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絶景と名湯を求めてふらり途中下車
日本屈指の絶景鉄道、黒部峡谷トロッコ電車の旅

2019.9.17
絶景と名湯を求めてふらり途中下車<br>日本屈指の絶景鉄道、黒部峡谷トロッコ電車の旅
黒部峡谷トロッコ電車の始点となる宇奈月駅からほど近く、深緑に映える真っ赤に塗られた鉄道橋。トロッコが走る音が温泉街にやまびこすることから新山彦橋と命名

北アルプスのほぼ中央に位置し、日本を代表する名峰に囲まれた黒部峡谷。大自然に恵まれ、温泉が湧き、かつて発電所建設のために活躍したトロッコが、いまは観光列車として走る。そんな黒部峡谷トロッコ電車での旅の楽しみ方を案内する、全3回の《日本屈指の絶景鉄道、黒部峡谷トロッコ電車の旅》初回。

古くから活躍するクラシカルなデザインで、中には昭和10年当時から現役で活躍する電気機関車も存在

大人になるにつれて目的のない旅に憧れるものだが、黒部峡谷トロッコ電車の旅を、より充実した時間とするために今回の旅のキーワードをいくつか設定してみる。

まずは、トロッコに揺られること。絶景を楽しむこと、名湯に浸かること……そしてあわよくば、シシガミさまならぬニホンカモシカやツキノワグマ、ニホンザルなどに出合うことができれば万々歳である。

宇奈月駅から終点の欅平駅まで約80分。改札では駅員によって手動で切符が切られる

現在、観光として降りられる駅は、始点の宇奈月駅、黒薙駅、鐘釣駅、終点の欅平駅の4駅のみ。片道約20㎞の道のりを80分ほどかけて走る。楽しみ方は人それぞれだが、トロッコの旅がはじめてという人のために参考となれば幸いである。

まずはじめに遠い場所からめぐるのがベターだろう。終点である欅平駅を目指し、車窓からの絶景を楽しむ。トロッコ内には要所でアナウンスが流れ、道中に見ておくべきポイントとその解説が放送されるため、よほどボーッとしていない限りは十分に満喫できるはずだ。

約80分のトロッコ旅。駅構内では黒部峡谷ならではの駅弁が販売される。写真は、ます寿司と白えびの天むすが入った「ワクワク弁当(900円)」

またトロッコ内は飲食も可能。ご当地の駅弁を購入し、絶景を眺めながら、車内で舌鼓を打つのもよいだろう。80分もトロッコに揺られていれば、食べ終わらないなんてことにはならないはず。むしろ、終着駅から秘湯の地まで60分ほど、山道をハイキングすることを考えれば、車内で食べておいてよかったと安堵するはずに違いない。

客車は全3種。窓のないオープン型、窓付きのリラックス客車(写真)、向かい合わせ席の特別客車。車両によって片道追加料金が必要となる

そう、目的は名湯めぐり。トロッコ電車の各駅には温泉が存在し、黒薙駅と鐘釣駅と終点の欅平駅にあるという。その欅平駅の最端にあるのが祖母谷温泉だ。駅から2・5㎞の道のりとはいっても、欅平駅の標高が599mで、祖母谷温泉の標高は780m。標高差約180mを歩いていくため、もはや軽く山登りといった印象。

とはいえ中部山岳国立公園となっている大自然に囲まれた美しい景色の山道を歩くため、途中、滝が流れていたり、峡谷を通り過ぎる風が吹いていたりと心地のよいものだ。道中の景色はもちろん、野生の動物との出合いも忘れてはいけない。彼らは、必ずボクらの気配を感じているはずだ。

文=板倉 環 写真=工藤裕之
2019年9月号 特集「夢のニッポンのりもの旅」

《日本屈指の絶景鉄道、黒部峡谷トロッコ電車の旅》
1|絶景と名湯を求めてふらり途中下車
2|名湯に浸かり大自然と一体に
3|建築デザインの聖地、黒部峡谷

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