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アイヌ×越前
世界に誇る新たな工芸が生まれます!

2023.3.6 PR
アイヌ×越前<br>世界に誇る新たな工芸が生まれます!

美しい装飾と精緻な技を凝らしたアイヌ工芸。そのつくり手が暮らす北海道釧路市・阿寒湖アイヌコタンと、和紙や漆器の産地である福井県の越前エリア、ふたつの地域の掛け合わせで、どんな工芸が生まれるのだろうか。

渋谷パルコ・Discover Japan Lab.では2023年2月14日(火)〜3月13日(月)まで、アイヌ工芸作家のクラフト展を開催中!

右)アドバイザー・山田 遊
バイヤー。IDÉE のバイヤーを経て、2007年に「method」を設立。「燕三条 工場の祭典」の企画・立案を行うなど、活動は多岐にわたる。
中)アイヌ作家・平良智子
北海道阿寒湖温泉育ち。祖母はアイヌ文化伝承者として活躍した四宅(したく)ヤヱ。幼少時よりアイヌ古式舞踊に親しみ、20代よりアイヌ刺繍をはじめた。
左)山次製紙所・山下寛也
越前手漉き和紙の伝統工芸士で山次製紙所の6代目。オリジナル和紙「浮き紙」を使った商品開発のほか、オーダーメイドによる「ヒロヤペーパー」を提供。

アイヌと越前が出合い、生まれる唯一無二の工芸

北海道東部に位置する阿寒摩周国立公園内には、アイヌ工芸の一大拠点・阿寒湖アイヌコタンがある。観光地・阿寒湖温泉の一画で、アイヌ作家たちが民芸品をつくり販売する店舗兼工房や、アイヌ料理を提供する飲食店が軒を連ねる集落だ。
さまざまな動物や植物、火、水、太陽などをカムイ(神)として大切にしてきたアイヌの人々。自然を尊び、自然と共生してきた彼らは、木材や樹皮、動物の皮といった自然素材から、うつわや着物などをその手で生み出してきた。

そんな独自の世界観や文化を背景に、現代の感覚も取り入れたアイヌのものづくり。それをより多くの人に広め、新たな可能性を切り開こうと、他地域とのコラボレーションを開始。’22年度は、越前和紙と越前漆器の産地として知られる福井の職人との共作が決定した。遠く離れたアイヌ作家と福井の職人らを引き合わせたのは、全国のものづくりに精通したバイヤーの山田遊さんだ。

「山次製紙所の手漉き和紙『浮き紙』は、アイヌ文様と相性がよい」と確信した山田さんが和紙職人・山下寛也さんに声を掛け、阿寒湖アイヌコタンからは刺繍作家・平良智子さんとアイヌ工芸作家・郷右近富貴子さんが参加した。

ものづくりのはじまりは
全国唯一の紙の神さまを祀る神社へ

「紙祖神 岡太神社・大瀧神社」を訪問し、手を合わせる平良さん。1843年に建設された社殿には、龍などの彫刻が至るところに施されており、国の重要文化財にも指定されている

今回のコラボレーションにあたって、山田さんと平良さんが実際に越前を訪問。まずは、約1500年前に紙漉きの技をこの地に伝えたという川上御前が祀られている「紙祖神 岡太神社・大瀧神社」へ。その後、同じ越前市内にあり、山次製紙所とも親交の深い「滝製紙所」や「石甚製紙所」も訪問し、メーカーごとの和紙の質感や製法の違いを学んだ。

1875年に創業した「滝製紙所」。伝統工芸士の瀧英晃さんを中心に、手漉きと機械抄きの両方で大きなサイズの和紙を製造している。写真は、和紙に穴の開いた文様をつけるため、乾く前の和紙に水を落としていく様子
「滝製紙所」の和紙は、伝統技術を守りながら新たな和紙の表現を追求することで、ラグジュアリーホテルや一流メゾンの内装、銘菓の包装紙など、広く採用されている
1953年創業の「石甚製紙所」では、伝統工芸士・石川和伸さんが、紙料をすくい上げた後、水平にして前後左右に細かく振り動かして紙を漉く「溜め漉き」と呼ばれる技法で、1枚ずつ丁寧に和紙を制作する

