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《京都伝統産業ミュージアム》
74の伝統産業への理解を深める

2024.10.30 PR
《京都伝統産業ミュージアム》<br>74の伝統産業への理解を深める

国指定の17品目を含め、74にも上る京都市の伝統産業。ジャンルは多岐にわたるが、どれも職人の巧みな手仕事の連続で生み出されるもの。「京都伝統産業ミュージアム」では京都市の伝統産業への理解を深められる。その一端や展示内容についてご紹介!

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美麗な模様を染め出す
京友禅

多彩な模様を布に染める技術で、刷毛や筆を使って描き染める「手描友禅」と型紙を使って染める「型友禅」がある。手描なら図案作成にはじまり、下絵、糊置、挿し友禅、地染め、蒸し、水元(余分な染料と糊を洗い除く)など十数の工程を専門職人が分業で行うが、展示ではそれが総覧できる。

卓越した技法の多様さと華やかさ
京焼・清水焼

平安時代より前から京都では焼物がつくられていたが、産地として栄えるのは安土桃山時代以降。全国各地と中国古陶磁の影響を受け集積した技術・技法の多様さと華やかな絵柄が特徴。

しなやかな竹が生む用の美
京竹工芸

京都の山で育まれた、良質のしなやかな竹材を使った竹工芸品。利休が、漁師が使っていた籠を見て花籠として使いはじめたのをきっかけに茶道にも取り入れられたといい、華道具や室内の飾りなどにも幅広く使われている。

平安貴族の生活の中で発展
京扇子

9世紀頃日本で考案された扇子は貴族の暮らしの中で発展。涼を呼ぶ実用の夏扇だけでなく、舞扇・能楽扇・芸扇など芸道用のもののほか、飾扇など多くの種類がある。

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繊細さと丈夫さを兼ね備える
京くみひも

専用の台を使って絹糸を組み上げたひも。平安時代の宮廷装束の飾りにはじまり、繊細かつ丈夫なことから武具甲冑や調度品など用途が広がった。現在は帯締めのほかインテリアなどにも使われる。

平安時代から人々の祈りを支える
京仏具

おりんをはじめ寺院や家庭で使われる金属製・木製の各種仏具。多くの種類があるが、いずれも平安時代を起源とする伝統技術が受け継がれている。おりんの清らかな音色はマインドフルネスの流行もあり国内外で人気に。

瓦屋根の上の小さな守り神
鍾馗/しょうき(京瓦)

いぶし銀といわれる美しいつやが特徴の京瓦。鬼瓦・軒瓦など700種類にも上り、中でも昔ながらの京町家の屋根に置かれるのが「鍾馗さん」。中国の故事に由来する厄除けの神さまだ。

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伝統産業の“これから”に触れられる展示も!

伝統を継承するだけでなく、未来に生かす試みも進行中。その姿を目にできるのがMOCADギャラリーとショップ、そして企画展示室だ。気軽にのぞける無料エリアも。

伝統産業の“いま”がここに集結!
最奥の企画展示室は「Tradition Meets Today」と銘打ち、伝統工芸の技法を使った斬新な作品が集う。たとえば西陣織の緻密な織技術をレザーに応用したバッグ、京菓子のはさみ技法に魅了された陶芸家が土にハサミを入れ繊細な表情を生んだ磁器ライトなど、生活を彩るスタイリッシュな作品が目を奪う。半年に1回展示替えされる。

匠の技が間近で見られる、職人による制作の実演
実演コーナーでは陶芸・染織・漆芸などの現役職人・作家が制作の様子を披露する。この日は京都の漆作家・追立睦(おいたて むつみ)さんが登場。螺鈿(らでん)細工を施す際、色漆を裏に塗って多様な色目を出す様子を見せてもらった。

​​暮らしに取り入れたい、品々が並ぶショップ
エントランスそばのミュージアムショップには、桐箱工房による優雅な小箱、漆細工が繊細なアクセサリー、西陣織の各種バッグに唐紙の版木ですられたハガキなど、日常に取り入れて「雅な京都」をより身近に感じられるアイテムがいっぱい。

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≫公式サイトはこちら

京都伝統産業ミュージアム
住所|京都府京都市左京区岡崎成勝寺町9-1 京都市勧業館みやこめっせB1F
Tel|075-762-2670
開館時間|10:00~18:00(最終入館17:30)
休館日|不定休(月2回程度)
料金|一般500円、高中小生400円

\企画展も注目!/
「TRADITON for TOMORROW」
伝統文化の継承を目的とするコンぺティション。対象は芸術系の学生及び伝統工芸作家・職人で、入選作は2025年2月13日(木)~3月23日(日)に展示。

text: Kaori Nagano(Arika Inc.) photo: Mariko Taya
2024年11月号「京都」

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