美しい所作 – 食事
武士の時代までさかのぼらずとも、昔は祖父や父が席について箸を取り上げるまで食事がはじまりませんでした。自然に家庭で身についていた箸使いもきちんとできていない人が意外に多い。和食の場合、箸にはじまり、箸に終わるともいわれ、「箸先五分、長くて三寸」との言葉が示すように、箸先の汚れを最小限に留めることも重要です。
教えてくれた人
小笠原 敬承斎(おがさわら・けいしょうさい)
東京都生まれ。小笠原忠統前宗家(小笠原惣領家32世)の実姉・小笠原日映門跡の真孫。聖心女子専門学校卒業。英国留学の後、副宗家を経て、平成8年に小笠原流礼法宗家に就任。礼法の普及のため、各地で指導・講演、執筆活動を行っている
https://www.ogasawararyu-reihou.com
「人前にて飯喰い候様さまざま申し候えども前々申し候ごとく貴人を見合わせて喰うべし」
=食事は、相手の気持ちや食べるスピードに合わせることが最も大切である
いまさら聞けない!
正しい箸の持ち方
箸の扱いを見れば、その人の育った環境がわかる、といわれる。親から子、子から孫へ、箸のしつけは日本人なら正しく継承していきたいものだ。正しい箸使いを身につけることは、相手に不快感を与えない美しさがあるばかりでなく、細かいものを取る、裂く、ちぎるなどの動作が容易になる利点もある。
椀を持って箸を取る
椀を置くときは……
text:Ayano Nomizu photo:Akito Ochiai
2016年4月「30分で納得 ニッポン文化集中講座 マナー」