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岩手県・洋野町
誰もが自分らしくかかわれる場所を目指して。

2021.3.19 PR
岩手県・洋野町<br> 誰もが自分らしくかかわれる場所を目指して。
太平洋沿岸沿いに位置する洋野町

定住人口、交流人口に加え、昨今よく耳にする「関係人口」。これまでの移住や観光といった言葉ではとらえきれない地域とのかかわり方を指す言葉だ。地域おこし協力隊として3年間かかわる、ワ―ケーションのために拠点をつくる、アウトソーシングで仕事をする、サブスクで毎月食材を取り寄せる……魅力ある地域に出合ったのならば、必ずしも訪れるだけが関係を築く方法とは限りません。

「その人らしいかかわり方をフォローしたい」洋野町で立ち上がった、地域おこし協力隊のサポートをする組織「fumoto」代表の大原圭太郎さんは話します。

岩手県、洋野町を知っていますか?

岩手県・洋野(ひろの)町は、青森県との県境、太平洋を望む海岸線に位置し、なだらかな高原と森林が広がる自然に囲まれた町。縄文遺跡から土器や石斧なども発見されており、はるか昔から人の営みがあったことがわかります。

2006年、内陸側の旧大野村と海岸沿いの旧種市町が合併し、洋野町は誕生しました。海や山の資源に恵まれた美味しい食材の宝庫です。特産品としてはウニやワカメなどの海産物、高原を生かした酪農も盛んです。また、1980年に工業デザイナー・故秋岡芳夫氏(※)が唱えた「一人一芸」も特筆すべき取り組み。当時出稼ぎが当たり前だった旧大野村の大工たちに、地元の資源を利用した木工製品をつくらせたのです。外に働きに行くのではなく、地元に根付いた産業をと。こうしてモノづくりの礎も生まれ、いまでは「大野木工」がその精神を受け継ぎます。

※ 秋岡芳夫(あきおか・よしお)
1920~1997年/熊本県生まれ。幼少期から東京都で暮らす。戦後の高度経済成長期に工業デザイナーとしてカメラやオートバイなどをデザイン。その地位を確固たるものにするも、モノが消費されることに対して立ち止まり、「消費者をやめて愛用者になろう!」とメッセージを投げかけた。その後は地方の職人たちと工芸やクラフトをつくりあげ、販売会を催すなど地域の産業活性に尽力。東北工業大学の教授に就任し、旧大野村の大工たちに「一人一芸」を提唱した

洋野町の関係人口を支える人

洋野町ウニの養殖現場

「洋野町のウニは本当に美味しいんです。海は遠浅で養殖には適していないのですが、岩盤を掘って天然昆布がよく育つ環境を整え、そこに沖合からウニを移してたくさん昆布を食べさせて栄養を与えます。地形を生かした育て方ですね」(大原)

「fumoto」代表の大原圭太郎さん

宮城県仙台市出身の大原さん。洋服が好きで、仙台を拠点にアパレル関係の仕事をしていました。東日本大震災をきっかけに、「自分が本当にしたいことは何か?」を考えるようになったといいます。

「仙台で新しいモノを生み出したくて洋服をつくっていましたが、それは手段でしかなくて。実は地域を盛り上げたいという気持ちの方が大きかったことに気づきました」

仙台周辺で自分がかかわれる地域はないかと探していた中、妻の実家でもある洋野町で地域おこし協力隊の募集を見つけ、観光分野であれば自分にもできることがあるのではと応募しました。

「目の前に広がる太平洋がどこか懐かしくて、自分にしっくりくる感覚があったんです」

タイミングや縁が重なって洋野町への移住を決めた大原さん。あたたかい人柄にも魅了されたと話をしてくれました。

町内の種市高校には、全国で唯一となる潜水士育成のための海洋開発科があり、県外からも人が集まります。また、いわゆるよそ者であった秋岡芳夫氏の提唱を受け入れた動きなどをとっても、排他的でない地域性がもともと根付いていたのかもしれません。

fumoto事務所内で働く協力隊

地域おこし協力隊としてかかわりはじめた洋野町。課題は多く見えたといいます。

「外に発信しようという意識が薄いと思いました。資源が豊富で、誇るべきものがたくさんあるのに、発信ができていないんです」

県内の協力隊同士のイベントや、沿岸部のトライアルツアーなどを企画。発信の方法をさまざまに試みました。同時に、一人では限界があること、3年という期間のその先の自分の居場所をどう確立していくか、将来の不安を抱えるようになりました。自分自身がどうすべきか全国へ視察に行き、模索する日々を重ねます。その中で出合ったのが同じ岩手県・遠野にあるNext Commons Labでした。

