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世界自然遺産の旅は
自然のスペシャリストに頼るべし。

2021.8.19
世界自然遺産の旅は<br>自然のスペシャリストに頼るべし。
亜熱帯の原生林が残る金作原。常緑広葉樹林だけでなく絶滅が危惧される固有種や稀少なランの種類も多い。知らずに歩くと見落としがちな動植物も多いので、認定エコツアーガイドによる案内で時間をかけてじっくりと散策を。名瀬市街地からの移動を含め所要時間は4時間ほど

奄美大島の旅を単なる森の散歩で終わらせないためには、プロによる案内が必須。自然を守るパートナーの一人として世界自然遺産を楽しもう。今回はエコツアーガイド歴20年のベテラン、喜島浩介さんに奄美の歩き方をお伺いしました。

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喜島 浩介(きじま・こうすけ)
奄美大島エコツアーガイド連絡協議会会長。自然保護が島の未来につながると、利用ルールやガイド育成に注力。アマミノクロウサギに会いに行くナイトツアーはこれまで遭遇率99.9%!

喜島さんが語る、奄美の今とこれから。

喜島さんらの働きかけによって金作原原生林には保護のためにフェンスが設けられ、立ち入りを制限。環境省、自治体、ガイド協議会による自主ルールにより、認定ガイド同行ツアーの利用者のみ散策が可能

生物多様性の高さから、世界自然遺産に登録される奄美大島。どこか一点にスポットが当てられたわけではなく、多種多様な動植物が生息していることが登録の理由である。その魅力を体感するためには案内役のガイドの存在が欠かせない。

奄美大島エコツアーガイド連絡協議会会長の喜島浩介さんは、自らもマングローブ原生林や金作原原生林、ナイトツアーでガイドとして活躍。今後、国内外から利用客が増加することを考えると、実力のあるガイドの人数を増やし、認定エコツアーガイドを観光客に認知してもらうことが必須課題だと語る。

「たとえば、夜間に活動するアマミノクロウサギ。見通しのいい場所で糞をするため道路上に姿を見せます。真っ暗な山道では車のヘッドライトだけが頼り。この点においては、いまやアマミノクロウサギの天敵は人間が運転する車といえます。経験豊富なガイドによる探索なら安心ですが、観光客が単独で夜間の峠道に立ち入るのは避けていただきたいと思います」

経験豊富な喜島さんに奄美の自然を案内してもらうと、これまで見えていなかった自然環境の細部にフォーカスが当たり、視野が広がる感覚を味わえる。おのずと環境保全にも思いを馳せるようにもなる。奄美大島の自然は地元だけでなく観光客にとっても貴重な財産。自然環境を保持するためには、利用する観光客側の意識のアップデートも必要だ。

text: Akiko Yamamoto photo: Yoshihito Ozawa, Tatsuya Hiragi
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」


《エコツアーに参加!奄美大島の稀少ないきものに会いに行く!》
1|古くから自然とともに暮らしてきた奄美大島の人々
2|霧深い金作原原生林の幻想的な世界へ
3|奄美大島は稀少種の宝庫。
4|世界自然遺産の旅は自然のスペシャリストに頼るべし。

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