沖縄の台所《那覇市第一牧志公設市場》がリニューアル!【後編】
第一牧志公設市場がリニューアルオープンし、活気を取り戻した那覇。組合長の粟國智光さんに新しい市場を案内してもらった。
新しくなってもいつまでも変わらない、
絆と優しさ
「沖縄の台所」として愛される第一牧志公設市場は、県民にとって特別な存在。普段の買い物は近所のスーパーで済ませるという人も、年末や旧暦のお盆、清明祭などの行事になると、大量の食材や出汁用の鰹節などを求めて、市場へ出掛け、馴染みの店に足を運ぶのだ。
旧市場の雰囲気をそのままに、精肉や鮮魚、総菜や加工品の生鮮と場外に店舗を構える外小間に区分された1階は、「各店舗で働く人たちの顔がよく見えるようなつくりを心掛けた」と粟國さん。働く人だけでなく、地元客やリピーターとなっている観光客にも「相対売りの雰囲気が残っていて安心した」という声が多い。
新設したまちぐゎー案内所では、市場の見どころや、周辺の観光案内を行い、バリアフリートイレの設置、2階の食堂街には授乳室も用意するなど、これまで以上にお客に優しいサービスも導入。
今後はさまざまなイベントも開催していく市場。新たな展開が楽しみだ。
1階で買って2階で調理してもらえる!
持ち上げシステムとは?
①1階で食材選び
精肉店と鮮魚店で食材を選ぶ。沖縄のブランド牛やあぐーなど県外ではなかなか食べる機会がない食材を試したい。鮮魚は天候や季節によって異なり、おすすめは日替わり
②食べ方を決めて購入
食材が決まったら食べ方を相談。肉ならステーキやしゃぶしゃぶが人気。鮮魚なら刺し身や塩焼き、マース(塩)煮、唐揚げなど。精算して提携している2階の食堂へ
③食堂でごちそうを待つ
選んだ食材は、1階の店舗でそれぞれの調理法に合わせて準備し、2階の食堂へ運ばれ、調理してテーブルへ。食堂では1品につき500円の調理代を支払う
新鮮な食材を2階で美味しく
<精肉・鮮魚店>
カラフルな南国の魚も美味しい
翁長鮮魚
Tel|098-862-4145
沖縄の近海魚や貝、イカ、タコなどを幅広く扱う翁長鮮魚は、闇市で祖母が創業し、80年以上になる老舗。常連の地元のお客はもちろん、観光客のリピーターも多く、沖縄ならではの鮮魚の美味しい食べ方を提案している
石垣・もとぶ・山城牛はいかが?
上原精肉店
Tel|098-867-6024
旧第一牧志公設市場のオープン時に創業の上原精肉店は、県産牛や県産のハーブ豚、琉球あぐーなどを扱う店。店頭には沖縄らしい豚のパーツや、ラフテーやソーキ、ミミガー、油味噌、ソーセージなど、オリジナルの加工商品が並ぶ
食材をその場で調理してくれる!
<食堂>
沖縄料理なら何でもお任せ
きらく
Tel|098-868-8564
2階の食堂街にあるきらくには、沖縄の家庭料理からステーキ、海鮮、中華など幅広いメニューが揃う。観光客や海外からのお客には、やはり沖縄らしいゴーヤーチャンプルーが人気。1階の精肉・鮮魚店で食材をオーダーしたら座って待つだけ
お土産としても喜ばれる!
<生鮮・総菜・外小間店>
闇市からスタートした創業100年の老舗
かねこ蒲鉾店
Tel|098-866-3679
1階エスカレーターのすぐ脇にある「かねこ蒲鉾店」は、戦後開南エリアにできた闇市で祖母が創業し、約100年の歴史をもつかまぼこ屋さん。代々女性が受け継いできた独自の製法でつくるかまぼこは、日替わりで店頭に並べられる
食べて治すヌチグスイならここ!
てるや
Tel|098-863-1569
店主の伯母が70年前に創業したまちぐゎーで、日常雑貨やお茶、食料を扱う市場のコンビニ的存在だった。沖縄で食べ物はヌチグスイ(命の薬)。その代表とされ、薬膳料理に欠かせないイラブー(ウミヘビ)も取り扱う。出汁用に購入する人も多いとか
県民の食卓に欠かせない昆布やイリチーがおすすめ
山城こんぶ屋
Tel|090-9780-9043
粟國さんの祖母が創業した山城こんぶ屋。昆布の消費量トップクラスを誇る沖縄だが、実はすべて北海道産。中国との交易が盛んだった琉球王朝時代、中国では高級食材とされた昆布でおもてなしをしたことで、沖縄でも食べる文化が発達したとされている
読了ライン
第一牧志公設市場
住所|沖縄県那覇市松尾2-10-1
Tel|098-867-6560
営業時間|8:00〜22:00(2階食堂L.O.20:00)
定休日|第4日曜(12月は毎日営業)、正月、旧正月、旧盆(店舗により異なる)
www.makishi-public-market.jp
text: Kiyomi Gon photo: G-KEN
Discover Japan 2023年7月号「感性を刺激するホテル/ローカルが愛する沖縄」