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季節を変えて何度も訪れたい、旬の美味を唐津焼で愉しめる日本旅館「洋々閣」

2019.10.22
季節を変えて何度も訪れたい、旬の美味を唐津焼で愉しめる日本旅館「洋々閣」
春から秋の美味といえばオコゼ。特に美味しい時期は6〜8月。写真は薄造り。オコゼ尽くしのコースも相談できる

日本を代表するうつわの産地・唐津。この唐津の町にある「洋々閣」では、陶芸家・中里隆さんの作品をはじめとした唐津焼に盛りつけられた、玄界灘の海の幸が堪能できる。うつわ好き垂涎の宿だ。

昔ながらの日本旅館の風情を残す。母屋は大正元年建築の木造2階建て。ロゴに用いている洋々閣の文字は書家・今井凌雪氏によるもの

唐津と聞けば、うつわ好きの血が騒ぎ出す。一楽、二萩、三唐津。優れた茶陶を並べると三傑に入る唐津焼。日常のうつわとしてはいささか扱い難い前二者に比べ、普段使いにも重宝するのが唐津焼だ。

そんな唐津だが、実際にどの辺りにあるのか。即答できる人は少ないに違いない。そのありかを探るヒントが地名に隠されている。唐は中国、津は港を表すとされ、つまりは朝鮮半島を経由して、唐と交流する港だったことから、唐津の名がついたといわれる。地図を見れば、まさしくそんな位置。

唐津焼はこの場所だからこそ生まれたに違いない。九州新幹線から遠い唐津へは、博多から地下鉄でアクセスする。地下鉄のはずが、いつしか地上に出て、やがて海のそばを走り、虹の松原が見えてきたら唐津。

8畳と6畳、広縁が付いた十坊(とんぼ)の間。広縁からは日本庭園が一望でき、ゆったりとした時間を過ごせる。浴室には檜風呂がつく

その唐津に優れた宿があり、名を「洋々閣」という。日本旅館といえば、真っ先にこの洋々閣を思い出すほど、お手本のような宿である。潮風漂う虹の松原近くに建つこの宿は、うつわ好きにはたまらない魅力を秘めている。それは唐津焼の第一人者、「隆太窯」の中里隆さんをはじめとして、本物のうつわをふんだんに使った料理が供されるからである。

美しい格子窓を通り過ぎ、玄関に入ると、打ち水に濡れた敷石を踏み、上がり框に置かれた行燈の優しい灯りが迎えてくれる。靴を脱ぎ、まず目に入るのは花守の手による壺の生花。初夏の頃なら泰山木の白い花。高貴な香りをかすかに感じ、ロビーを横目に部屋へとたどる。

館内には唐津焼のギャラリーが
唐津焼の第一人者・中里隆さんの「隆太窯」や、中里さんの娘・中里花子さんの工房「Monohanako」などのうつわが並ぶ

「浮岳」がいつもの僕の部屋だが、「玄海」や「十坊」もいい。どの部屋も洗練された造作で、古きよき日本旅館の姿を残している。

部屋でひと息ついたらまずはギャラリーへ。うつわ好きには何よりの目の保養。気に入ったうつわがあればその場で購入できる。はて、このうつわには何を盛ろうか、と思いを馳せるのも愉しい。ギャラリーの奥には大浴場があり、温泉ではないが、手足を伸ばして、ゆっくりと湯浴みができる。

通年楽しめる、黒毛和牛のしゃぶしゃぶ(要予約)。約50年前に九州で最初にしゃぶしゃぶをはじめたのはこちらの宿

そして湯上がりの愉しみは、なんといっても宿自慢の夕餉。冬なら名物“アラ尽くし”や“フグ鍋”となるところだが、春から秋にかけての“オコゼ料理”も捨て難い。連泊するなら一夜は“黒毛和牛のしゃぶしゃぶ”をお試しあれ。宿自家製のゴマダレは、酸味が利いてさっぱりと、肉がいくらでも食べられる。

無論のことうつわは隆太窯をメインにして、料理を引き立てる、品のいいモノが並ぶ。互いを補完する「うつわと料理」と同じく、「宿の主人とうつわのつくり手」が響き合う宿は、実に清々しい。

洋々閣
住所:佐賀県唐津市東唐津2-4-40
Tel:0955-72-7181
Fax:0955-73-0604
E-mail:info@yoyokaku.com
客室数:19室
料金:1万8360〜5万4000円(税込)
カード:AMEX、DINERS、JCB、MASTER、VISA、銀聯
IN:15:00 OUT:10:00
夕食:会席料理(部屋) 朝食:和食(食事処)
温泉:なし
風呂:大浴場男女別各1(15:00〜23:30、6:00〜10:00)、部屋風呂17
アクセス:車/西九州自動車道前原ICから30分 電車/JR唐津駅から車で7分
館内施設:隆太窯ギャラリー、Monohanakoギャラリー、回遊式庭園
Wi-Fi:あり

文=柏井 壽 写真=津久井輝明
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