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ブリ、ベニズワイガニ、ゲンゲ…富山の魚介が美味しいのは理由があった!
冬の美食を求めて ぐるりとめぐる富山湾の旅

2022.1.15
<small>ブリ、ベニズワイガニ、ゲンゲ…富山の魚介が美味しいのは理由があった!</small><br>冬の美食を求めて ぐるりとめぐる富山湾の旅

約500種もの魚がすむ富山湾では春夏秋冬、いつ訪れても新鮮な魚介が楽しめる。中でも冬は特別な季節。ブリ、ベニズワイガニ、ゲンゲなどが最高潮を迎えるからだ。全国的にも富山県の魚介は美味しさで知られているが、なぜ美味しいのか……。その理由は自然が生んだ2つの奇跡にあり?!

富山の魚介が美味な理由 その1
まれにみる「高低差」

富山湾の魚が美味な理由は、大きくふたつ挙げられ、ひとつは山と海の距離が近いこと。

標高3000m級の立山連峰から栄養豊富な河川水や湧水が海に流れ込み、小魚のエサとなるプランクトンを育み、小魚は中型・大型の魚の良質な餌となる。

また、湾としては日本有数の深さをもつ富山湾は、水深によって温度が3層に分かれる特徴をもつ。水深1200mに達する冷たい「日本海固有水(海洋深層水)」の上に、水温が約10〜30℃で季節的に変動する、温かい「対馬暖流水」が重なる。さらにその上層、海面付近には汽水性の海が広がる。水質・海水温の違いは、そのまま魚種が豊富な要因に。

山と海が近いため、海に流れ込む水が栄養豊富。プランクトン、つまり魚のエサが多い環境。加えて性質の異なる海が重なっている富山湾は、魚種が多いのも特徴だ

富山の魚介が美味な理由 その2
巨大な“天然の生けす”

もうひとつの旨さの秘密は、富山湾をかたちづくる地形にある。半島の付け根にある富山湾は、西側の大きな能登半島による“半閉鎖海域”となっている。このため沿岸まで深い海底谷が続く富山湾は、天然の「生けす」となり、ブリに代表される回遊魚を湾の奥まで誘い込む。さらに魚群を待ち受けるのは、沿岸の約80張にもなる仕掛け「越中式定置網」。この「二重の生けす」によって、漁師が毎日のように新鮮な魚を水揚げできるわけだ。

魚介の質では、新鮮さに勝るものはない。獲る場所(定置網)と市場までが近いのも、富山の魚介が旨い理由といえるだろう。

能登半島により西側をふさがれた地形は、まさに“天然の生けす”ともいえる。富山湾に入り込んだ魚の先には定置網があり「二重の生けす」の役割を果たしている

「富山湾の宝石」は
なぜ一年を通じて愉しめるのか

透き通る姿が「富山湾の宝石」と呼ばれるシロエビ。大量に獲れるのは富山湾だけといわれる。鮮度落ちが早いため、かつては生食できるのは旬だけだったが、いまでは高い鮮度を保つ最新の冷凍技術で、いつでも最高の状態で楽しめる。

ほかの季節も旬が愉しめる
四季のとやま魚介カレンダー

今回は、富山湾の冬の魚介を主に取り上げるが、もちろん冬だけがオンシーズンなわけではない。右のカレンダーを見れば、冬はもちろんそれぞれの季節に、それぞれの魚介が旬を迎えることがわかるだろう。6月・7月に旬を迎えるイワガキほか、どのシーズンに来ても美味しさ自慢の富山の魚を食べることができるのがうれしい。

冬の魚介3種の魅力・代表料理を紹介!

たっぷり脂がのった際高級魚
「とやまのブリ」

 

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漁場が近いから美味しい
「とやまのベニズワイガニ」

 

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嫌われ者が一点、幻の魚に!?
「とやまのゲンゲ」

 

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text:Tomoko Honma(Let It Be) photo:Shinpei Fukazawa illustration:Romi Watanabe
2022年2月号「美味しい魚の基本」

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