兵庫県三木《三寿ゞ刃物製作所》
日本最古の“鍛冶のまち”で受け継ぐ、洗練されたデザインの伝統包丁

2023.2.14
兵庫県三木《三寿ゞ刃物製作所》<br>日本最古の“鍛冶のまち”で受け継ぐ、洗練されたデザインの伝統包丁

日本屈指の金物産地である兵庫県三木市。約1500年前にまで遡る日本で最も古い“鍛冶のまち”にて、伝統的な製法で包丁をつくる「三寿ゞ刃物製作所」。よく切れて錆びない「ステンレス割込包丁」の元祖でもある三寿ゞ刃物の包丁づくりとその背景に迫る。

江戸時代から続く“鍛冶のまち”

兵庫県の中南部に位置する三木市は、美嚢川(みのうがわ)沿いに築かれた播磨三大城のひとつである三木城を中心とした城下町として形成。江戸時代からこの地を中心に金物の生産が盛んとなり、町の主要産業として今日まで発展を続けてきた。

そんな町が誇る伝統の三木金物のシンボルに「金物鷲」がある。1932(昭和7)年、三木町(現三木市)は梅雨末期の豪雨により大水害に見舞われた。池の決壊をはじめ美嚢川も氾濫し、町は大きな被害を受けた。その翌年、水害によって沈んだ町民の気運を盛り上げようと、町民などからアイデアを募集し、その中の提案としてあったのが「三木金物を組み合わせてつくられた大鷲」と伝えられている。
時は過ぎ、1952(昭和27)年、三木金物見本市(現金物まつり)において、当時のモデルをもとに「初代金物鷲」を発案したのが、三寿ゞ刃物の創業者・鈴木信次氏だ。完成した金物鷲は大変美しく、見るものを唸らせたという。
1967(昭和42)年には昭和天皇、皇后両陛下も御観覧され、その後はアメリカのニューヨーク・ナショナルハードウェアショーや、ドイツのケルンにある国際ハードウェアメッセなどへの海外展示も行われた。
金物鷲の「両翼を羽ばたかせて岩場を飛び立とうとする大鷲の雄姿」は、戦後の沈んだ気運を打ち払い、日本のみならず世界へも羽ばたくきっかけとなった。今日に至るまで三木金物の伝統と誇りのシンボルとなっている。

三木金物のシンボル「金物鷲」

初代金物鷲と創業者の鈴木信次氏

三木の伝統技術をいまに伝える

三寿ゞ刃物 三代目・宮脇大和さん

三木金物の象徴でもある金物鷲を発案した鈴木信次氏は戦後すぐに三寿ゞ刃物製作所を起業する。京染店からの転業だが“鍛冶のまち”という環境のよさが大きな要因と言える。以降三代にわたって硬度が非常に高い職人向けの最高級品や気軽に使用できる家庭用万能包丁など、あらゆるニーズに応じた製品を手づくりしている。

包丁製造に転業するきっかけとなるもうひとつの大きな要因として、新たな鋼材の採用がある。それまでの和包丁といえば刃物鋼と地金(軟鉄)を鍛接して作られていた。鋼は硬いが地金によって柔軟性にも優れているため、切れ味が持続しつつも折れにくいという特徴を持っている。しかしブレード全体が錆びやすいため、海外製のオールステンレス包丁に取扱いやすさの面では劣っていた。
戦後、ステンレスと刃物鋼(正鋼)を接着する技術が開発されると鈴木信次氏はステンレスで刃物鋼を挟み込んだ鋼材を日本で初めて包丁の材料として採用したのである。“錆びにくいステンレスと切れ味の良い正鋼の特徴を持ち合せた包丁”という、当時としては画期的なアイデアを用いて1946(昭和21)年にステンレス正鋼割込の“三寿ゞ庖丁”は誕生した。

包丁は一つひとつ手づくり。日々の努力から積み重ねた職人の感性で細部にまでこだわりが光る
「包丁は疲れにくい道具であるべき」という考えから、あらゆるシーンを想定した理想的なカタチを生み出した三寿ゞ型
使いやすさを追求した結果、洗練された美しいデザインに
プロの料理人にとって包丁は料理の出来栄えを左右する大切な道具。三寿ゞ刃物では、一般家庭でも毎日の料理がワクワク出来る自分だけの包丁になるよう、名入れサービス(有料)を行っている
文様が美しい積層鍛地・和菜切包丁。ブレードは極限まで薄く研ぎ上げて切れ味に持続性を持たせている。ハンドルは和包丁を代表する水牛八角柄で握りやすさとバランスを両立。1万5730円
サンドイッチナイフのデザインも洗練された美しさを放つ。1万6500円

刃物はプレゼントとしても最適だ。古来より式典でのテープカットや新造船の推進式、ウェディングケーキのカットなど、物事のはじまりには魔を断ち切る縁起物として、しばしば刃物が使われてきた。引っ越し祝いや結婚祝い、母の日など、お祝いごとのギフトとして名前入りの包丁を贈ってみてはいかがだろうか。

「ひと昔まえは、誰でも刃物を研ぐことが出来ました。現在では、子供がケガをしないように刃物を遠ざけることが多くなりましたが、幼い頃から刃物に触れることで、手先が器用になり、豊かな創造力を養うことに繋がります。刃物づくりへのこだわりをもっと広く知っていただき、便利で身近な道具として多くの方に使っていただきたい」と語るのは三代目の宮脇大和氏。

豊かな食材が揃う日本で、素材本来の味を最大限に生かした調理が出来るように、より美しく、より使いやすい道具を選ぶことは、心の豊かさにも繋がっていくはずだ。

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三寿ゞ刃物製作所の包丁を
渋谷パルコとオンラインで手に入れよう!

三寿ゞ刃物の包丁は、渋谷パルコのDiscover Japan Lab.と公式オンラインショップにて購入できます。名前入りの特別なギフトとして贈ってみてはいかがでしょうか。

Discovere Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00〜21:00
定休日|不定休
※新情報は公式Instagram(@discoverjapan_lab)などで随時紹介しています。ぜひチェックしてみてください。

 

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