HOTEL

ニセコ
《SHIGUCHI/シグチ》
人と自然、アートをつなぐ ギャラリーステイ|前編

2022.6.8
ニセコ<br>《SHIGUCHI/シグチ》<br><small>人と自然、アートをつなぐ ギャラリーステイ|前編</small>

ニセコ町から里山を走り、ほどなく羊蹄山のダイナミックな姿が現れる。20分も走れば、やがて車は原生林に覆われた倶知安町花園地区へと入る。目指すはギャラリーステイ「シグチ」。アートとともに過ごす宿である。人里離れた別世界、ここまで来たらやっぱりロングステイしたい。“自然と人のつながりを取り戻す場”とうたう唯一無二のステイ先だ。

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静寂の中で本に集中。
温泉に浸かり、景色を眺める

ヴィラAのROOM2の広いリビングルーム。音のない静けさの中で過ごせる快適な滞在。静かに物思う、自分を見つめ直す非日常の時

古民家を利用したA、B、Cの3棟からなるヴィラには、リビング、寝室、和室のほか、調理器具や作家もののうつわやカトラリー、冷蔵庫などがフル装備されたキッチンがある。

そして、温泉。敷地内から湧き出る豊富な湧出量を誇る天然温泉を各ヴィラで楽しめるのだ。ヴィラによっては2カ所あり、源泉かけ流しの湯が滞在者の心身を癒してくれる。

この日、部屋に置かれた本を開いてみた。久しぶりに読書に集中できたのは、部屋にテレビが置かれていなかったからかもしれない。またはこの俗世から離れた環境に心が癒され、雑念が遠のいたからか……。こうして時が流れ、静けさの中で眠りに就いた。

ヴィラAにあるROOM1の2階。畳の和室になっており、布団を敷けば友人や家族連れでもゆったり滞在ができる。天井には明かり取りの小窓が
写真は石をくり抜いた半露天風呂。B・C棟には半露天のほか檜の内風呂がある。湯船は広く、家族3人でも余裕で浸かれそう

翌朝の目覚めはすっきりと最高だった。ショウヤさんの奥さまに、肌触りがとりわけ優れたベッドのリネン類についてたずねると、「ここで使っているシーツは600スレッドカウントのコットンです。確かスペイン王室御用達の品」とのこと。世界で流通するコットンの中でも稀少なエジプト綿だという。眠りの深さはこのリネン類にもあったのかも知れない。

「シグチ」のこだわりはアメニティ類にも決して手を抜いていないことからも感じられる。

ヴィラには北海道やアイヌ、人類学関連の本が。『フチの伝えるこころ アイヌの女の四季』(計良智子著)はアイヌの心や生活の知恵、料理などをつづった興味深い一冊。静かな空間で全集中、本を読み切った
客室のクローゼットには上質な部屋着や「ヨーガンレール」ブランドのパジャマを用意。いずれも極上の着心地のコットン製。スタイリッシュなデザインで気持ちも上がる

 

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text: Kyoko Sekine photo: Shouya Grigg, Shinsuke Matsukawa
Discover Japan 2022年5月号「ニュー・スタイル・ホテルガイド2022」

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