酢飯と魚の味わいのバランスが大切と説く、すし作家の岡田大介さん。では実際、米、酢、魚、そして薬味をどんな思考で合わせているのか。鰹の藁焼き、シイラ、生コハダ、ケンサキイカ、煮穴子の5つの鮨を例に見てみる。今回は、生コハダ、ケンサキイカ、煮穴子をご紹介。
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《生コハダ》
酢の代わりにユズ果汁を用いる高知で学んだ酢飯。岡田さんは「コハダは酢締めされることが多いですが、生でも美味しい」と話す。生コハダの旨みにしろたまりの優しい塩味とユズ香る酢飯が相性抜群。
〈使った食材・調味料〉
《ケンサキイカ》
甘みが強いコシヒカリに、佐渡産のもち米・こがねもちを合わせ、那智黒米寿と有機三州味醂でほんのり甘めの酢飯に。イカに塗った青のりしょうゆの旨みとすじ青のりの香りで段階的に楽しめる。
〈使った食材・調味料〉
《煮穴子》
「煮詰めを塗るので、鮨の中では味わい強めの部類」と岡田さん。そこで魚1|酢飯1のバランスにするために黒米入りでササシグレを炊くのが肝。甘さの中にあつばアオサのほろ苦さがアクセントに。
〈使った食材・調味料〉
魚と鮨のすべてが わかる『すし本』
岡田さんが執筆した『すし本 海から上がって酢飯にのるまで』(大和書房)が2024年5月に発行。鮨職人と釣り人目線の両面から、独自の見解も織り交ぜつつ「すし」の世界を紹介する。「すし」のページと「魚」のページで構成され、写真を多用したオールカラーで読みやすいと評判。紹介している鮨は107種と情報量も文句なしだ。
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text: Tsutomu Isayama photo: Seitaro Ikeda
Discover Japan 2024年12月号「米と魚」