凹凸を表現した越前和紙をアートに昇華

紙の神さま・川上御前の伝説が残る、越前市今立地区にある「山次製紙所」。「ねり」を用いる流し漉きを中心に、日本酒ラベルやオリジナル和紙などを制作している。さらには、独自開発の和紙「浮き紙」を貼った茶缶などのプロダクトも展開。奉書紙など、手漉きの装飾和紙の製紙所として創業した技が生きる。
山次製紙所を訪れたアイヌ刺繍作家の平良さんも、実際に手漉き和紙づくりを体験。紙漉き職人兼デザイナーの谷口美紗貴さんに教えてもらいながら、和紙がどのように制作されているのかを学んだ
渦巻きのような「モレウ」など、伝統的なアイヌ文様で構成された平良さんのデザイン画を、山次製紙所が浮き紙で忠実に再現。完成した浮き紙に、平良さんがひと針ずつ刺繍を施し、作品を仕上げる
今回のコラボレーションでは、山次製紙所と平良さんのコラボレーションで生まれた浮き紙を用いて、山次製紙所の定番アイテム・茶缶も制作
色違いの浮き紙を使ったカードケースも。デザイン性にも実用性にも長けた逸品で、気軽にアイヌのデザインを楽しんで

越前漆器でアイヌの歴史と文化を表現

山田遊さん(左)と、越前漆器の産地・福井県鯖江市の「ろくろ舎」の代表であり、木地師の酒井義夫さん(右)。「酒井くんは、もともと北海道出身ですし、アイヌ文化にも理解が深い。だからこそ、彼にお願いすると、すてきなものが生まれると思ったんです」と山田さん

アイヌ刺繍作家と越前和紙職人によるコラボレーションが進む一方、木彫作家の床州生さんと渡辺澄夫さんは、福井で木地師の技術を継承する「ろくろ舎」とのものづくりが進行中。アイヌには、北前船との交易で北陸地方などから入手した漆器を宝物として大切にしてきた歴史がある。時を超えた新たな出合いによる工芸コラボの動向に、今後も注目したい。

読了ライン

酒井さんがろくろを挽き、土台となる木地を制作。越前漆器は分業制のため、後に木地は塗師に託される
黒漆拭き漆仕上げの汁椀(左)や生拭き漆仕上げの飯碗(右)は、ろくろ舎の主力製品のひとつ。高台が高く存在感のあるかたちは、手のひらにフィットしやすく使いやすさも抜群だ
ろくろ舎が挽いた木地に、塗師が下地・中塗を行った汁椀と酒器。この後さらに上塗りを重ね、蒔絵でアイヌ文様の装飾を施す。うつわのフォルムは、アイヌ民族の儀礼で使われる祭具をイメージした
塗りの工程は、塗師屋「古代匠 畠中」が行い、塗師によって、丁寧に何度も塗りの工程が繰り返されていく。均一の厚さにぬる熟練の技に加え、温度や湿度の緻密な管理が必要になる重要な工程だ
越前漆器の最後の工程では、蒔絵工房「駒本蒔絵工房」が漆などを用いて文様を施す。今回のコラボレーションでは、アイヌ文様をうつわの内側に描いたものと、側面に描いたものの2種類を制作する

渋谷パルコでアイヌの手仕事に出合う
特別展が期間限定で開催中!

渋谷パルコのDiscover Japan Lab.では、2023年2月14日(火)〜3月13日(月)にかけて、阿寒湖アイヌコタンの作家たちがつくる、木彫り作品や刺繍作品、マキリ(ナイフ)、ジュエリーなどが並ぶ特別展を開催中。有田焼とのコラボレーションで誕生したアイヌ文様のうつわも店頭に並ぶ。普段は現地でしか入手できないレアアイテムもあるため、お見逃しなく!

AKAN AINU ARTS & CRAFTS→NEXT × Discover Japan 特別展 2023
会期|2023年2月14日(火)~3月13日(月)
場所|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※最新情報は公式Instagram(@discoverjapan_lab)などで随時紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

開発中の工芸品の最新情報や阿寒湖アイヌコタンの作家情報は「AKAN AINU ARTS & CRAFTS → NEXT」をチェック!

 

≫公式サイトはこちら

 

text: Makiko Shiraki(Arika Inc.) photo: Nik van der Giesen
2023年4月号「すごいローカル見つけた!」

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