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「北三陸エクスペリエンス」北三陸の11生産者が集結した食のセレクトショップとは?

2021.5.15
「北三陸エクスペリエンス」北三陸の11生産者が集結した食のセレクトショップとは?

特産品のうにをはじめ、持続可能な水産業と食のブランディングに取り組んでいる岩手県洋野町の水産加工場「北三陸ファクトリー」。その中に、2021年3月、北三陸の生産者が集結したセレクトアンテナショップ「北三陸エクスペリエンス」が誕生した。製品をただ食するのではなく「食材を産み出した土地の風土や生産者のこだわりも一緒に体験して欲しい」という想いから生まれたアンテナショップとは?

まるごと味わい、食べる。

北三陸の11の生産者がジャンルを超えて集まった本ショップ。ショップ名には、豊富な食材を産み出す北三陸ならではの自然や地形、季節を見つめ、生産現場の空気感や生産者のこだわりを体験するように楽しんで欲しいという想いが込められている。生産者の思想を理解し、挑戦に共感する……それらを“まるごと味わい食べる”ような体験=エクスペリエンスを共有し、人それぞれに発見し感じ取れ、豊かで深い北三陸の食の魅力を探索できる場として誕生した。

プロジェクトを運営するのは、自らも生産者である洋野町の北三陸ファクトリー。これまで自社商品を通じて国内外に北三陸を発信してきた同社だが、本プロジェクトでは「北三陸を世界に発信する」を掲げ、志を同じくする北三陸の11の生産者たちと連携し、初の取り組みを行う。生産者は海産物・農産物・酪農・畜産などの若手からベテランの生産者まで、域内でも一同に会することが珍しいメンバーが集まった。

北三陸エクスペリエンスでは、北三陸の独特の自然、なかなか目にできない生産現場の雰囲気や空気感などを、没入感のある映像や画像で発信。また、生産者ひとり一人のこだわりやその背景などを発信することで、製品そのものの味わいだけではなく、現地を訪れることができなくても深い食体験ができる。

11の生産者ラインアップ

牛と人間が一緒につくる、放牧地から。
「田野畑山地酪農牛乳」

耕地として利用することが不可能な急傾斜の山地を切り開き、完全無化学肥料、無農薬、穀物飼料なしで乳牛を育てる循環型酪農方法である山地酪農(やまちらくのう)。戦後、植物社会生態学者である猶原恭爾博士が提唱した山地酪農を実践しているのが、田野畑山地酪農の創業者である吉塚公雄さんだ。

北三陸の鮭のおいしさを、余すところなく。
「カネシメ水産」

鮮魚販売と水産加工として新巻鮭とイクラを製造。先代から受け継いだ製法でつくってきた新巻鮭を生で食べられるのではないか、とこれまでにない発想で製品化。イクラ本来の美味しさを引き出した塩いくらもこだわりのひと品だ。

気候にゆだねて、熟成させる。
「佐幸本店」

北三陸の山ぶどうはミネラル分を含む海からの風とやませを受けて質のよい果実を付ける。果実を絞り、果汁を貯蔵缶に空気が入らないよう一杯に詰める。苦味や酸味の原因となる酒石酸は、冬の気温でマイナス5度になると、固まって沈殿。北三陸の気候にゆだねて3年間寝かせて完成させている。

産地の意地がつくったしめ鯖
「八戸ニューシティホテル 魚菜工房 七重」

八戸で1日数千トンの水揚げがあるものの名物料理にはなっていなかった鯖を、自分で作れないか、と考えた板長の谷口圭介さん。試行錯誤を繰り返し20年を費やし自信を持てるしめ鯖が完成した。

二戸のテロワールを、世界に問う
「南部美人」

1902(明治35)年に創業した岩手県二戸市の南部美人。「蔵元は酒造りについて杜氏に一切口を出さない」という古くからのしきたりを、5代目久慈浩介さんは変革していった。新しい時代の新しいタイプの日本酒蔵として「飲んだ時に笑顔あふれる太陽のような酒」を目標に据え、二戸のテロワールにこだわった酒造りを行う。世界で日本酒が受け入れられるようになり、南部美人も「シルクのようなビロードのような旨味」と評価され世界の賞を総ナメに、国内外で愛される銘柄となった。

