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Mummy-Dとクリス・グレンがゆく!
桑名、タイムトラベルの旅

2020.3.13 PR
Mummy-Dとクリス・グレンがゆく!<br>桑名、タイムトラベルの旅

東海道五十三次の42番目の宿場町であり、伊勢国の玄関口としても知られる三重県桑名市。戦国時代から江戸時代にかけての面影が色濃く残るこの街を、日本の歴史好きの二人がめぐった。

〈Profile〉
Mummy-D(ライムスター)
ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパー、プロデューサー。日本語ラップの方法論を模索し、成功に導いた第一人者。日本の歴史好きとしても知られ、桑名市“魅力みつけびと”を務める

クリス・グレン

オーストラリア出身。1993年から名古屋のZIP-FMでラジオDJとして活躍。趣味は戦国時代の歴史研究、甲冑武具の研究、城めぐり。日本の歴史・文化に造詣が深く、その魅力を広く伝えている

日本の歴史好きには外せない
全国統治、要の地

歌川広重が描いた七里の渡。渡し舟が木造の帆船であったことなど当時の様子がよくわかる。右奥には桑名城の隅櫓のひとつ蟠龍櫓(ばんりゅうやぐら)が。現在同じ場所に建つ水門統合管理所は、この蟠龍櫓の外観を復元したもの(下の写真の中央に見える建物)
歌川広重『保永堂版 東海道五捨三次之内 桑名 七里渡口』桑名市博物館蔵

古くから湊町として栄えた桑名は、日本の歴史好きには外せない地。なぜなら、かつて名将・本多忠勝が町割をし、松平家11万石の城下町として、また東海道宿場町として栄え、それらの史跡をたどることができるのだから。

全国ツアーで日本各地を回る際に城や史跡、古戦場を訪ね歩くというMummy-Dさん。甲冑師に弟子入りして甲冑を自作するほど日本の歴史や文化が好きなクリス・グレンさん。すでに何度も桑名に足を運んでいるお二人だが、訪れるたびにこの街の懐の深さに気づくと言う。

桑名の歴史のハイライトは、ひとつは戦国の世の終わりだろうか。関ヶ原の合戦で徳川家康が勝利するものの、大坂には豊臣秀頼が残り、情勢が不安定だった時代。家康は、徳川四天王の一人でもある本多忠勝を東海道の桑名に置いた。忠勝は桑名の初代藩主として桑名城と城下町を整備し(「慶長の町割」と呼ばれる)、宿場町としての機能を整え、現在の桑名の街の基礎を築いていく。

七里の渡跡から桑名城跡を眺めれば、古地図に描かれた城下町の様子がありありと浮かぶ

なぜ家康は、桑名に最も信頼する家臣を据えたのか。桑名は木曽三川(木曽川、長良川、揖斐(いび)川)の河口部に位置するため、川の物流はすべて桑名を通り、逆に海から入ってきたものはここから内陸に向かう。海と内陸が交わり、東海道で東と西が交差する、たとえればアジアとヨーロッパを結ぶイスタンブールのような交通の要所である。家康は、同じく徳川四天王の一人である井伊直政を東山道の彦根に置き、桑名と彦根を固めることで大坂に残る豊臣家の抑えとした。この桑名と彦根のラインは、豊臣家をそれ以上東に来させない防衛ラインとして一番重要であった。つまり桑名は全国統治の要だったのだ。

大坂の陣で豊臣家が滅びると本多家は姫路に転封になり、代わって桑名城に入ったのが家康の異父弟である松平定勝。家康にとって桑名は依然として重要な位置づけであったことがわかる。

東海道を行き交う人々で賑わう
伊勢国の玄関口

桑名名物、焼きハマグリ。木曽三川の真水と伊勢湾の海水が混じる汽水域はハマグリの宝庫。浮世絵には松ぼっくりで貝を焼く女性が。桑名の焼きハマグリは江戸にも知られていた
葛飾北斎『桑名四日市へ三里八丁』桑名市博物館蔵

