渋谷パルコ《九谷焼ロディフェア》
伝統工芸×モダンデザインが新たな贈り物に
石川県・小松市「九谷陶泉」の九谷焼は、新たなカタチの伝統工芸品。華やかな九谷焼とイタリアの子供向け玩具「ロディ」がコラボで、贈り物に新たな選択肢を提案する。東京・渋谷パルコのDiscover Japan Lab.では、「九谷焼ロディフェア」が2025年1月19日(日)まで開催。贈る人も、贈られた人も幸せな気分になる、その魅力をご紹介。
九谷陶泉(くたにとうせん)
石川県小松市に拠点を構える九谷焼の卸問屋。百貨店向けに卸販売するほか、近年はオリジナル商品の開発にも精力的に取り組む。
歴史ある九谷焼の老舗
「九谷陶泉」
360年以上の歴史を誇る九谷焼。石川県を代表する伝統工芸品をイタリア発の玩具「ロディ」と融合させたのは、小松市に代々続く九谷焼の卸問屋「九谷陶泉」だ。
この企業のはじまりは古く、1863年までさかのぼる。初代太吉は子どもの頃、庄屋の家に子守奉公に出ていた。実際は子守だけでなく掃除などの雑用もさせられており、日々の業務に飽き飽きしていた。そんな折、殿さま(金沢藩12代藩主・前田斉泰公)の命令で近所に窯がつくられ、地元の役人たちによる焼物製造が開始。太吉は子守をしながらその様子をこっそり眺めていたが、徐々にうつわの世界に惹かれていったという。
「働いているばかりの毎日に、休みをくれと主人に何度も懇願したらしいのですが、思うようにいかず。しびれを切らした太吉は庄屋を逃げ出して、窯の手伝いをはじめたそうです」と話してくれたのは、専務取締役を務める山元歩さん。太吉はようやくうつわ職人となり事業を開始したが、孫の時男が体調不良のため作陶を断念。代わりに、金沢市で九谷焼の卸売業をはじめた。こうして、現在の九谷陶泉の基礎が出来上がった。
代々受け継いでいきたい
ユニークで温かな九谷焼ロディ
「当初は大阪をはじめ関西の百貨店と取引をしていました。現在も取引のある百貨店は、そのときからのおつき合いです。やがて販路拡大のため関東にも進出。いまに至っています」
百貨店には伝統的な九谷焼を卸していたが、時代とともにニーズも変化。正統派のデザインが支持される一方、現代のライフスタイルに合うかたちも求められるようになってきた。
「そこで一念発起。伝統的な技を踏襲しつつ、若い世代の方々にも身近に感じてもらえる商品を展開していこうと。まずは試しに、ヨーロッパの指貫をヒントに、九谷焼の指貫をつくりました。これが意外に好評で、九谷焼の新たな可能性を感じました。また同じ時期に、年配のお客さまから、娘の出産祝いに贈るものが欲しいとの依頼がありまして。どうしたものかと悩んでいたところ、偶然通りかかったおもちゃ店でロディと目が合い、ピンときたんです。九谷焼でロディをつくったら、お客さまにも喜んでもらえるかもしれないと」
こうして九谷焼ロディは誕生した。ピンと立った耳にまん丸のフォルム。イタリア生まれのロディを色鮮やかな九谷焼でつくるために、こだわったのは絵柄だった。
「熟練から若手まで、さまざまな九谷焼作家・職人に依頼しています。制作する上での条件は、磁器製のボディに、わくわくした気分で描いてもらうこと。気持ちは作品に投影されますから。絵柄はつくり手の感性にお任せです」
縁起のいい和柄からポップな抽象柄まで、描き手によって雰囲気はさまざま。どのロディも自慢の衣装をまとって幸せそう。こちらまで前向きな気分になる。「親から子、子から孫へと、世代を超えてかわいがってもらえたら本望です」と山元さん。
出産祝いはもちろん、引っ越し祝いなど特別な日の贈り物にぜひ。
作品ラインアップ
武田朋己作 Dreamer
遊び心あふれるロディ。目元がとろんとしていて、なんだか夢心地の様子。ビビッドな色彩がインテリアのアクセントになりそう。
田中柚伎作 吉田屋桜文
帯状の絵柄は、伝統的な画風「吉田屋風」を模したもの。さらにボディ全体に淡い桜をちりばめて、うららかな春の景色を表現。
勝部明美作 赤木米縁起尽し文
大胆に赤絵を塗り、小槌や宝袋、松などのおめでたい絵柄をちりばめた「木米風」の華やかなロディ。首元のリボンがポイント。
手軽に九谷焼を楽しんでもらおうと、九谷焼の箸置きのガチャガチャも展開中!
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個展作品の一部がオンラインで買える!
公式オンラインショップ
九谷焼ロディフェア
会期|2025年1月11日(土)~1月19日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)
にてご確認ください。
text: Misa Hasebe photo: Shiho Akiyama
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Discover Japan 2025年2月号「温泉のチカラ」