牛飼いが育てる、幸福な牛。
「柿木畜産」

和牛には、黒毛和種、赤毛和種、無角和種、日本短角種の4種類があり、その中の日本短角種を代表する和牛である「いわて山形村短角牛」を育てる「柿木畜産」。霜降りを重視という日本の肉質評価の流れの中で短角牛は絶対に無理だと言われながら、「この自然の中でのびのび育った短角牛が評価されないわけがない」と信じて畜産を始めたという代表の柿木敏由貴さん。肉本来の赤身の味が濃く、しつこくない脂身が特長の肉質は、噛めば噛むほど美味しさが口に拡がる。

冬だけのホワイトアスパラガス
「三右ヱ門」

北三陸でも内陸の二戸市浄法寺町で200年以上続く「馬場園芸」でつくられるホワイトアスパラガス。伏せ込み栽培、整った遮光設備と自然環境で、果実のような甘さを実現した。通常の旬は4~6月だがここでは12月から出荷され、冬採りのホワイトアスパラガスは、全国でもここだけのもの。

山ぶどうの酸を楽しむワイン
「涼海の丘ワイナリー」

標高500m、海岸から約1km、遠くに北西太平洋を望む丘に位置するワイナリー。野田村は日本一の山ぶどうの生産地。ミネラルを豊富に含むやませに吹かれることによって、良質な果実をつくる。ワイナリー裏手には閉山になった鉱山坑道があり、坑道では年間を通じて温度が8℃から12℃、湿度は80%というワイン熟成に最適な環境が常に保たれ、涼海の丘ワイナリーは、この坑道の存在もあって、この地につくられたものだ。

やませが上がる森の原木椎茸
「高屋敷幸雄」

一般的な体育館の面積を超える3,400㎡の広さのビニールハウスにX字に組まれ整然と並ぶ、3万本の椎茸栽培のための原木。洋野町は椎茸の産地となって50年ほどになるが、国内では比較的新しい産地。冬が寒すぎる洋野町での椎茸栽培は困難を極めたが、経験を重ね、北三陸独特の夏に海から吹き上がる冷たく湿った風、やませは、実は良質の椎茸栽培に適した環境であることが判明。高い湿度と刺激で良質の椎茸をつくり、全国での品評会で最高の賞を総ナメにした。

自然に人の知恵と手間を加える、うに牧場
「北三陸ファクトリー」

地面が隆起して形成される海岸段丘が特長の北三陸の沿岸は、そのまま外洋の北西太平洋に直面。沿岸まで迫る森からの豊富なミネラルが流れ込む豊かな海ではあるが、湾の多い南三陸とは異なり、養殖漁業にはまったく不利な環境だった。それを逆手にとって、先人達の知恵によって造られたのが、うに牧場だ。洋野町種市の沿岸で穫れるキタムラサキウニは、上品な旨みと身の柔らかさが特長。

持続可能な未来と世界へ届ける農林水産業という志を持った、多彩な生産者たちが生み出した食材をより豊かに感じられる、北三陸エクスペリエンス。食のあらたな発見ができるセレクトショップを訪れてみてはいかがだろうか。

北三陸エクスペリエンス・ザ・ストア
住所|岩手県九戸郡洋野町種市第22-133-1(北三陸ファクトリー内)
時間|要問合せ
休業日|不定期
Tel|0194-75-3548(北三陸ファクトリー)
Mail|info@kitasanrikufactory.co.jp
https://ex.kitasanriku.jp
※現在不定期での営業のため、営業日時については電話・メールにて問合せ
※精肉・乳製品など一部商品は販売していないため、販売商品・在庫状況は電話・メールにて問合せ

text=Discover Japan


≫岩手県三陸の幸を味わえる「ロレオール田野畑」犬養裕美子さんの新・レストラン名鑑

≫岩手県・洋野町で、誰もが自分らしくかかわれる場所を目指して。

≫地域のポテンシャルをフル活用する、小さな共同体。岩手県 遠野市「Next Commons Lab」

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