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駿府・駿河の漆芸文化を学び、
老舗料亭で旬の美味を地酒とともに堪能。
静岡ガストロノミーツーリズム|後編

2023.11.8 PR
駿府・駿河の漆芸文化を学び、<br>老舗料亭で旬の美味を地酒とともに堪能。<br><small>静岡ガストロノミーツーリズム|後編</small>

海の幸と山の幸に恵まれた静岡県では静岡ガストロノミーツーリズムを推進しており、2022年にはブランドサイト「美味ららら」をスタートさせた。食を切り口に駿府エリアを旅して巡る前編に続く後編では、静岡浅間神社と漆にまつわる活動、旬の美味を味わえる老舗料亭「浮月楼」を紹介する。

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徳川家康とゆかりの深い
「浅間神社」を境内見学

駿府エリアの歴史と文化に触れるとともに旅の無事を祈願しようと、「おせんげんさん」として親しまれる静岡浅間神社を参拝、境内を見学する。静岡浅間神社とは、神部神社、浅間神社、大歳御祖神社の3本社、麓山神社、少彦名神社、八千戈神社、玉鉾神社の4境内社を祀る神社の総称。内在する33社の神社をあわせると40もの神社が鎮座しており、56柱の神々を祀っている。ゆえに御神徳も延命長寿、縁結び、除災招福、子授け・安産、婦徳円満、諸産業繁栄守護と各神社の御祭神によってさまざまで、参詣者は願意に合わせて詣でるという。

徳川家康公(幼名・竹千代)が元服式を行なったことから、徳川家は静岡浅間神社を手厚く保護していた。安永・天明期に延焼するも、1804年から約60年の歳月と、10万両の巨費をかけて社殿群を再建。高さ25mで浅間造りと呼ばれる神部神社・浅間神社の大拝殿、神部神社・浅間神社の楼門、三間社流造りをはじめ、社殿群は漆塗りに極彩色の彫刻が施された絢爛豪華なつくりで、現在は26棟すべてが国の重要文化財に指定されている。

しかし静岡浅間神社の社殿群の外装には、もともと漆がほどこされていなかったという。「なぜ漆が塗られるようになったのかは定かではありません。しかし私は、源氏の末裔と名乗っていた家康公を静岡浅間神社の摩利支天社でお祀りするのだから、源氏が氏神として信仰した宇佐八幡宮と同様に漆を塗るべきだとして、漆塗りにしたのではないかと考えています」と、静岡浅間神社の権禰宜、宇佐美洋二さんは推測する。

2014年から、静岡浅間神社は平成・令和の大改修を行っている。2020年に漆の塗り替え工事が完了した神部神社・浅間神社の楼門で、使用された漆の量は約820kg。文化庁は2015年に「国宝や重要文化財の修復を行う際は、国産漆を使用すること」と通達を出したが、国産漆の生産量は激減。国宝、重要文化財に認定された静岡県の漆の建造物数は、京都府と同数の全国2位といえど、国産漆は静岡県にまでなかなか回ってこないのが現状だ。「それならば静岡県で使う漆は静岡県でまかなおう」と、2019年に静岡県の林業家、伝統工芸、文化財関係者たちが一丸となり、「オクシズ漆の里協議会」を発足。循環可能な資源としての「漆」の栽培を推進し、オクシズ(静岡市中山間地域)の景観を守る活動を行っている。

「漆液が取れるまでには10〜15年かかり、漆掻きの技術、漆を精製する技術、漆塗りの技術も必要です。漆の木が育つまでの間、職人の育成を図りながら静岡県内の漆芸文化を盛り上げるべく、きれいな黄色をした漆の木の小物やアクセサリーづくり、漆を使った草木染め、漆の実を焙煎したコーヒーなど、さまざまな商品開発に取り組んでいます。漆は可能性に満ちた資源なんですよ」と事務局長の山田みきさんは語った。

駿河国総社 静岡浅間神社
住所|静岡県静岡市葵区宮ケ崎町102-1
Tel|054-245-1820
参拝時間|7:00〜18:00(授与所 9:00〜17:00)
参拝料|無料
http://www.shizuokasengen.net/

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「浮月楼」で駿河の旬の味覚を堪能

駿府エリアを巡る静岡ガストロノミーツーリズムのラストを飾るのは、1891年創業の老舗料亭「浮月楼」での夕食だ。浮月楼は江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜公が大政奉還を果たしたあと、20年余を過ごした屋敷跡。館内には油絵、写真、自転車、狩猟など、多岐にわたる趣味に興じた慶喜公の人柄を忍ばせる展示物も、多数飾られている。

浮月楼が重んじるのは、二十四節気という概念。春夏秋冬で移ろう静岡県の美味を堪能してほしいと、献立を月替わり、先付けを15日ごとに変えながら、8代目料理⻑・藤村將義さんが腕によりをかけた懐石料理を提供している。「伝統を重んじながらも進化を止めない、新しい和食文化をお届けしたいと考えています。静岡県は食材が豊富で、一つひとつの素材に力がある。さらに魚も野菜も朝採れのものが届くのも魅力です。そのような食材の数々を駆使した料理を通じて、季節を感じてもらえたら嬉しいですね。」と藤村さんが語るように、焼津・小川港で水揚げされたばかりの新鮮な魚介類、静岡県の黒毛和牛ブランド「しずおか和牛」やブランド鶏「富嶽白鶏」、ほうれん草や落花生といった農産物など、ひと皿ひと皿に詰め込まれた静岡県が誇る旬の食材。それぞれの食材のよさを余すことなく引き出し、美しく、洗練された味わいに仕上げているのは、藤村さんの磨き上げられた技術あってのことだろう。

有東木わさび田で収穫したわさびは、「富士宮落花生豆腐 有東木山葵を添えて」でいただく。「水っぽさがなく、風味豊かで甘みもある。有東木のわさびは美味しいですよ」と藤村さんも太鼓判を押す。料理のお供は静岡県の地酒をはじめとする厳選された日本酒の数々。料理と酒、それぞれのもち味をさらに際立たせてくれる、最高のペアリングだ。

「浮月楼が掲げているのは、『最高の庭で最高のおもてなしを』。四季折々の表情を見せる庭を眺めながら、二十四節気に寄り添った料理を楽しんでください」と藤村さん。窓の外に目を向けると、慶喜公が名作庭師・小川治兵衛を呼び寄せて築き上げた美しい池泉回遊式庭園が広がっている。「またひとつ季節が巡ったら、その時の食を楽しみにまた来よう」と、由緒ある名庭を前に再訪を誓った。

浮月楼
住所|静岡県静岡市葵区紺屋町11-1
Tel|054-252-0131
営業時間|平日・土日祝 10:00 – 21:00
(夏季休業・年末年始・不定休日あり)
https://fugetsuro.co.jp/

“食の都”静岡県の魅力を体感できる静岡ガストロノミーツーリズム。天然の生簀を味わい尽くす浜名湖エリア、ジオパークと海の恵みに抱かれた伊豆エリア、発酵文化が根ざす遠州エリアなど、エリアごとで多彩な表情を有す静岡県には駿府エリア以外にも旅すべき場所がままだまだ広がっている。一度、静岡ガストロノミーツーリズムに出かければ、きっと静岡県のトリコとなるだろう。食材や食文化にまつわるストーリーを知れば知るほど、静岡県の旅はもっと楽しくなるのだから。

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\詳しくは「美味ららら」をご覧ください/
 
≫公式サイトはこちら

 

text: Nao Omori photo: Hideyuki Hayashi

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