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華やかな香りと、柔らかなタッチに誘われる
赤武酒造「AKABU 純米ひやおろし」

2020.9.7
<small>華やかな香りと、柔らかなタッチに誘われる</small><br>赤武酒造「AKABU 純米ひやおろし」

酷暑が続きますが暦の上では秋。日本酒には、季節によってそれぞれの楽しみ方があり、秋の到来を告げる「ひやおろし」という旬の酒がある。そこで、いち早くニッポンの秋を満喫するために、「ひやおろし」を紹介。秋の味覚とともにお愉しみください。

そもそもひやおろしとは?

秋の足音が近づくと、酒蔵がこぞって発売するのが「ひやおろし」という日本酒だ。ひやおろしとは、冬に仕込んだ酒に火入れという保存性を高める加熱殺菌を施し、そのまま秋まで熟成させて冷や(常温)のままタンクからおろして瓶詰めされた酒のことである。通常、火入れは酒を搾った後と、瓶詰め前あるいは瓶詰め後の二度行うが、ひやおろしは最初の一度だけに限定するため、「生詰め」に分類される。(最後だけ火入れをした酒は生貯蔵酒と呼ぶ)

しかし近年は、酒蔵の設備が向上したために、火入れをした後に常温ではなく冷蔵庫で熟成するなど、前述のひやおろしの定義に当てはまらない酒も多く、それぞれの酒蔵が考える秋の酒を、ひとくくりにしてひやおろし、あるいは「秋あがり」と名づけることが一般的になっている。また、ここ数年はファッションを先取りするように、まだ暑さ厳しい8月辺りからひやおろしを発売する蔵もあり、秋を象徴する日本酒として各蔵の商戦が目立ってきている。

いずれにせよ、ひやおろしは、しぼりたての酒をじっくり熟成させるので新酒に比べると円熟味があり、まろやかで落ち着いた味わいなのが特徴。どちらかというと常温や燗に向くような酒質が多く、秋刀魚やキノコなどを使った料理など秋の味覚とすばらしく合う。秋の夜長に、ゆっくりちびちびと飲むことをおすすめしたい。

岩手・盛岡
赤武酒造「AKABU 純米ひやおろし」

赤武酒造は、明治29年に岩手の沿岸に位置する大槌町で創業した酒蔵。平成25年の夏には新蔵が完成し、若き杜氏である6代目・古舘龍之介氏が中心となって、「妥協せず仕込み一つひとつを大切に、日々進化する酒造り」を行っている。創業から造り続けている「浜娘」のほか、同世代の若い人たちからも好まれるフレッシュな芳醇旨口の日本酒を目指し、新ブランド「AKABU」を立ち上げた。いまや若手を代表する造り手として注目を集め、全国の有名酒販店にも認められる銘柄へ成長している。「日本を代表する日本酒になりたい」と意欲を燃やす、今後が楽しみな伸びしろがある銘柄だ。

通年出回る定番酒は総じて、可憐な花を思わせる華やかな香りとキリリとした初々しい酸味が特徴だが、ひやおろしは柔らかくなめらかな口当たりで落ち着いた味わいが楽しめる。定番酒よりも香りは控えめで、ややドライに仕上げているため、冷酒として飲むだけではなく、常温や燗酒など、幅広い温度帯で試したくなる。柑橘をしぼった秋刀魚や、キノコや根菜類をこっくりと炊いた煮物など、秋の味覚とともにゆるゆる飲みたい。

価格|1430円(720㎖)
原料米縦国産米
精米歩合|60%
日本酒度|非公開
酸度|非公開
アルコール度|15度
 

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text: Kiyoko Yamauchi photo: Kazuya Hayashi
 2020年10月 特集「新しい日本の旅スタイル」


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