FOOD

すし作家・岡田大介さんの
鮨の米と酢、魚を大解剖②

2024.12.30
すし作家・岡田大介さんの<br>鮨の米と酢、魚を大解剖②

酢飯と魚の味わいのバランスが大切と説く、すし作家の岡田大介さん。では実際、米、酢、魚、そして薬味をどんな思考で合わせているのか。鰹の藁焼き、シイラ、生コハダ、ケンサキイカ、煮穴子の5つの鮨を例に見てみる。今回は、生コハダ、ケンサキイカ、煮穴子をご紹介。

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《生コハダ》

酢の代わりにユズ果汁を用いる高知で学んだ酢飯。岡田さんは「コハダは酢締めされることが多いですが、生でも美味しい」と話す。生コハダの旨みにしろたまりの優しい塩味とユズ香る酢飯が相性抜群。

〈使った食材・調味料〉

乾燥 とさかのり
ショウガ、甘酢と一緒に漬け込むことで彩り鮮やかな薬味となる「トサカガリ」 価格|700円
問|シーベジタブル https://seaveges.com ※現在は一時販売停止中

足助仕込三河しろたまり
価格|756円/300㎖
問|日東醸造 https://nitto-j.com
佐賀のコハダ漁師・寺田一人氏の、鱗がたっぷり付いた鮮度抜群のコハダを使用している
ササシグレ 特別栽培
山形の農家・伊藤大介氏が育てたササシグレを愛用。玄米で仕入れ、自家精米している
酸味、香りがほどよい完熟ユズを使うのがおすすめ。合わせた藻塩は石川・能登で5種類の海藻を使用してつくられたもの

《ケンサキイカ》

甘みが強いコシヒカリに、佐渡産のもち米・こがねもちを合わせ、那智黒米寿と有機三州味醂でほんのり甘めの酢飯に。イカに塗った青のりしょうゆの旨みとすじ青のりの香りで段階的に楽しめる。

〈使った食材・調味料〉

そのまま干したすじ青のり
価格|500円
問|シーベジタブル https://seaveges.com

青のり しょうゆ
すじ青のりは、青のりの中でも最も香りが鮮烈で、旨みが強い海藻
価格|2430円/200㎖
問|シーベジタブル https://seaveges.com
※現在は一時販売停止中
釣り好きの岡田さん自ら釣ったケンサキイカを新鮮なうちに冷凍。解凍するとねっとりと甘く
ひなたの粒 茨城県産(農薬・化学肥料不使用)
価格|950円/kg
問|お米農家やまざき www.okome-yamazaki.com

那智黒米寿
「鮨はしっかり噛んで食べると、より美味しい」と、ここではもち米も活用」
価格|2700円/300㎖
問|丸正酢醸造元 www.marusho-vinegar.jp
有機三州味醂
価格|1265円/500㎖
問|角谷文治郎商店 https://mikawamirin.jp

《煮穴子》

「煮詰めを塗るので、鮨の中では味わい強めの部類」と岡田さん。そこで魚1|酢飯1のバランスにするために黒米入りでササシグレを炊くのが肝。甘さの中にあつばアオサのほろ苦さがアクセントに。

〈使った食材・調味料〉

ゆず皮
問|ファームベジコ
Instagram|@farm_vegeco

そのまま干したあつばアオサ
価格|500円
問|シーベジタブル https://seaveges.com
穴子は九州、山陰、東北など産地はいろいろ。実は加熱する鮨ダネこそ、鮮度が重要
今回使ったのは千葉の農家・秋葉秀央氏栽培の黒米。加える量は白米に対して8%
ササシグレ 特別栽培/紫黒苑(シコクエン)

問|SEEDRICE.net http://xn--mnqu5j925b.net
富士すし酢
炊きたてのご飯に混ぜて使う合わせ酢。粗糖とハチミツが使われ、冷めてもしっとりとした酢飯に
価格|756円/360㎖
問|飯尾醸造  www.iio-jozo.co.jp

魚と鮨のすべてが わかる『すし本』

岡田さんが執筆した『すし本 海から上がって酢飯にのるまで』(大和書房)が2024年5月に発行。鮨職人と釣り人目線の両面から、独自の見解も織り交ぜつつ「すし」の世界を紹介する。「すし」のページと「魚」のページで構成され、写真を多用したオールカラーで読みやすいと評判。紹介している鮨は107種と情報量も文句なしだ。

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text: Tsutomu Isayama photo: Seitaro Ikeda
Discover Japan 2024年12月号「米と魚」

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