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日本のアドベンチャーツーリズム
|「自然×文化」が生み出す大きな可能性

2026.9.1
日本のアドベンチャーツーリズム<br>|「自然×文化」が生み出す大きな可能性

「量」ではなく「質」を重視するアドベンチャーツーリズム(AT)で地域の魅力を守り、伝えることが未来を支える力になる。日本ならではのATが地域の価値を高める仕組みについて考える。

日本アドベンチャーツーリズム協議会 事務局長
大澤幸博(おおさわ ゆきひろ)
観光関連団体や教育研究機関、観光業界企業とともに、日本におけるアドベンチャーツーリズムの認知向上と普及、人材育成などに努めている。

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多様な自然×文化コンテンツを
楽しめるのは日本だけ?

国土が南北に長く、変化に富んだ地形と多様な気候によって、四季折々の表情を見せる豊かな自然がある日本は、ATの目的地として高いポテンシャルを秘めている。地域特有の自然とそこで生まれた精神や文化の結び付きが強い。2023年には、約60の国・地域からAT関係者が集う「アドベンチャートラベルワールドサミット」がアジアではじめて、北海道で開催されたことからも、日本のATへの関心の高さがうかがえる。

「ただ、自然豊かな場所は世界にたくさんありますから、自然そのものだけで世界と勝負するのは難しいでしょう。そんな中で日本ならではの最大の強みは、自然と精神文化との融合にあるといえると思います」

修験道を中心とした山岳信仰を象徴する出羽三山(羽黒山、月山、湯殿山)は、「アドベンチャーウィーク東北2025」でも注目を集めた。写真は羽黒山頂にある三神合祭殿

日本には、美しくも厳しい自然の中で育み、守り続けてきた伝統や文化が各地にあり、それらが風土として根づいている。
「精神性や生活文化が自然と強く結び付いているからこそ、その地域でしか体験できないものがたくさんあります。それこそが日本のATの魅力です」
日本は国立公園であっても人が暮らしているなど、自然と共生する人の営みそのものがコンテンツとなる。

〈精神文化〉
自然と結び付いた信仰
古来、日本人は厳しい自然の中に神仏を見出し、畏敬の念を抱く独自の精神文化を育んできた。出羽三山(山形県)、伊勢神宮(三重県)から熊野三山(和歌山県)へ通じる熊野古道をはじめ、各地に残る山岳信仰や巡礼の道は、その精神文化をいまに伝えている。

〈食文化〉
四季に応じた固有の食
地域固有の気候風土に根ざした食文化もATの重要な要素。単に食事を楽しむだけでなく、生産者との交流や農作業体験などから、守り伝えられてきた食の背景にある地域の暮らしに触れることで、そこでしか味わえない四季の恵みを深く知ることができる。

〈地形と四季〉
南北に長い地形と多様な気候
亜寒帯から冷温帯、暖温帯、亜熱帯までの広い気候帯にまたがる日本の自然は多様性に富み、さまざまなフィールドがATの舞台となる。また四季の移り変わりがあるため、同じ場所でも時期によってまったく異なる景色と体験を生み出すのも、日本ならではの魅力。

訪れた地域の
持続可能な未来を考える

地域の個性や本質を深く理解するATの人気は年々、世界的に高まってきている。その背景には、物見遊山的な消費型から持続可能な循環型へと、観光の在り方や旅のスタイルが変化していることが挙げられる。

「AT旅行者は知的好奇心が旺盛で、地域貢献への意識が高い方が多いのが特徴です。彼らは、自分にとって価値があると思うものに投資する、つまりお金を使うことを惜しみません。彼らが地域で消費するお金は、単に事業者の利益になるだけでなく、その地域の自然や文化の保全と利活用の好循環をもたらします。その結果、地域の価値は高まっていき、地域住民の誇りを醸成することにもなるでしょう」

大切なのは、地域がもつ貴重な資源を単に保護するだけでなく、適切に利用し、得られた対価を保全へと再投資すること。ATを通して地域の資源を「守るために大切に使う」ことは、地域の持続可能な未来へとつながっている。

アドベンチャーツーリズムの心得

①日本全国、365日が旅の舞台です
各地に固有の自然環境に応じた生活文化が根づいている日本では、人が暮らしている場所のすべてが旅の目的地になり得る。またATのコンテンツとしては日常の営みにこそ価値があるため、365日いつでも、そのときだけの特別な旅を提案できる。

②できるだけ長期で地域に滞在すべし
住民との交流を楽しみながら、その土地の歴史やライフスタイルを体感することで地域文化の本質を理解するには、長期滞在が望ましい。欧米から来日するAT旅行者の場合は、1~2週間の滞在を好む傾向にある。

③地域に還元されるコト・モノに
お金を使うのがおすすめ
食事や宿泊はもちろん、地元ガイドや体験プログラムへの支払いなど、AT旅行者の支出は、地域に直接還元される割合が高い。安さではなく本質的な価値に正当な対価を支払うことで地域経済に貢献できるのはもちろん、資源の保全と利活用の好循環を支えることにもなり、地域の持続可能な未来を守ることにつながる。

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いま、観光庁がATを推進する理由
 
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アドベンチャーツーリズムってなんですか?
01|アドベンチャーツーリズムとは?
02|日本の「自然×文化」が生み出す大きな可能性

text: Miyu Narita
2026年8月号「海へ 山へ」

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