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《常山》の夏酒を構成する4つの要素
|福井ならではの四季を表現する酒蔵へ【中編】

2024.7.3
《常山》の夏酒を構成する4つの要素<br><small>|福井ならではの四季を表現する酒蔵へ【中編】</small>

福井の四季を表現する常山の夏酒「常山 純米吟醸 玄達」。釣り人の聖地と呼ばれる海域「玄達瀬」から命名し、夏の日本海をイメージさせるラベルが美しいこの逸品の、欠かすことのできない4つの要素に迫る。

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01|五百万石

福井・美山地区の田んぼで農薬や肥料を極端に減らして栽培された、特別栽培米の「五百万石」。同じ早生品種の酒米「美山錦」も同地区で育てているが、夏酒にはキレ味を求めて五百万石を使用している。

02|美山の水

常山酒造の契約栽培の田んぼが広がる美山地区には、標高884mの飯降山(いぶりやま)から生み出された「こしょうずの湧水」が流れ込む。清らかな水の温度は真夏でも11℃程度と冷たく、適度なミネラルを含みまろやかな味わいだ。

03|酵母

日本酒の香気成分である吟醸香の生成に関与する酵母は、酢酸イソアミル系のFK501(福井酵母)を採用。常山の酒造りでは自社酵母をブレンドするケースもあるが、香り穏やかな夏酒を求めてFK-501単体で醸している。

04|風物詩

常山 純米吟醸 玄達のラベルデザインは、夏の玄達瀬を飛び跳ねる真鯛という縁起のよいアートワークだ。福井の風物詩を、紋章上繪師・波戸場承龍さんがダイナミックに描いた。

土地の個性を醸すには、当然ながら人も介在する。蔵人一人ひとりの想い、蔵人同士の和も大切なこと。常山酒造では、若い蔵人たちが蔵元の理想をブレなく表現している

夏酒「常山 純米吟醸 玄達」は、福井・美山地区で契約農家が育てる特別栽培米の「五百万石」を原料米に使い、吟醸香の生成に関与する酵母は酢酸イソアミル系のFK501(福井酵母)を採用している。「福井の夏の食材や旬の魚とのペアリングを想定して、キレ味がいい酒米と吟醸香が穏やかな酵母の組み合わせを選択しました」と晋平さん。仕込み水には、適度なミネラルを含む美山の銘水「こしょうずの湧水」を使用し、酒米を育む水も酒を醸す水も、どちらも同じ美山の銘水にこだわる。福井の夏を表現する酒を醸すのに必要な要素は「すべて親父が残してくれたもの」と先代への感謝も忘れない。
 
デザインにもこだわり、幻の海域「玄達瀬」の大海原を力強く飛び跳ねる真鯛をモチーフにしたラベルは、紋章上繪師・波戸場承龍さんとのコラボレーションだ。「玄達瀬で揚がる特大サイズの真鯛は、福井の夏の風物詩。夏酒を通して、こんな名所が福井にあることも知ってほしかった」と、ラベルデザインに込めた想いを語る。
 
「和を醸す」という大義に基づき、酒米づくりの名人と紋章上繪師という和の匠との相和が、常山 純米吟醸 玄達の根底に流れている。

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福井の四季を醸す《常山》の酒5選
【後編】

 
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text: Nobuhiko Mabuchi photo: Tomoaki Okuyama
Discover Japan 2024年6月号「おいしい夏酒」

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