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日常のルールをデザインや多角的な視点から探る、企画展「ルール?展」

2021.6.28
日常のルールをデザインや多角的な視点から探る、企画展「ルール?展」

21_21 DESIGN SIGHTは、企画展「ルール?展」を2021年7月2日(金)〜11月28日(日)まで開催する。

法律家の水野祐氏、コグニティブデザイナーの菅俊一氏、キュレーターの田中みゆき氏の3人が展覧会ディレクターチームとなり、それぞれの視点を融合させて、新しいルールの見方· つくり方· 使い方と、これからの展覧会のあり方を多角的な視点から探る。

田中みゆき 野村律子 菅 俊一「ルール?」
NPO法人スウィング「京都人力交通案内『アナタの行き先、教えます。』」(撮影:成田 舞)

私たちの日常は、さまざまなルールに囲まれている。憲法や法律、社会基盤となる公共インフラや公的サービスから、文化的背景に基づいた規則やマナー、家族や個人に無意識に根づく習慣まで、ルールは多岐に渡り私たちの思考や行動様式を形成している。

葛宇路(グゥ・ユルー)「葛宇路」

そしてそれらのルールは今、産業や社会構造の変化、テクノロジーの進化などに伴い、大きな転換期を迎えている。実態を捉えにくく形式的になりやすいものだからこそ、私たち一人ひとりが身の回りにあるルールを意識し、その存在を疑い、自分のこととして柔軟に考えることが求められている。

多様なルールと交わり、日々更新し続けることで、私たちの社会とその未来の可能性はよりオープンで豊かな方へ押し広げられるのではないだろうか。

ダニエル・ヴェッツェル(リミニ・プロトコル)田中みゆき 小林恵吾(K2LAB)×植村 遥 萩原俊矢×N Sketch Inc.「タイトル未定」 (参考画像「100%トーキョー」/撮影:Yohta Kataoka)

展覧会では、私たちがこれからの社会でともに生きるためのルールを、デザインでどのようにかたちづくることができるのか、多角的な視点から探る。例えば、時代に合わせて法や規則を更新すること、ルール形成からこぼれがちな少数意見を取り入れる方法を考える。

また、データを読み解いて社会を俯瞰すること、市民がテクノロジーを活用して社会課題の解決に取り組むシビックテック、さらには、新たな創造や可能性のきっかけとなる制約や、人々の振る舞いによって生まれる法則や習慣にも着目。私たち一人ひとりが未来をかたちづくる一員として、ルールとポジティブに向き合う力を養う展覧会。

ディレクターズ・メッセージ

水野祐氏:わたしたちの社会はさまざまなルールによって成立しています。その代表的なものが法律ですが、「もしこの世界から法律がなくなったら」と想像してみると、わたしたちの社会にとってルールが不可欠であることは自明です。それにもかかわらず、わたしたちは、なぜこんなにもルールに不自由さを感じるのでしょうか?わたしは、その原因が、わたしたちがルールづくりに参加できていないから、あるいはルールづくりに参加している感覚がないから、だと考えています。

わたしは、一人の法律家として、法を含むルールがわたしたちを自由にするものであってほしいと願っています。わたしたちの社会をより豊かにしていくための「補助線」としてルールを活用できないか。デザインできないか。そのまなざしは必然的に「だれかが作ったルール」から「わたしたちが作るルール」への転換につながっていくはずです。本展示を通して、ルールの堅苦しさではなく、おもしろさ、深さ、そして自由さを感じ取ってもらえたらうれしいです。

菅俊一氏:かつてわたしはルールは誰かが作ったものであり、最初からあるものでもあり、存在に疑問を持たずに守るべきものであると思っていました。ですからルールというものに対しては当然、自分を縛るネガティブなイメージを持っていました。

一方で、現在デザイナー・教育者であるわたしがルールに抱いているイメージは全く逆で、ルールが創造性を促す踏み台として機能することや、ルールを上手く設計することで、心地よく行動を促す導線として機能することを知っています。ルールは、行動や思考をデザインするためのツールとしても使うことができるのです。

本展では、さまざまなアプローチでルールへのイメージを更新するための手がかりを提供します。作品体験を通じて、みなさんもルールとの新しい付き合い方を始めてみませんか。

写真:Shiho Kito/Yahooニュース特集

田中みゆき氏:何のためにあるのかわからない、誰のためにもなっていないように見えるルールを体裁のために守る、というのはわたしが人生において最も苦手としていることのひとつです。わたしが多数派でできた社会のルールで捉えることができない障害のある人やマイノリティに関する活動を続けているのは、少なからずそんな自分の性格が関係しています。

ルールを苦手に感じるのは、それをつくった見えない存在を信頼できないこと、そして自分も信頼されていないことを感じる時です。ルールという共通言語があるからそこに収まらないものも尊重できるという実感が持てるとき、ルールが自分の味方に思えてくるのかもしれません。この展覧会では、来場者の力を借りて、他人や社会とのさまざまな信頼の結び方を想像する体験をつくれたらと思います。

佐々木 隼(オインクゲームズ)「鑑賞のルール」(参考画像)

ルール?展
開催期間|2021年7月2日(金)〜11月28日(日)
開館時間|平日 11:00〜17:00、土日祝 11:00〜18:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日|火曜日(11月23日は開館)
入館料|一般 1200円、大学生 800円、高校生 500円、中学生以下無料
会場|21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
住所|東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
Tel|03-3475-2121
http://www.2121designsight.jp/


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