PRODUCT

フライ専門店のパイオニア「つるや釣具店」
大熊健郎の東京名店探訪

2020.6.30
フライ専門店のパイオニア「つるや釣具店」<br>大熊健郎の東京名店探訪
最近釣りをはじめた大熊さんはいつも以上に熱心

「CLASKA Gallery & Shop “DO”」の大熊健郎さんが東京にある名店を訪ねる《東京名店探訪》。今回は浅草に店を構えるフライフィッシング専門店「つるや釣具店」を訪れました。

大熊健郎(おおくま・たけお)
「CLASKA Gallery&Shop “Do”」 ディレクター。国内外、有名無名問わずのもの好き、店好き、買い物好き。インテリアショップ「イデー」のバイヤー&商品企画、「翼の王国」編集部を経て現職。
www.claska.com

先代が筆で書いた文字を店のロゴにしたという。アイコニックな看板が目印

およそキャンプや登山といったアウトドアとは縁のない生活をしてきたが、数年前からフライフィッシング(以下フライ)をはじめた。フライはfly=毛針を使って魚を捕る釣りである。もともとイギリスの貴族階級がはじめた釣りで、そのせいか格調高い紳士的な雰囲気が釣りの所作にも、身につけるものや道具にも漂う。そんなうわべの魅力に惹かれてはじめたわたくしであるが……。

浅草にフライ好きなら知らない者はいない老舗がある。「つるや釣具店」だ。戦前に江東区大島で創業し、その後京橋に移転。和竿からルアーやフライの道具まで扱う専門店のパイオニアとして知られた。当時は場所柄もあって進駐軍や外交官など海外のお客も多かったという。1986年に現在の場所に移り、新たにフライ専門店としてスタートした。

釣り関連の商品がところ狭しと並ぶ。道具のメンテナンスも店内で対応

フライに必要な道具はひと通り扱うが、ハンドメイドのアイテムを数多く取り揃えているのがこの店の特徴だ。フライ歴40年以上だという店主の山城良介さんのこだわりは「つくり手の顔が見えるような道具」を扱うこと。日本のロッドビルダーがつくるバンブーロッドやヴィンテージのタックルなどこの店ならではの商品も多い。

山城さんにフライの魅力をたずねると「フライはただ魚が釣れればいいという釣りではありません。わざと難しくしているようなところもある(笑)。だってただ魚を釣るだけなら餌釣りをすればいい。でも川や魚といった自然を相手に経験を重ねながら自分なりの釣り方で釣れたときの喜びがひとしおなんです」。

バンブーロッド(ストリームライン)6万6000円、リール 3万7400円
同店では、大手メーカーでは絶対にまねできないようなところをカスタマイズして、一人ひとりの顧客へ対応している。こちらはオリジナルでつくっている竹竿。このほかアンティークなども扱う

ただでさえハードルが高いと思われがちなフライの老舗専門店、なんて言われると入りにくいと思う人もおられよう。でもその心配は無用だ。初心者に「専門用語を使わない」のもポリシーだという山城さんが、どんな初歩的な質問や相談にも最高の知識と経験で答えてくれる。

またこだわりの道具が多いとはいえ高級品ばかりを扱っているわけではない。手頃な値段で、クオリティの確かな初心者におすすめの道具もちゃんと用意されている。またビギナー向けのフライ教室やハンドクラフト展などのイベントも行っているのもうれしい。

一向に釣りはうまくならないが、それでも川に足を入れ、風を肌で感じ、鳥の声や川の音を聞きながら日がな一日フライを投げて過ごす時間の心地よさは格別だ。それはフライとの出合いがもたらしてくれた、少年時代以来の五感を解放する喜びでもある。

つるや釣具店
住所|東京都台東区寿1-5-1
TEL|03-3842-4071
営業時間|11:00〜20:00、日曜、祝日〜18:00
定休日|水曜
www.fly-tsuruya.co.jp


photo:Atsushi Yamahira
2020年4月号 特集「いまあらためて知りたいニッポンの美」


≫「CLASKA Gallery&Shop “Do”」 ディレクター 大熊健郎さんの記事一覧はこちら

東京のオススメ記事

関東エリアのオススメ記事

メールマガジン購読