そして平和な江戸時代の到来。お伊勢参りが盛んになると、伊勢国の玄関口である桑名も東海道を行き交う人々で賑わった。5世紀頃に創建され、“北のお伊勢さん”とも呼ばれる「多度大社」にも多くの人が訪れたという。東海道41番目の宮宿から、42番目の桑名宿までは、船で海路を行かねばならない。その距離が七里だったことから「七里の渡し」と呼ばれ、桑名の船着き場にある大鳥居は、これより伊勢路に入るために伊勢国の「一の鳥居」と親しまれてきた。

「ここの鳥居を参勤交代の大名がくぐったかと思うと感慨深いですね」とMummy-Dさん。「桑名は江戸時代のにおいが濃厚な場所。たびたびの戦争で建物は焼失したものの、町割や旧街道に残された史跡、古地図などから、栄えていたであろう往時の姿を頭の中で組み立てることができます」

多度大社の門前町で「大黒屋」の鯉料理に舌鼓を打つ。創業は江戸中期。約280年前、当時の女将が木曽三川の船着場で水揚げされる川魚に目をつけたのが、大黒屋の鯉料理の起源。仕入れた鯉を多度の伏流水が注ぐ池に放し、3週間餌を与えずに泳がせることで、臭みが取れて甘く、身が締まる。鯉の洗いはワサビ醤油でいただく

刀剣ファンから熱い視線を注がれる
桑名ゆかりの日本刀「村正」

さて、もうひとつ、桑名と聞いて歴史好きの心をくすぐるのが、桑名ゆかりの日本刀「村正」の存在。桑名で名刀工として活躍した村正の作だ。徳川家に災いをもたらす「妖刀・村正伝説」も相まって、刀剣ファンから熱い視線を注がれている。今回、この村正をはじめ、貴重な日本刀を多数所蔵する「桑名市博物館」を訪れたお二人。戦国〜江戸時代の3本の名刀を手にし、「刀の重さ以上の重みを感じます」とMummy-Dさん。「戦国時代に甲冑を着て馬に乗った状態でよく使われた“太刀”は反りが大きめ。江戸時代に武士が身につけていた“打刀”や“脇指”とは反り具合が違うのもおもしろいですね。」とクリスさん。「日本の侍は戦だけではなく、茶道や書に親しむなど芸術や文化面も大切にしています。刀も甲冑も、お城にしても、美しさと機能性が共存する。このことは、日本人がもっと誇りに思っていいと思います」。

博物館で桑名ゆかりの刀剣とご対面。名刀「村正」をはじめ、刀剣ファンをうならせる作品を数多く所有する桑名市博物館。お二人は、「村正」、「信高」そして剣豪と名高い柳生連也(やぎゅうれんや)が所持したとされる江戸期の刀と対面。刀の柄やはばきを外し、古い油を拭き取り新しい油をつけるという手入れを体験

ほかに、松平定勝をはじめ歴代の桑名藩主が眠る「照源寺」、宝暦治水で命を落とした薩摩藩士の墓とともに当時の様子を伝える「海蔵寺」、江戸時代より伊勢神宮・多度大社の参拝者や旅行者のお腹を満たしてきた「大黒屋」、「永餅屋老舗」など、歴史的立ち寄りスポットがたくさん。ぜひ桑名タイムトラベルの旅を楽しんでほしい。

今回の旅がミュージックビデオに!

桑名市“魅力みつけびと”Mummy-Dさんが桑名をテーマに作詞作曲した「くわなにさくはな」のPVが公開中!

Mummy-Dさんが語る桑名の魅力とは?

2019年夏に東京で行われた、Mummy-Dさんが出演した桑名の魅力を紹介するトークイベント「Dig.K」の様子を公開しています。

Mummy-Dとクリス・グレンがゆく!
歴史好きならおさえておきたい!桑名 立ち寄りスポット
・桑名、タイムトラベルの旅

 

文=増本幸恵
写真=山平敦史

2019年11月号 特集「すごいぜ!発酵」

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