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ニセコ
《SHIGUCHI/シグチ》
人と自然、アートをつなぐ ギャラリーステイ|後編

2022.6.8
ニセコ<br>《SHIGUCHI/シグチ》<br><small>人と自然、アートをつなぐ ギャラリーステイ|後編</small>

ニセコ町から里山を走り、ほどなく羊蹄山のダイナミックな姿が現れる。20分も走れば、やがて車は原生林に覆われた倶知安町花園地区へと入る。目指すはギャラリーステイ「シグチ」。アートとともに過ごす宿である。人里離れた別世界、ここまで来たらやっぱりロングステイしたい。“自然と人のつながりを取り戻す場”とうたう唯一無二のステイ先だ。

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「シグチ」、「そもざ」の世界観を愉しむ

ショウヤさんのコレクションと作品が飾られたシグチギャラリー。縁側のようにも見える板張りのスペースには書と壺が飾られている
「そもざ」の地下には、そもざギャラリーがあり、絵画や彫刻、剥製、縄文時代の埴輪、アイヌ作家による木彫りの熊などさまざまなコレクションを展示。そもざ利用のみのゲストも希望を伝えればギャラリー見学可能

「シグチ」には宿泊客だけが入ることができるシグチギャラリーがある。ショウヤさんのコレクションの一部である国内外のアートを展示。ショウヤさんが影響を受けた作家の作品のほか、自身が創作した作品などを展示。和紙にプリントされた水墨画のような繊細な作品は、ショウヤさんの力作だ。ギャラリーに配置された多岐にわたるコレクションの数々に、収集家でもあるショウヤさんのエネルギッシュな“アート愛”が伝わってくる。そして奥には、ショウヤさんのアトリエが。大きな作品をつくるときの仕事場で、何やら秘密めいた空間はショウヤさんのプライベートな書斎でもある。

コレクションの中でも最古の品、メノウのアクセサリー

一方、「そもざ」の地下にあたるスペースにもギャラリーがある。窓の外は大自然の景観が広がり、まさに森に包まれるような安心感が漂う。こちらにはショウヤさんのコレクションの中でも、北海道にかかわるアートや歴史がわかる品々を展示。縄文土器、鏃、森の動物の剥製(はくせい)まで、あたかも博物館のようにさまざまな展示品が並ぶ。1万年前、縄文時代のものだというメノウの装飾品はどのように手に入れたのだろう。この「そもざ」のギャラリーは一般に開放されていて、音楽会やイベントを行うこともある。

そして「そもざ」の2階にもユニークな空間が。階段を上ると畳敷きのモダンな茶室が現れる。つくばい、水屋、床の間、シノワズリの家具を配置、茶室の空間を仕切るのは型抜きされた鉄板の廃材を活用したアンティークな素材のパーテーション。茶室ではプライベートなお茶会も開かれ、ゲストの希望があれば茶道の体験も提供。お点前も披露してくれる。2階の空間の一部は梁がむき出しになった吹き抜けのつくりになっており、梁越しにレストランを上から見渡せる。宿全体がまるでギャラリー。非日常の空間で感性が大いに刺激される滞在だった。

「そもざ」の2階につくられた茶室は日本伝統の茶室の概念を超えたもの。この日はスタッフの一人であり茶道に通じた女性が振る舞ってくれた。堅苦しい作法よりも基本を守りながら神髄を味わう新しい茶会

シグチ
住所|北海道虻田郡倶知安町花園78-5
Tel|0136-55-5235
客室数|5室
料金|1泊2食付6万4000円〜(税別)
※季節や日により変動
カード|AMEX、DINERS、Master、VISAなど
IN|15:00 
OUT|11:00
夕食|イノベーティブ料理(レストランまたは部屋) 
朝食|洋食(レストラン)
アクセス|車/新千歳空港から約2時間30分 
電車/JR倶知安駅からタクシーで10分
施設|レストラン、ギャラリー、ショップ 
www.shiguchi.com

 

   

 

text: Kyoko Sekine photo: Shouya Grigg, Shinsuke Matsukawa
Discover Japan 2022年5月号「ニュー・スタイル・ホテルガイド2022」

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