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日本料理《野田》
野田シェフの感性あふれる
旬の果物が隠し味の全16皿|後編

2024.4.16
日本料理《野田》<br><small>野田シェフの感性あふれる<br>旬の果物が隠し味の全16皿|後編</small>

旬を大事にし、意外性のある食材の組み合わせから生まれるイノベーティブなひと皿。調味料感覚で使う旬の果物が隠し味の全16皿を紹介しよう。

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コースの中で一番驚いたのがクエの刺身だ。これは先にソースありきだったそう。イチゴと米麹と塩を合わせて寝かせたら、イチゴが香る醤油のような液体ができた。華のあるこのソースに合わせる魚は、淡泊ながら旨みがあり、色もきれいなクエだろうと。ペアリングのノンアルドリンクは、甘酢に漬けた紫の菊花とイチゴのスパークリング。イチゴが両者をうまくつなぐ。

「shiraae」。山形のラ・フランスと、一番出汁と白醤油で軽く味をつけたアコヤ貝を白和えに。上にのせたのは牛乳を温めてつくる膜。洋梨の甘みが心地いい
⚫︎うつわ|岸田匡啓(佐賀)

改修工事で店をクローズしていたとき、野田さんはデンマークのボーンホルム島にある「カドー」というレストランの厨房にいた。自分たちで畑をやり、島の食材をガストロノミックな料理で表現している評判の店だ。
 
「食材の使い方が上手で、野菜がメインの皿も美しくて美味しい。北欧の発酵文化やドリンクのペアリングにもヒントをもらいました」
 
ここでの経験はすでに料理やドリンクに生かされている。野田スタイルはフレンチや日本料理といった枠を越え、本当にワクワクが止まらない。

「karasumi」。手打ちのパスタに、カラスミ(角切りとすりおろし)、ぬか漬けの大根とニンジン(野田さんの母の作)という二大発酵食品をドッキング。小豆島産のオリーブオイルと黄ユズでつくる自家製ユズコショウで
⚫️うつわ|山田洋次(滋賀)
「tatsutaage」。北海道余市産のあんこうを竜田揚げに。爽やかな香りのゴールドクレストを加えたユズコショウが香る。ミカン果汁で蒸し煮にしたカリフラワーとケールを添えて
⚫️うつわ|丸田 雄(佐賀)
「shirako ponzu」。昆布出汁に漬けて火入れした白子と、昆布の旨みをまとうほうれん草を、泡のキウイフルーツソース、ハーブソースでまとめたひと皿。甘酢っぱいキウイがいい
⚫️うつわ|渡邊心平(佐賀)
「itokoni」。カボチャのような味のトロンベッタと小豆のいとこ煮。トロンベッタの塩味のプリンのようなものに、甘さ控えめの小豆、あんをかけて。中にウニを忍ばせてある
⚫️うつわ|岸田匡啓(佐賀)
「kanpyo futo maki」。あん肝とバナナ、味も食感も相性がいいふたつを合わせた干瓢太巻き。あん肝は鰹出汁で味を入れる。茶飯に柿酢を合わせたシャリ、シソとシソの実も絶妙
⚫️うつわ|mushimegane books.(兵庫)
「kobako crab bun」。香箱ガニのまんじゅう。一番出汁でゆでたカニを身も内子もみそも使った、カニそのものの味。吸い地にリンゴ果汁を加え、香りが飛ばない温度で止める
⚫️うつわ|塩鶴るりこ(佐賀)
「kinpira」。菊芋と黒トリュフのきんぴら。下には皮が真っ黒に焦げるまで炭火で焼いたほくほく甘いポワロー。コンソメを煮詰め、鰹節オイルを加えたソースで旨みも感じる
⚫️うつわ|廣野俊彦(京都)
「yawatamaki」。ゴボウの産地、京都・八幡に伝わる料理。ゴボウを鰻で巻き、熟成酒粕と鰻の骨でつくるタレでソテー。舞茸のピクルス、ポルチーニの濃厚なソースと
⚫️うつわ|小林徹也(愛知)
「sashimi」。クエとイチゴのマリアージュ。刺身の上にドライイチゴを散らし、イチゴ、米麹、塩で手づくりした醤油代わりのソースでいただく。付け合わせは椿に見立てたカブとミョウガの甘酢漬け
⚫️うつわ|川瀬竹秋(滋賀)

メニューに載らない美味しい「おまけ」

突き出しの粕汁。鰹出汁とあんこうの出汁に2種類の酒粕と白味噌。仕上げのチーズがふわり香る
牡丹海老の殻を食パン生地に練り込んだ揚げ海老パン。海老の殻でつくるソースで
タコのコンフィでいりこが香るタコ焼きに。いりこソースとキャビアを添えて

デザートは3種類

「yubeshi」。味噌とユズのキャラメルアイス、桂の落ち葉を煮出してつくるシート、クルミの佃煮
安納芋と白あんの羊羹
フランスの伝統的なリンゴのお菓子をアレンジ。酸味が強いグラニースミスを自家製梅酒も使ってコンポートに。ホロホロとした生地が合う
コースでは、野田シェフの感性あふれる十数皿の料理をゆっくりと楽しめる。シェフを中心に、若手スタッフが一丸となり、常に新しい味に挑戦している

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野田
住所|東京都渋谷区神宮前6-9-9 アヴニール表参道1F
Tel|070-3882-3150(要予約)
営業時間|12:30スタート(毎週土曜、ほか数日)、18:30スタート
定休日|日曜
料理|ランチコース1万8000円、ディナーコース2万2000円(税・サ別)

text: Yukie Masumoto  photo: Maiko Fukui
Discover Japan 2024年3月号「口福なニッポン」

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