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沖縄の台所《那覇市第一牧志公設市場》がリニューアル!【後編】

2023.8.13
沖縄の台所《那覇市第一牧志公設市場》がリニューアル!【後編】

第一牧志公設市場がリニューアルオープンし、活気を取り戻した那覇。組合長の粟國智光さんに新しい市場を案内してもらった。

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新しくなってもいつまでも変わらない、
絆と優しさ

「沖縄の台所」として愛される第一牧志公設市場は、県民にとって特別な存在。普段の買い物は近所のスーパーで済ませるという人も、年末や旧暦のお盆、清明祭などの行事になると、大量の食材や出汁用の鰹節などを求めて、市場へ出掛け、馴染みの店に足を運ぶのだ。
 
旧市場の雰囲気をそのままに、精肉や鮮魚、総菜や加工品の生鮮と場外に店舗を構える外小間に区分された1階は、「各店舗で働く人たちの顔がよく見えるようなつくりを心掛けた」と粟國さん。働く人だけでなく、地元客やリピーターとなっている観光客にも「相対売りの雰囲気が残っていて安心した」という声が多い。
 
新設したまちぐゎー案内所では、市場の見どころや、周辺の観光案内を行い、バリアフリートイレの設置、2階の食堂街には授乳室も用意するなど、これまで以上にお客に優しいサービスも導入。
 
今後はさまざまなイベントも開催していく市場。新たな展開が楽しみだ。

1階で買って2階で調理してもらえる!
持ち上げシステムとは?

 
①1階で食材選び
精肉店と鮮魚店で食材を選ぶ。沖縄のブランド牛やあぐーなど県外ではなかなか食べる機会がない食材を試したい。鮮魚は天候や季節によって異なり、おすすめは日替わり
 
②食べ方を決めて購入
食材が決まったら食べ方を相談。肉ならステーキやしゃぶしゃぶが人気。鮮魚なら刺し身や塩焼き、マース(塩)煮、唐揚げなど。精算して提携している2階の食堂へ
 
③食堂でごちそうを待つ
選んだ食材は、1階の店舗でそれぞれの調理法に合わせて準備し、2階の食堂へ運ばれ、調理してテーブルへ。食堂では1品につき500円の調理代を支払う

新鮮な食材を2階で美味しく
<精肉・鮮魚店>

カラフルな南国の魚も美味しい
翁長鮮魚
Tel|098-862-4145
沖縄の近海魚や貝、イカ、タコなどを幅広く扱う翁長鮮魚は、闇市で祖母が創業し、80年以上になる老舗。常連の地元のお客はもちろん、観光客のリピーターも多く、沖縄ならではの鮮魚の美味しい食べ方を提案している

沖縄の高級魚、アカジンミーバイや、夜光貝などがおすすめ。持ち上げ食材は時価だが、刺し身や塩焼きなど複数の食べ方ができるのでお得感あり

石垣・もとぶ・山城牛はいかが?
上原精肉店
Tel|098-867-6024
旧第一牧志公設市場のオープン時に創業の上原精肉店は、県産牛や県産のハーブ豚、琉球あぐーなどを扱う店。店頭には沖縄らしい豚のパーツや、ラフテーやソーキ、ミミガー、油味噌、ソーセージなど、オリジナルの加工商品が並ぶ

きめの細やかなサシが入った県産牛は軟らかく甘くて美味しい。持ち上げではステーキ、しゃぶしゃぶをオーダーする人が多いが、ハンバーグやソーセージなども調理可能

食材をその場で調理してくれる!
<食堂>

沖縄料理なら何でもお任せ
きらく
Tel|098-868-8564
2階の食堂街にあるきらくには、沖縄の家庭料理からステーキ、海鮮、中華など幅広いメニューが揃う。観光客や海外からのお客には、やはり沖縄らしいゴーヤーチャンプルーが人気。1階の精肉・鮮魚店で食材をオーダーしたら座って待つだけ

翁長鮮魚で購入したアカマチとイラブチャー、夜光貝を刺し身でいただく。魚は脂がのって甘くて美味しい
上原精肉店のあぐーのしゃぶしゃぶはとろけるよう

お土産としても喜ばれる!
<生鮮・総菜・外小間店>

闇市からスタートした創業100年の老舗
かねこ蒲鉾店
Tel|098-866-3679
1階エスカレーターのすぐ脇にある「かねこ蒲鉾店」は、戦後開南エリアにできた闇市で祖母が創業し、約100年の歴史をもつかまぼこ屋さん。代々女性が受け継いできた独自の製法でつくるかまぼこは、日替わりで店頭に並べられる

新しくなった市場では、火・金曜日のみ食べ歩き用に串刺しにしたかまぼこをテイクアウトできる。人気はチキアギ、もずく、あーさなど。これら1パック全部350円。冷蔵庫で2週間保存可能なのでお土産にも人気だ

食べて治すヌチグスイならここ!
てるや
Tel|098-863-1569
店主の伯母が70年前に創業したまちぐゎーで、日常雑貨やお茶、食料を扱う市場のコンビニ的存在だった。沖縄で食べ物はヌチグスイ(命の薬)。その代表とされ、薬膳料理に欠かせないイラブー(ウミヘビ)も取り扱う。出汁用に購入する人も多いとか

お土産に人気のお茶は、沖縄の定番茶として馴染みのあるさんぴん茶(右)やグアバ茶、酒を飲む人にはウコン茶、睡眠によいクワンソウ茶など。最近若者に人気の月桃茶も(左)。香りもよくポリフェノールが豊富

県民の食卓に欠かせない昆布やイリチーがおすすめ
山城こんぶ屋
Tel|090-9780-9043
粟國さんの祖母が創業した山城こんぶ屋。昆布の消費量トップクラスを誇る沖縄だが、実はすべて北海道産。中国との交易が盛んだった琉球王朝時代、中国では高級食材とされた昆布でおもてなしをしたことで、沖縄でも食べる文化が発達したとされている

読了ライン

写真の祖母がたくましく相対売りをする写真は、那覇市の資料として記録にも残っている。代々、昆布を中心に、沖縄料理に欠かせないスンシー(シナチク)やタケノコなどを扱ってきた

第一牧志公設市場
住所|沖縄県那覇市松尾2-10-1
Tel|098-867-6560
営業時間|8:00〜22:00(2階食堂L.O.20:00)
定休日|第4日曜(12月は毎日営業)、正月、旧正月、旧盆(店舗により異なる)
www.makishi-public-market.jp

text: Kiyomi Gon photo: G-KEN
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