建築家・中村好文の
〈木の建築・家具 代表作品〉5選
設計事務所「レミングハウス」を主宰し、住宅設計を中心として、美術館、記念館をはじめ宿泊施設や店舗など多岐にわたる建築設計を手掛けてきた中村好文さん。今回は、木という素材を愛し、風景に寄り添いながら、居心地のよさをかたちにしてきた中村さんの実際に訪ねることができる店舗や記念館を5つご紹介しよう。
01|吉田牧場「FUN」
牧場ならではの循環型建築!

吉田牧場は、岡山県は吉備高原にあるチーズ農家。誠実で妥協のないチーズづくりに定評があり、全国にファンが多い。ショップや熟成庫などを兼ねた施設は昨年完成した。「外壁は牧場の牛の糞で仕上げたので『FUN』と名づけました。乾けば匂いもしません」と中村さん。
吉田牧場「FUN」
住所|岡山県加賀郡吉備中央町上田東2390-3
Tel|0867-34-1189
建築面積|83.79㎡
増築延床面積|123.16㎡
構造|木造
施工|タブチ
用途|店舗
竣工|2024年9月
Instagram|@yoshida_dairy_farm
02|レストラン ルスティク
空間からランチョンマットまで

京都は京田辺の里山で営む10席ほどの小さなフレンチレストラン。「里山の光景を楽しめる広い窓や桐の勾配天井など、カジュアルながら品格のある佇まいに」と中村さん。建物だけでなく家具からランチョンマットまで、トータルでデザインした。
レストラン ルスティク
住所| 京都府京田辺市輿戸宮ノ前80
Tel|0774-46-9178
敷地面積|232㎡
建築面積|65㎡
延床面積|123㎡
構造|木造
施工|ツキデ工務店
用途|店舗併用住宅
竣工|2011年3月
https://restaurant-rustique.com/
03|だだ商店 だだ食堂
田園に馴染む表情ある古材

イタリアを中心としたナチュラルワインやつくり手の顔が見える食材を扱う「ヴィナイオータ」が営む物販と飲食複合店。コンクリート造のワインセラーの上に木造店舗を建築。北米で使われてきた風よけの古材を生かした。
だだ商店 だだ食堂
住所|茨城県つくば市流星台56-3
Tel|029-896-4091
敷地面積|9000㎡
建築面積|236.31㎡
延床面積|479.8㎡
構造|木造
施工|柴木材店
用途|店舗
竣工|2020年3月
https://dada2020.com/
04|FUJITAKA TOWEL GINZA
老舗の品格を醸す、銀鼠色の古材

大正8年創業、愛媛・今治を拠点とする藤高タオルの銀座店。店には北米で風よけに使われていた古材を活用。「100年という時間とタオルの質感を表現するため風雪にさらされて銀鼠色に輝く古材でしつらえました」と中村さん。
FUJITAKA TOWEL GINZA
住所|東京都中央区銀座7-12-1藤高ビル1F
Tel|03-6278-8852
構造|RC造
施工(内装)|エー・クラフト
用途|店舗
竣工(内装)|2018年7月 ※中村さんは店舗設計を手掛けた
https://fujitakatowel.jp/
05|伊丹十三記念館
箱型建築に込めた愛ある遊び心

映画監督、俳優、エッセイストなど多分野で才能を発揮した伊丹十三の記念館。焼杉で覆われた箱型の建物に入ると光に満ちた中庭を囲んだ回廊式の空間が。20代から伊丹エッセイに心酔する中村さんが敬愛を込めて設計。
伊丹十三記念館
住所|愛媛県松山市東石井1-6-10
Tel|089-969-1313
敷地面積|2442㎡
建築面積|745㎡
延床面積|860㎡
構造|鉄筋コンクリート造(一部鉄骨)
施工|エム・ワイ・ティ
用途|個人記念館
竣工|2007年5月
https://itami-kinenkan.jp/
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text: Yukiko Mori photo: Atsushi Yamahira
2025年9月号「木と生きる2025」



































