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これからは自分で考える時代
はじまりの奈良

2020.9.7
これからは自分で考える時代<br>はじまりの奈良
山などの集落には昔ながらの自立可能な暮らしを営む人たちがいる。コロナ禍のいまそれは" しなやかな強さ“をも私たちに感じさせる。写真は奥大和・曽爾村曽爾高原から眼下を望む

初代神武天皇が宮を造られ、日本建国の地とされている奈良県。連載《はじまりの奈良》では、日本のはじまりとも言える奈良にゆかりのものや日本文化について、その専門家に話を聞いていきます。今回は、コロナ禍の中で感じ、思っていることを、引き出す場「はじまりの奈良フォーラム」についてです。

自分で考え、それを仲間に共有しよう

今回は「はじまりの奈良フォーラム」の主催者であり「プロジェクト粟」の代表を務める三浦雅之さんと、奈良県地域振興部次長の福野博昭さんの進行の下、参加者が「コロナ禍の中、どのようなことを感じ、考えていたか」を共有し合う時間となった。

後日、その意見を振り返りながら、対談を行った。

——久々の開催でしたが、お二人はどう感じましたか?

福野:コロナのことで議論をする機会がなかったから、それをやって意見が出たことが良かった。いま、みんなが思っていることを引き出す場が大事。「ほんまはどうなん?」って話をする場を自分らでつくる。これからは人を頼る時代じゃなく、自分で考える時代です。自分のことやから、自分で考えて動く。共有すれば安心するし、みんなの意見も取り入れられます。

三浦:胸に刺さります……。福野さんは以前「本気で考えている人が一人いるだけで変わる」とおっしゃっていましたよね。”お客さま”ではなく”自分ごと”として考えるからこそ、前向きなエネルギーが出てくるのだと思います。

——「新型コロナウイルスを機に気づいたことはなんですか?」という問いでは、「正しい情報の読み解き方を学ぶことが重要」、「実際に人と会うことの重要性がわかった」などと、大切なことにあらためて気づいた方も多くいました。

福野:「ローカルに拠点があるといい」など、地方が見直されてチャンスを感じている人も多かった。

三浦:「人口密集していない地域の可能性を感じた」という意見に、共感が集まっていましたね。

三浦さんは1998年から県内の在来作物の研究や栽培保存を開始。「7つの風」と「7つの自給率」をテーマに在来種の野菜や穀物などの種採りをして未来につなぐ活動などを取り組む。写真は奈良県在来の大和まなの種(写真提供:プロジェクト粟)

——「新たに取り組みたいことは何か」という問いでは「村内のもので新しい特産品を開発したい」、「新たに映像関連の仕事をはじめた」、「AIを使った商品開発」など、活発な意見が出ました。お二人は何かにチャレンジする予定がありますか?

福野:奥大和(奈良県の南部東部)には自立可能な暮らしを実現している集落が多数存在しています。暮らしとテクノロジーとを掛け合わせ、奥大和や紀伊半島を持続可能かつ日本の環境最先端エリアにできたらと考えています。

三浦:これまで、地域に吹いている風土、風味、風景、風習、風物、風俗、風情という「7つの風」を大事にしたいといい続けてきましたが、これとつながる住家、食料、エネルギー、学び、生業(生活工芸)、芸術と助け合い、豊かさと幸せ(健康)という「7つの自給率」も大事にしたいと考え、具体的に動き出しています。そしていま、それを実現するハウスを新たに建てるプロジェクトを進めています!それがこれからの時代に必要だなと。

——前を向いている意見が多く、頼もしいです。一方で状況を心配する声もありましたが、それも含め話をすること自体を、皆さんが楽しんでいましたね。

福野:違う世代で集まって思ったことを言い合って、自分たちはどうしようかと考え、話すことが重要やと思います。それがコミュニティだと。

三浦:コミュニティの原点かもしれません。

福野:もう一人ひとりが動き出さなあかん段階にきました。その動き出すエネルギーを共有できるのが仲間やと思います。誰かに伝えるときって一度よく考えるから、たとえばSNSを使うことで自分の発言が行動とつながるようになる。それができるはずやねん。

教えてくれたのは……
福野さんは、県庁職員の立場で奈良県に関係人口を生むきっかけを造り続けている。三浦さんは、在来野菜を提供するレストラン「清澄の里 粟」などを営む。二人とも、奈良県のキーパーソンだ。

cooperation : Masayuki Miura editer:Hazuki Nakamori text : Yoshino Kokubo photo:Kiyoshi Nishioka , Project Awa
Discover Japan 2020年10月 特集「新しい日本の旅スタイル」


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