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霧深い金作原原生林の幻想的な世界へ【中編】
エコツアーに参加!奄美大島の稀少ないきものに会いに行く!

2021.8.19
霧深い金作原原生林の幻想的な世界へ【中編】<br><small>エコツアーに参加!奄美大島の稀少ないきものに会いに行く!</small>
大きいと樹齢100年になる金作原原生林のイジュ。中には顔のような木肌をもつ珍しい個体も。「ショウベンの木」、「バクチの木」など残念な名前の木もあるので探してみて

天然記念物やそこだけに生息する珍しい固有種が確認される奄美大島。それも特定の種類だけでなくほ乳類や鳥類、両生類、昆虫類、そして植物とあらゆるユニークないきものが暮らす島だ。世界自然遺産に向けていま熱い注目が集まる、いきものの楽園へ出掛けよう。今回は、魅力あふれる奄美大島の自然の世界を4つの記事でご紹介します。

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命に満ちた奄美の山を探検

奄美大島、加計呂麻島で見られる固有種のルリカケス。鮮やかなルリ色と赤栗色のコントラストが美しい。常緑広葉樹林に生息するが人家の軒先で確認されることもある
奄美大島のみに生息するオーストンオオアカゲラはキツツキの仲間。巣づくりのためにクチバシで樹に穴を開けるドラミングも行う。木を突く音は森中に響き渡る

マングローブと並び奄美大島の生物多様性を保つのに欠かせないのが、「金作原原生林」などの天然の亜熱帯多雨林だ。金作原原生林には、「生きた化石」とも称されるヒカゲヘゴなど亜熱帯特有の植物が生い茂る。ほかの木に寄りかかって生育する着生植物や萌芽力の高い植物が多いのも特徴。台風などで倒木があっても森の再生力が高いのだとか。奄美は雨が多いことでも知られるが、これは原生林とも深く関係がある。日に当たった植物は自分の体を冷やそうと水分を放出。それが霧となって立ち込め、湿気を多く含んだ風は冷やされて雨を降らせるというメカニズム。霧深い金作原原生林の幻想的な風景は、ここが日本であることを忘れさせる。

リュウキュウアカショウビンは、奄美大島の夏を知らせる渡り鳥。燃えるような赤色と紫色の羽、「キュロロロ」というきれいな鳴き声が特徴的。カワセミの仲間
奄美大島のみで繁殖するオオトラツグミ。風が当たらない、湿度が高いなどの条件がすべて揃った天然照葉樹林でのみ生息を確認。模様がトラに似ているためこの名がついた

日本に生息する633種の鳥類のうち、315種が確認される奄美大島は、バードウォッチングの一大拠点でもある。赤や青など鮮やかな羽色、澄んだ鳴き声をもつ固有種も多く、愛好家でなくてもその美しさに魅了されてしまう。

野鳥はさまざまな場所で観測されるが、中でも長雲山系を活用した「奄美自然観察の森」はバードウォッチングに最適。ルリカケスやアカヒゲ、オーストンオオアカゲラなど15種ほどの野鳥が確認されている。

園内には遊歩道が整備され、樹々の根元からだけでなく真ん中や先端部分を観察できるようになっているので鳥との遭遇率も高い。園内の展望台からは、奄美十景のひとつである龍郷湾の絶景も見渡せる。事前に予約すれば、園内ガイドをお願いすることもできるという。


ヒカゲへゴの新芽はまるで巨大なゼンマイ。あちこちに点在し亜熱帯の生命力を感じる


奄美大島で最も古いとされる樹齢150年のオキナワウラジロガシの名木

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text: Akiko Yamamoto photo: Yoshihito Ozawa, Tatsuya Hiragi
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」


《エコツアーに参加!奄美大島の稀少ないきものに会いに行く!》
1|古くから自然とともに暮らしてきた奄美大島の人々
2|霧深い金作原原生林の幻想的な世界へ
3|奄美大島は稀少種の宝庫。
4|世界自然遺産の旅は自然のスペシャリストに頼るべし。

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