんが自身の生まれ故郷である日和佐で、2012年に設立したサテライトオフィス。「昼休みにサーフィンが楽しめる」という採用手法が話題になり注目を集めたことも記憶に新しい。全国にある営業所ではサテライトオフィス誘致支援や、都会に暮らす家族でもローカル暮らしを体験できる「デュアルスクール」など地方創生に取り組む。お年寄りが多く暮らす港町にある日和佐では、スマートフォンの操作法など身近な相談所としても親しまれる。旅の途中で困ったときや、静かな港町でのワーケーションスポットとして心強い味方にもなってくれるだろう。

あわえ 美波本社
住所|徳島県海部郡美波町日和佐浦114
Tel|0884-70-5831
https://awae.co.jp

地元住民たちの努力で復活した徳島市内の豊かな水辺の風情、歴史ある港町風情を残した街歩きが楽しいレトロな港町、地元と移住者が手を携えて歴史あるものと新しいものを融合させた活気ある暮らし、そして掛け替えのない豊かな自然。徳島のイーストから“四国の右下”への楽しみとポテンシャルは驚くほど高い。

いまなら徳島をお得に旅をするのに有効活用したい「みんなで!徳島旅行割」の利用ができるため、この機会にぜひ“四国の右下”の魅力に触れてみてほしい。
地域特有の個性を残しながらアップデートして新しいものをつくるのは、サステナブルの観点からも、現在の世界的な潮流だろう。藍や塩などの発酵文化に代表されるように、自然を通して豊かな文化や暮らしを育んできた歴史をもつ徳島県。歴史ある風土や自然とともにある、いまも変わらない人々の暮らしから、新しくて懐かしい豊かな魅力がみえてきた。

読了ライン

ワインバー「ミルアン」の猫の看板は、宿泊施設「お宿 日和佐」のオーナーでアーティストのジャン・フィリップ・ボーデさん作

 


まだまだある!イースト徳島温故知新の旅へ
 
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text:Takashi Kato

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