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唐津焼 つくり手八分、使い手二分…。
日本の伝統に息づく哲学はビジネスにも生きる【後編】

2021.10.10
唐津焼 つくり手八分、使い手二分…。<br><small>日本の伝統に息づく哲学はビジネスにも生きる【後編】</small>
photo by tky15_lenz

「日本の伝統に息づく哲学には、現代のビジネスに応用できるヒントがある」という考えの下、電通Bチームと小誌が立ち上げたDiscover Japan Concept。今回、SDGsに通ずる言葉(極意)をメンバーと語り合いました。

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唐津焼の思想に未来のヒントがある

 僕は、言葉の採集をはじめるきっかけとなったつくり手八分、使い手二分をもっと広めたいです。佐賀県唐津の陶芸家・十四代中里太郎右衛門さんにお会いした際、「唐津焼はつくり手が8割つくり、残り2割は使い手にゆだねることで10割になる」と教えていただきました。2割の余白が変化していくことで使い手は愛着もわくし、つくり手と使い手が作品を通じてコミュニケーションをしている。消費者参加型のオープンイノベーションを、350年以上前から取り入れていらっしゃったんです。長く使うものを愛するというのは、まさにサステイナブルな考え。うつわを使い手に渡すときに「これは未完成なのであなたの手で育ててください」と伝えるところにもシビれました。

 おもしろいのが、大事に使われているうつわは、よい経年変化をするため、使い手の生きざまがうつわに投影される。

 まさにSDGsの「つくる責任つかう責任」ですよね。

 数十年経って見事に変化したうつわを中里太郎右衛門さんが買い直したというお話や、よいと思ったうつわは寝るときやお風呂に入るときもかたわらに置くところにも、その考えを先取りしていると思います。

 国連の人はまず唐津に行ったほうがいい(笑)。日本の伝統産業の考え方は素晴らしいと思います。和菓子の見立てにおいてもそうだし、借景で考えると、日本庭園の枯山水は水があるように見立てていたり、広大な庭をつくらずに山の景色を借りることで自然破壊もしないエコロジーな方法で楽しんでいる。

 自分の庭で借景にしている山には絶対愛着をもちますよね。自然を借りて生活に取り入れることで、楽しく自分ごと化できる。

 SDGsの目標をお題に、見立てのワークショップをやったらおもしろそうですね。「持続可能」、「質の高い教育」とか、抽象的だからこそ一人ひとりがどのように見立てるのか違いが出て、新しい発見がありそうです。

 そうした遊び心を取り入れたいですよね。私は初めしんみり、中おかしく、しまい尊く言い習わしのように、SDGsもすごく時間がかかるプロジェクトだと思うので、途中でおかしみを入れてほしい。

 おあとがよろしいようで(笑)。

text: Ryosuke Fujitani
Discover Japan 2021年9月号「SDGsのヒント、実はニッポン再発見でした。」

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