「地域おこし協力隊と民間企業とをパートナーにして協業するこの仕組みは使えると思いました。地域の課題に対してどんな事業が求められるかを考え、そこにマッチする人材を募集し、ある程度まとまった人数で地域を動かせれば変わるかもしれない」

地域の課題解決に加え、かかわってくれる人の不安が取り除けられたらと、サポート業務も含めた「fumoto」の立ち上げを決めました。前例のないことに町役場の賛成を得るまでに紆余曲折はありました。しかし現在ではデザイナー、空き家の活用、農家など、地域課題に対して徐々に人が集まり、いまではfumotoサポートの下、7人の協力隊が活躍しています。

大原さんが魅せられた洋野町

洋野町のことをもっと知るために、大原さんに洋野町の「お気に入り」をうかがいました。

種市海浜公園

観光名所の「窓岩」。周辺の岩場でカキの化石も観察できる

「洋野町へ来たときに、どこか懐かしいと思わせてくれたお気に入りの場所です。太平洋を見渡せてとても気持ちがいいのでドライブもおススメ」

北は八戸から南は気仙沼までの三陸の沿岸は、「三陸ジオパーク」にも登録されており、自然の生態系やその土地の営みを感じられる場所。種市海浜公園ではキャンプや海水浴、サーフィンも楽しめます。

おおのキャンパス

大野木工製作現場

おおのキャンパスは道の駅や産直、クラフト体験や食事処がまとまった複合施設。先述した「一人一芸」の精神を受け継ぐ大野木工の製作所もこちらに併設。購入もできます。
「地域にあるさまざまな文化体験ができます。また、ここのソフトクリームも格別です」
洋野町にある「おおのミルク工房」の牛乳は成分を壊さないように低温で20分間かけて殺菌。その牛乳を使ったソフトクリームは自然な甘みが魅力的。
https://ohnocampus.jp

お食事処 旬魚 かめふく

本日のおすすめから、「カキフライ」

「アットホームな空気感が心地よく、通いたくなるお店です。毎朝市場に出かけ、旬の魚を新鮮な状態で仕入れて提供してくれます。夏はウニがおススメです!」

たねいち産直ふれあい広場

大原さんは地元のお母さんがつくるよもぎ餅が大好き

洋野町の旬の野菜はじめ、特産品が所狭しに並びます。「漁業で使うような漁師向けの道具や鍋などの金物類も並び、ついつい長居してしまいます。洋野町に来たらぜひ立ち寄ってみてください」
www.tane-choku.com

洋野町、地域と人をつなげる拠点

観光スポットを満喫した後にはぜひ洋野町とじっくり向き合える場所へ。

fumoto

町の案内所として、移住相談も受けてくれる「fumoto」。協力隊の働く姿を見ながら、ざっくばらんに話を聞いてみてはいかがでしょう。自分が地域とどんな風にかかわれるか、イメージが膨らむかもしれません。
https://www.instagram.com/fumoto_hirono/?hl=ja

喫茶とスペース ヒロノバ

洋野町を訪れた際に、ゆっくりと時間を過ごしたり、地元の人とのコミュニケーションがとれる場所としておススメしたいのが「喫茶とスペース ヒロノバ」。地域おこし協力隊の出身者が経営しているカフェで、地元食材を使用した手作りの焼き菓子や軽食が楽しめます。洋野町の土を使った器の販売などもあり、町の暮らしを感じられる空間になっています。
https://www.facebook.com/space.hironoba/

宿戸中学校

廃校になった宿戸中学校

廃校になった宿戸中学校をリノベーションして、宿泊施設やサテライトオフィス、コワーキングスペースなどの複合施設が今年9月頃オープン予定。より多くの人が洋野町と繋がれる場所に。

まずはここから、洋野町の関係人口になろう

暮らし、人、コト、モノ……洋野町の「いま」がつまったウェブサイトが公開されました。アクセスするだけで、洋野町の景色が目の前に広がるようなコンテンツが盛りだくさん。まずはここからはじめてみませんか?

洋野町の人と暮らしをもっと知る

text=Discover Japan photo=Toshiyuki Sugai


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