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久留米絣の魅力が詰まった饅頭
福田里香の民芸お菓子巡礼

2019.10.10
久留米絣の魅力が詰まった饅頭<br>福田里香の民芸お菓子巡礼
箱には絣の代名詞「井桁」の柄。包み紙にも機織りの絵

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は地元に寄り添う菓子づくりが特徴の、吉金菓子舗の「かすり饅頭」を紹介する。

福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍する。8年間にわたり続けている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

久留米絣を手織りする版画が包装紙

福岡県久留米市の「吉金菓子舗」は、地元の文化や産業に根ざした菓子づくりが特徴です。たとえば、安産祈祷で有名な、東京は日本橋蛎殻町の水天宮ですが、実はその総本宮は久留米の水天宮で、その総本宮のお守り札の梵字を麩焼き煎餅に押した上品なお菓子が「いつもじ」です。

また久留米はタイヤで世界的企業に発展したブリヂストンの創業地なので「タイヤ最中」もつくっています。すてきな菓子舗です。

昔、嫁入り道具の布団表用に織られた「城絣」の手提げは久留米絣を代表する柄

さらに民藝運動に関係する銘菓もあります。地元に古くから伝わる伝統織物「久留米絣」をモチーフにしたお菓子「かすり饅頭」です。柳宗悦は名著『手仕事の日本』で“それは「久留米絣」でありまして、おそらく日本のどの国の人も、これで着物を拵えたでありましょう。”などと褒めたたえています。

吉金菓子舗の「かすり饅頭」は、和洋折衷な味わい。バター、蜂蜜、卵でつくったふんわりした皮には、ほどよく酸味のあるマーマレードをサンドして絶妙な美味しさ。しかもパッケージもすべて絣由来でかわいらしさも満点です。

吉金菓子舗
住所|福岡県久留米市日吉町12-28
Tel|0942-32-5827
営業時間|8:30〜19:00
定休日|日曜不定休

text : Ricca Fukuda photo : Wakana Baba
2019年10月号 特集「京都 令和の古都を上ル下ル。」


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