TRADITION

美しい所作 – 食事

2021.1.5
美しい所作 – 食事

武士の時代までさかのぼらずとも、昔は祖父や父が席について箸を取り上げるまで食事がはじまりませんでした。自然に家庭で身についていた箸使いもきちんとできていない人が意外に多い。和食の場合、箸にはじまり、箸に終わるともいわれ、「箸先五分、長くて三寸」との言葉が示すように、箸先の汚れを最小限に留めることも重要です。

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教えてくれた人
小笠原 敬承斎(おがさわら・けいしょうさい)
東京都生まれ。小笠原忠統前宗家(小笠原惣領家32世)の実姉・小笠原日映門跡の真孫。聖心女子専門学校卒業。英国留学の後、副宗家を経て、平成8年に小笠原流礼法宗家に就任。礼法の普及のため、各地で指導・講演、執筆活動を行っている
https://www.ogasawararyu-reihou.com

「人前にて飯喰い候様さまざま申し候えども前々申し候ごとく貴人を見合わせて喰うべし」
=食事は、相手の気持ちや食べるスピードに合わせることが最も大切である

いまさら聞けない!
正しい箸の持ち方

箸の扱いを見れば、その人の育った環境がわかる、といわれる。親から子、子から孫へ、箸のしつけは日本人なら正しく継承していきたいものだ。正しい箸使いを身につけることは、相手に不快感を与えない美しさがあるばかりでなく、細かいものを取る、裂く、ちぎるなどの動作が容易になる利点もある。

一本は人さし指と中指で挟んで親指を添え、もう一本は薬指で支える
使うときは親指を軸にして、人さし指と中指で挟んだ上の箸を動かす

椀を持って箸を取る

①椀を両手で取り上げる
②左手で底を持ち、指先が離れないようにする
③右手を椀から離し、箸を取り上げる
④左手の中指を浮かせ、取り上げた箸の中間あたりを左手の隙間に挟むようにする
⑤右手は箸から離さず滑らせて動かし、下に回して持ち直す
⑥挟んだ指から箸を離す

椀を置くときは……

①先ほどとは逆順で。椀を持つ左手の中指を底から少し浮かせ、右手の箸の中間あたりを挟む
②右手を箸の下から上に滑らせて移動させる
③挟んだ指から右手で箸を外し、静かに箸置きに置く
④両手で椀を膳に戻す。両手の指先が離れないように気をつける
⑤椀の蓋を閉めると食事完了とみなされる

美しい所作
所作の基本3種 1/6公開予定
姿勢

食事

text:Ayano Nomizu photo:Akito Ochiai
2016年4月「30分で納得 ニッポン文化集中講座 マナー」


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