江戸時代からの姿を残す
かつての塩飽水軍本拠地《本島/ほんじま》
香川の歴史とものづくりをめぐる塩飽諸島のクルーズへ
涼しい海風を感じる秋は、島旅のベストシーズン。香川の歴史とものづくりが息づく島々をクルーズ船でめぐる、アイランドホッピングツアーが新たにはじまった。 今回は、江戸時代からの姿を残すかつての塩飽水軍本拠地「本島(ほんじま)」を紹介します。
江戸幕府の直下にありつつ自治を認められた、塩飽諸島を統治する要の島。特に笠島地区は、塩飽水軍の拠点として江戸時代から開かれた港町で、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。江戸から昭和初期の名残を残す瓦葺きの町並みには、京都風のデザインを取り入れるなど随所に塩飽大工の手仕事が生かされている。
また、航海の安全を祈る廻船業者により建てられた神社仏閣がいまも多く残っており、そこにも塩飽大工の意匠を見ることができる。
笠島重要伝統的建造物群保存地区
塗りの白壁、京町家でも見られる千本格子窓などが、現在も美しい状態で保存されており、塩飽大工がもつ技術の粋を集めたといえる。
城山から瓦葺の町家形式の住宅が並ぶ、城下町の面影を見下ろした景色。江戸時代末期に本島に立ち寄ったドイツ人医学者・シーボルトが、瀬戸内随一の港町だと絶賛したといわれるほどの美しさ。
住所|香川県丸亀市本島町
Tel|0877-27-3222
問|本島市民センター
※3時間につき2000円でガイド依頼が可能
久福ブルーイング本島
直売店併設の醸造所では、本島周辺で採れた素材を使い、島の空気とともに醸す。そのため定番商品はなく、銘柄は都度入れ替わる。購入したビールを目の前の海辺で飲むという、贅沢な時間の過ごし方もおすすめ。
岡山県産マスカットを使用した「016福 マスカットSaison2023」(1200円/375㎖)と、香川県の小西養蜂園のハチミツを用いた「013福 百花Honey Saison」(1100円/375㎖)
住所|香川県丸亀市本島町泊704-2
Mail|beer@kyu-fuku.com
https://kyu-fuku.com
※営業日・営業時間はInstagram(@kyufuku_brewing_honjima)などを要確認
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日本遺産から石が育んだ文化を知る
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1|はじまり
2|江戸時代からの姿を残すかつての塩飽水軍本拠地《本島》
3|《広島》で日本遺産から石が育んだ文化を知る
4|《手島》の小さな集落から生まれる地産地消のクラフト
text: Akiko Yamashita photo: Shintaro Miyawaki, Mikuto Tanaka
2023年11月号「京都」