《Sghr スガハラ》
しゃぼん玉のように軽やかな風鈴
千葉県・九十九里町に工房を構える「Sghr スガハラ」の風鈴。職人の手仕事から生まれる、日々の暮らしに寄り添うプロダクトだ。偶然が織りなす色彩と涼やかな音色に、涼を感じよう。
Sghr スガハラ
1932年の創業時より手仕事を貫くガラスメーカー。製品が3000種類を超えるいまも、職人たちが切磋琢磨し、時代が求める製品をつくり続けている。
職人の手仕事で生み出す
「消えないしゃぼん玉」
空にふわりと漂うしゃぼん玉のような風鈴。陽の光を受けて虹色にきらめき、カラカラと涼やかな音色を響かせる。「Sghr スガハラ」の「虹色風鈴」は、プロダクトデザイナー・鈴木啓太氏とのコラボレーションで10年ほど前に生まれた。以来、毎年夏の風物詩となっている。

虹色風鈴は、炉の中で真っ赤に溶けたガラスの種を吹き棹に取り、型に一つひとつ吹いていく。ガラスの声に耳を傾け、厚みを均一にするのはまさしく職人技だ
スガハラの原点は、東京・下町で問屋からの注文を受けてガラス製品をつくる町工場。工房を千葉・九十九里の現在地に移転した後、大きな転機となったのが、1973年のオイルショック。物価高騰を背景に価格競争が激化する中、下請けではなく、自ら企画・製造・販売するメーカーへとかじを切った。ほどなくして大ヒットしたのが、当時流行していたコーヒーゼリー用のうつわだ。それは、職人たちが日頃からガラスの可能性を追求し、手を動かしていた試作品の中から生まれたものだ。

ガラスは約1400℃でとろとろに溶け、約600℃まで冷えるとほぼ動かなくなる性質をもつ。陶芸や木工のように素材を直接手で触ることはできず、道具を使って成形していく。「ガラスは生きている」と職人たちが声を揃えるのは、同じ工程でも日によってガラスの動き方が異なり、一瞬にしてその表情を変えていくため。どの状態で息を吹き込み、どこを引っ張ればどう変わるのか、その感覚は、長年ガラスと向き合ってきた職人にしかわからない。
虹色風鈴もまた、そうした感覚から生まれる。吹き棹の先に取ったガラスを、型に一つひとつ吹き込んでいく。炉から巻き取るガラスの量は、毎回寸分違わずというわけにはいかないため、吹き加減で厚みを均一にし、型からはみ出す部分を切り落として仕上げる。そして、この風鈴の象徴でもある虹色のきらめきは、いくつもの方法を試した末に、ガラスにラスター塗料を焼き付ける方法にたどり着いた。「消えないしゃぼん玉」が完成した瞬間だった。舌と呼ばれる、音を鳴らす玉もガラス製。もちろん手づくりである。

工房にはおよそ30名のガラス職人がいて、そのうち10名ほどが女性。2~4名でチームを組み、手作業を中心としながら効率よく、暮らしを彩るガラス製品をつくる
現在、スガハラの製品ラインアップは、色やサイズ違いを含めて3000点以上。さらに毎年新製品が加わる。そのすべてを支えているのが職人の手仕事だ。興味深いのは、外部とのコラボレーションはあっても、社内にデザインだけを担うデザイナーがいないこと。なぜなら、一番ガラスをよく知る職人たちだからこそ、図面では表せないガラスのかたちを追求できるから。その中でひとつだけ約束がある。それは「暮らしの中で使えるもの」であること。手仕事を守りながら、日々の生活に寄り添うプロダクトとして届ける。その姿勢こそがスガハラのものづくりの根幹にある。
近年は、資源を無駄にしない新たな挑戦もはじまった。これまで廃棄せざるをえなかった、色が混ざったガラス端材をまとめて溶かし、一期一会の色を楽しむ製品に仕立てるのがそのひとつ。偶然によって生まれる色彩を、新たな価値観へと変えていく。
line

ガラスに特殊な加工を施した、しゃぼん玉のようにはかなげな風鈴。オーガンジーの短冊が風を受けて鳴る音色はとても涼しげ。桐箱に納まり、贈り物にも喜ばれる
価格|7700円 サイズ|ガラス部分φ60×H55㎜、全長440㎜ 重量|43g
商品がオンラインで買える!
公式オンラインショップ
Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同シリーズでも個体差があります。
text: Yukie Masumoto photo: Yuko Okoso
2026年8月号「海へ 山へ」



































