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「遠野醸造」
地域一丸で遠野をビールの里に。
クラフトビールの聖地、遠野へ旅をする

2019.8.5
「遠野醸造」<br>地域一丸で遠野をビールの里に。<br>クラフトビールの聖地、遠野へ旅をする
夏になると遠野ではホップの収穫がはじまる。収穫したホップを積んだトラックが走る風景はホップの産地、遠野だからこそ
写真提供 Brewing Tono事務局

ビールの香りや苦みのもとになるホップ。そのホップの一大産地である遠野市では、遠野醸造をはじめ市やホップ農家などが一体となり、「ビールの里」を目指して動き出している。その取り組みを追う全4回の連載《クラフトビールの聖地、遠野へ旅をする》の初回。

遠野醸造
遠野市のホップだけでなく、地域資源や市民をつなげて醸成できる場所を目指して創業したブルワリー。遠野のホップの魅力を生かしたベーシックで美味しいビールを醸造している。2021年5月で創業3周年

岩手県遠野市でホップ栽培がはじまったのは1963年のこと。遠野市は寒暖差のある冷涼な気候で、台風も少ないということもあり、ホップ栽培には最適な土地だった。7.6haからはじまった遠野市のホップ栽培は、ピーク時の1983年頃にはなんと112haに。

現在でも作付面積では日本一を誇っているが、ピーク時に比べると作付面積、生産量ともに5分の1ほどにまで落ち込んでしまっている。その大きな理由はホップ農家の高齢化。遠野のホップ栽培が存続できるかどうかという危機が迫っているのが現状だ。

日本唯一のドイツ式ホップ栽培を導入
ホップ栽培・収穫は重労働。ホップ栽培先進国ドイツの技術を取り入れ、広大な敷地で、最大の課題であった栽培・収穫の効率化を目指している

その危機を乗り越えるために動き出したのが、遠野市、ホップ農家、そして半世紀にわたりホップ農家と契約栽培を行っているキリンビール。2007年から「TK(遠野×キリン)プロジェクト」を立ち上げ、ホップを軸に地域住民とともに「ビールの里」を目指していくことに。

ホップの毬花
ホップはつる性の植物で、収穫時期の夏には7m以上もの高さにまで成長。毬花を割ると、中には無数に詰まった黄色い小さな粒があり、清涼感ある心地よい香りを漂わせる
写真提供 Brewing Tono事務局

新規就農者を受け入れるだけでなく、ビアツーリズムを実施するなど、遠野ならではの新しいビアカルチャーをつくろうとしている。遠野醸造もその「ビールの里」へ進む過程で生まれたブルワリー。危機に瀕していた遠野が、ホップを軸に変わりはじめている。

文=富江弘幸 写真=鍵岡龍門
2019年7月号 特集「うまいビールはどこにある?」

遠野醸造TAPROOM
住所|岩手県遠野市中央通り10-15
Tel|0198-66-3990
営業時間|月・水・木・金曜17:00〜22:00、土曜12:00〜22:00、日曜12:00〜21:00
定休日|火曜
https://tonobrewing.com


《クラフトビールの聖地、遠野へ旅をする》
1|域一丸で遠野を「ビールの里」に
2|ホップ農家と醸造家のおいしい関係
3|遠野醸造が目指すコミュティブルワリーとは?
4|今年の夏は「遠野ホップ収穫祭」で乾杯!

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