日本の伝統文化を応援!日本伝統三道スペシャルプログラム連載【第二回】ホテル ザ セレスティン銀座×華道
Local Experience(その土地ならではの体験)、Private Style(第二の我が家のように過ごせる場所であること)、Personalized Hospitality(ゲスト一人ひとりにあわせたおもてなし)の3つのキーワードを大切にしているザ セレスティンホテルズ。ゲストのステイ体験をより豊かなものにするため、「ホテル ザ セレスティン銀座×華道」「ホテル ザ セレスティン東京芝×茶道」「ホテル ザ セレスティン京都祇園×書道」と、3館を通して日本伝統三道をテーマとしたスペシャルプログラムを展開している。連載第二回となる今回は、ホテル ザ セレスティン銀座で行われる華道のプロジェクトについて紹介しよう。
国会議事堂までまっすぐ伸びる銀座の“出世街道”がキーワード
日本を代表する商業地・銀座のメインストリートのひとつである外堀通りに面し、三方向に開けた角地に位置するホテル ザ セレスティン銀座。その一角は、見番通りと並木通りの間の細い路地から国会議事堂へ続く銀座の“出世街道”に面している。
この出世街道とは、かつて田中角栄元首相が銀座で食事をしているとき、国会通りに続く路地を走り抜けて国会や議員会館まで向かったと伝わる道。ほぼまっすぐで、国会議事堂に近づくにつれて道幅も広くなっていくことと、一介の議員から総理大臣にのぼりつめた田中角栄を重ねて、そう呼ばれているという。
ホテル ザ セレスティン銀座では、銀座という社交場の象徴として、華やかさの中にある「上昇の気」をテーマにした、“いけばな”の作品を制作し、ロビーやエレベーターホール、レストランなどのパブリックスペースに展示している。行き交うゲストを装花でもてなす「華道」の取り組みについて、ホテルスタッフに伺った。
フラワーアレンジメントから“いけばな”を使った空間演出へ
「もともと、ゲストに季節感を楽しんでいただきたいという気持ちで開業当初からフラワーアレンジメントを飾っていました。海外からのお客様が非常に多く、日本の桜や紅葉を楽しみにする方も多くいらっしゃいます。とはいえ開花の時期は限られているので、タイミングを逃してしまった方に楽しんでいただく意味でも桜のアレンジメントを置くなどして、とても好評をいただいていました。海外のお客様はアートに精通している方も多く、“いけばな”を展示することで日本文化を楽しんでいただくことはもちろん、日本のお客様にも美しい伝統文化を再認識していただくことができると感じました」
日本の伝統文化である華道のおもてなし
今回のプログラムでは、若手華道家が「華やかさ」と「上昇の気」をテーマに作品を展示。秋、クリスマス、お正月などシーズンごとに作者と作品を入れ替えることで、ゲストの目を楽しませるとともに、文化の伝承を担う若手作家の作品発表の場として機能させている。展示されていたのは、関口彩さんとルーセル柳香さんによる作品だ。関口さんに作品のコンセプトを語ってもらった。
「ホテルのロビーやラウンジにはよくお花が飾られていますよね。大小はありますが、多くはお花屋さんによるフラワーアレンジメントです。ホテルにお花を飾るというのは一般的ですが、今回はさらに一歩踏み込んだ“いけばな”というアート作品をオーダーいただいていると考え、置かれる場所も含めて、造形的な植物のアート作品をつくろうと考えました。私が師範の資格をとった草月流には“いつでも、どこでも、誰にでも”というコンセプトがあります。見てもらう人のことを思い浮かべ、その場に合った花をいけることが大切で、その作品をほかの場所に持って行っても成立する作品はよしとされません。今回も上昇の気というテーマだけでなく、ホテルのコンセプト、天井の高さ、インテリア、それからエントランスはオリジナルアロマのいい香りがしていたので、その香りを邪魔しない花を選ぶなど、あらゆる要素を考慮して作品をつくりました」
「ホテル ザ セレスティン銀座のお客様は、アートにも造詣が深い海外の方が多いと伺いました。“いけばな”は命を持った植物を材料にした一瞬のアートです。人間が生まれて死んでいくように、日が昇って沈んでいくように、輪廻にも通じる大きなテーマをもつ“いけばな”という日本のアートを、多くの方に知っていただけると嬉しいですね」
“いけばな”とサービスに共通する心とは?
