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《ヘラルボニー》
アート×福祉で地域活性化を叶える
後編|岩手・盛岡から世界へ!

2026.4.14
《ヘラルボニー》<br>アート×福祉で地域活性化を叶える<br><small>後編|岩手・盛岡から世界へ!</small>

2018年7月、岩手・盛岡で誕生した「へラルボニー」が、世界へ歩みを進めている。主に知的障害のある作家の作品を世に送り出す独自のビジネスモデルはさまざまな業界に一石を投じており、「LVMHイノベーションアワード」やカンヌライオンズ「Glass: The Lion for Change」ゴールドの受賞など、国際的な評価と注目度は年々高まるばかりだ。後編では、ヘラルボニーが展開する岩手と東京の店舗をご紹介!

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ヘラルボニーが
「岩手」を拠点にする理由

へラルボニーの本社が置かれているのは岩手・盛岡の地。そこには「兄が暮らす岩手をより豊かにしたい、岩手から障害への意識を変えていきたい」という、文登さんと崇弥さんの強い想いが根底にある。へラルボニーの活動は地域にも根づいており、2025年からJR盛岡駅の在来線コンコース内に、契約作家・生田梨奈子氏の巨大なアートバナーが常設展示されることとなった。日常的に障害のある人の作品に触れられる機会の創出は、意識の変容のきっかけになると同時に、多様性と創造性を育んでいくのだろう。

原点の地・盛岡に構えたフラッグシップストア
〈ISAI PARK〉

1866年創業の歴史ある老舗百貨店「パルクアベニュー・カワトク」の全館改装計画の総仕上げとして、「HERALBONY ISAI PARK」はオープンを迎えた

そんなJR盛岡駅から13分ほど歩くと、県内唯一の百貨店「パルクアベニュー・カワトク」(以下、カワトク)にたどり着く。街のシンボルでもあるカワトクは、岩手県民はもちろん、文登さんと崇弥さんにとっても大切な場所。二人は「最初にショップを構えるならカワトクがいい」と考えていたそうで、2020年にヘラルボニー初の期間限定店舗をカワトクに出店する。そして2025年3月、1階メインエリアに旗艦店「HERALBONY ISAI PARK」としてオープンを果たした。

旗艦店が入居するのは百貨店1階の一等地。「表現や存在そのものが価値となる社会」を体現し、障害の有無にかかわらず、ありのままを受け入れる公園のような場所を目指していく

旗艦店はショップ、ギャラリー、カフェを併設した複合型の施設。ヘラルボニーが目指す未来を可視化した“公園”として、新しい出合いと寛ぎをもたらす場を目指す。リニューアルにあたりクラウドファンディングを実施したところ、地域の方々からたくさんの支援が寄せられたといい、「一緒に文化をつくっていこう」という期待値の高さもうかがい知れる。

旗艦店が入居するのは百貨店1階の一等地。「表現や存在そのものが価値となる社会」を体現し、障害の有無にかかわらず、ありのままを受け入れる公園のような場所を目指していく
併設するCafe & Dining & Bar「無題」では、盛岡の食材を使ったメニューが楽しめる。週末には不定期で、DJイベントやクラシックコンサートを開催。地域の賑わいの拠点としても機能している

ISAI PARK
住所|岩手県盛岡市菜園1-10-1 1F
営業時間|10:00~19:00
定休日|施設の休館日に準ずる
https://isaipark.heralbony.com/about

作家や作品と出合い、
障害への価値観が変容する体験を
〈HERALBONY LABORATORY GINZA〉

ギャラリーでは契約作家はもちろん、契約を結んでいないアーティストの展示も行っている。カラフルなかぎ編みの衣装はフィンランドの作家・マイマ・タニ氏の作品

さらに同年、東京・銀座にも常設店舗となる「HERALBONY LABORATORY GINZA」をオープンさせた。ここは「常識という見えないボーダーを、アートでとかす実験場」。隣り合うショップとギャラリーでの滞在は発見に満ち、障害のある作家の作品やアート活動を通して、障害に関する価値観が変わる体験を提供している。

作家の作品を落とし込んだプロダクトが店内を彩っている。空間デザインの監修を行ったのは、「method」の山田遊氏、空間・什器デザインは「DAYS.」西尾健史氏が手掛けた

売上構成費は東京の割合が圧倒的に大きい。しかし旗艦店はあくまで盛岡だ。「ローカルから発信することにこそ意味がある。『100年先の未来に残る価値』とは何か、『ほんとうのさいわい』とは何か。これらの問いと向き合い、豊かな文化が根づく岩手という土地で、はやり廃りではない文化をじっくり耕していきたいと考えています」と、文登さんは未来を見据えたまなざしで言葉を紡ぐ。

店頭にはコラボレーション作品も豊富に並び、訪れるたびに新たな出合いが。写真は「TEN TIAL」によるリカバリーウェア「BAKUNE Pajamas Dry(HERALBONY)」。着用できるアート作品のよう

「岩手『なのに』、障害がある人『なのに』できるんだ。ではありません。岩手『だから』、障害がある人『だから』できるんです。『異彩を、放て。』このミッションを胸に抱き、私たちは世界に挑みます」と文登さんと崇弥さんは言う。へラルボニーは岩手ないし日本が誇るブランドへ成長している。快進撃はまだまだ止まらない。

HERALBONY LABORATORY GINZA
住所|東京都中央区銀座2-5-16 1F
営業時間|11:00~19:00
定休日|ストア/なし、ギャラリー/火曜(祝日の場合は翌日休)
https://heralbony.com/pages/hlg

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《ヘラルボニー》
アート×福祉で地域活性化を叶える

01|ミッション「異彩を、放て。」に込められた思い
02|「地域を豊かに」するビジネスモデルとは?
03|岩手・盛岡から世界へ!

text: Nao Ohmori photo: Kenji Okazaki
2026年2月号「地域を変える企業」

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