デジタル技術がつくる新たなアート体験
一歩先ゆくライフスタイルが見つかる
100年後の未来を担う、いま注目の企業③
食料問題に環境問題と、未来への課題が山積する昨今。問題解決への糸口を探るべく、新しいモノやコトに目を向けている人や企業は、どんな取り組みを行っているのか。趣向を凝らした事例から、一歩先ゆくライフスタイルを見つけたい。 今回は、「デジタル×アート」をテーマに、デジタル技術がつくる新たな鑑賞体験について紹介します。
1400年前の法隆寺の美が鮮明によみがえる
常時展示がかなわない法隆寺ゆかりの名宝を、デジタルコンテンツや複製で鑑賞・体験する「デジタル法隆寺宝物館」が東京国立博物館に開室した。現在開催中の国宝「聖徳太子絵伝」をテーマとした展示では、およそ縦1.9m×横1.5mの原寸大複製グラフィックパネルを、法隆寺の絵殿にあったときと同じコの字型に配置して展示。大型8Kモニターのデジタルコンテンツでは、損傷によって肉眼では鑑賞がかなわなかった細部までを、拡大して楽しむことができる。
また8月1日から公開予定の「法隆寺金堂壁画」は、1949年の火災による焼損以前に撮影された写真ガラス原板を高精細スキャナーで取得して再現。貴重な至宝が、大型モニター上によみがえる。
デジタル法隆寺宝物館
会期|〜2024年1月28日(日) ※会期中展示替えあり
会場|東京国立博物館 法隆寺宝物館 中2F
住所|東京都台東区上野公園13-9
開館時間|9:30〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
休館日|月曜(祝日の場合は翌日休)
Tel|050-5541-8600(ハローダイヤル)
料金(総合文化展)|一般1000円、大学生500円、高校生以下無料
※総合文化展または開催中の特別展の料金(観覧当日に限る)で観覧可能
https://cpcp.nich.go.jp
江戸時代から連綿と続く模写や複製画像を使用。撮影した際のレンズの歪みや現像時に生じた濃淡の差なども補正し、複数の画像を接合することで、かつての姿が8Kクオリティで細部まで鑑賞できる
※8月1日〜公開予定。現在は『8Kで文化財 国宝 聖徳太子絵伝』を公開中
X線CT撮影や赤外線撮影などを用いて多角的な調査を行い、材質・技法・彩色仕上げを制作当時の原品に忠実に再現した
※『伎楽面 呉女(復元模造) 』は7月30日まで、8月1日〜『伎楽面 迦楼羅(復元模造)』を展示予定
モネやルノワールの絵画に入り込んでみない?
印象派の絵画を体感する新感覚ミュージアムが福岡で開催中。モネの『睡蓮』やドガの『踊り子』、ルノワールの『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』といった印象派を代表する8名の画家の約80作品が映像化された。
横22m×奥行7m×高さ4mの空間まるごとをキャンバスに見立て、作品が投影される本イベント。没入感を誘う大迫力の映像や音響が、名画の中に身を置くような不思議な感覚に観る人を誘うだろう。
Immersive Museum FUKUOKA
会期|〜9月10日(日)
会場|BOSS E・ZO FUKUOKA 6F イベントホール
住所|福岡県福岡市中央区地行浜 2-2-6
開館時間|日によって異なるため公式サイトを要確認
休館日|不定休
料金|一般1900円、高中生1400円、4歳以上600円、3歳以下は無料
Tel|092-400-0515
https://e-zofukuoka.com/special/immersive-museum
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text: Natsu Arai
Discover Japan 2023年6月号「愛されるブランドのつくり方。」