ホテルスタッフによるとホテル ザ セレスティン銀座では、この取り組みにあたって “いけばな”の研修を受けたという。
「関口さんから“いけばな”の成り立ちやいけ方を講義やデモンストレーションで教えていただきました。アート作品とはいえ、どういう人に向けてどういう場所に置かれる作品かでいけ方や花の選び方が変わるというのを伺いました。ホテルはご予約の段階からお迎えまでに万全の準備をします。お子様がいらっしゃるなら、何歳でステップが必要かしらとか、リピーターのお客様で以前に『ベッドスローはいらないよ』と言われていた方でしたらあらかじめ外した状態でお迎えするなど、お客様がいらっしゃる前の準備段階から相手のことを思いやるという心は、華道とホテルのサービスに共通しているように思います」
華道では、相手と向かい合って座り、正面を相手に向けた状態で後ろから花をいける“後ろいけ”という技法がある。自分に向けて花をいけるのではなく、相手からの見え方を想像していけるのだという。“いけばな”というのは作者の個性を追求する芸術作品であるというイメージが強かったが、唯一無二の個性を出しつつ、相手の目線やまわりの状況を想像してつくられるものでもある。
「私たちはザ セレスティンホテルズの3つのコンセプトを体現するにあたり、大きなホテルではありませんが、チェックイン時にお部屋までひとりのホテルスタッフがご案内するエスコートチームがおります。エスコートの時間を使って、どこからいらしたのか、夕食の場所が決まっていないようでしたらおすすめのレストランがありますよ、といったコミュニケーションをとるようにしています。こういったことが限られた空間、時間でできるおもてなしだと考えています。もちろん、お話が好きではない方もいらっしゃいますので、お客様のお立場、性格、お話のテンポなどを認識して距離感を変えます。スタッフが臨機応変に対応することが、お客様ひとりひとりの居心地のよさにつながると思っています。華道とサービスにそういったおもてなしの共通点があるということは新しい発見でした。海外のお客様に華道の精神性を紹介するためにも調査研究で“いけばな”をやってみたいというスタッフの声も出てきているので、いい相乗効果になっていくと思います」
ゲストにとって唯一無二の豊かな滞在のために
場に合った“生きる芸術”で空間を演出する、華道のおもてなし。ゲストそれぞれに合ったコミュニケーションで居心地の良さを届ける、ホテルのおもてなし。どちらも直接的ではないが、ホテルの印象として、ひいては旅の思い出としてゲストの心に長く残るものとなる。今後も季節に合わせ、複数の作家による作品展示を予定しているという。「ホテルザ セレスティン銀座×華道」のプログラムとは、一過性のイベントではなく、ゲストのステイ体験をより豊かにするためのおもてなしの心、そのものだった。
ホテル ザ セレスティン 銀座のHPはこちら
【次回予告】ホテル ザ セレスティン京都祇園×書道
さまざまなアーティストとのコラボレーションや独自の創作活動、大河ドラマなどの題字を手掛けるなどで、国内外から熱い注目を集める書道家・武田双雲さんが揮毫した書を展示。イベントも開催予定。
展示期間:2019年10月26日(土曜)~2020年2月23日(日曜)
展示場所:ホテル ザ セレスティン京都祇園 ロビー地下1F
レストラン「八坂圓堂 THE CELESTINE KYOTO GION」地下1F
住所:京都府京都市東山区 八坂通東大路西入ル小松町572
Tel:075-532-3111
詳しくはこちら
「ホテル ザ セレスティン東京芝」リブランド2周年記念イベント鹿児島食材+シェフ厳選食材を味わえるディナーブッフェ開催!
メインダイニング「ラプルーズ東京」で、鹿児島ならではの食材とシェフ厳選のこだわり食材を取り入れた特別ディナーブッフェを用意。ライブキッチンから黒牛や黒豚のアツアツのステーキ、揚げたてのさつま揚げなどもご用意。鹿児島のカンパチの解体ショーも。
日程:2019年11月27日(水曜)、11月28日(木曜)
時間:18:00~21:00(L.O.20:30)
料金:一人8000円(税込。乾杯用シャンパンとソフトドリンク込み)
会場:1Fレストラン ラプルーズ東京
住所:東京都港区芝3−23-1
Tel:03−5441−4111
詳しくはこちら
記事の感想をお寄せください!
文=山本章子