武田双雲の半生
2018-2019 “楽”を世界に伝える。
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日本を代表する書道家・武田双雲さんが歩んできた道のりに迫る特集《書道家・武田双雲の半生》。第5回の最後は信念を世界へ届けるために導かれた“流れ”についてうかがった。
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「感謝」と書いた出雲大社での奉納書の儀式。「書いた瞬間、ブワーッと風が吹き、龍のような虹が出て、光が差したんです。そこからいろいろなことが決まっていきました」
双雲さんは自身のブログで発達障害のひとつADHD(注意欠陥・多動性障害)の可能性があることを明かしていた。「すごく楽になりました。特性を伝えておくと、周りも対策ができるだろうし。症状があることに救われたんです。ずっと自分を責めていたので」。
2018年には専門医からADHDの特性があるとの診断を受けている。同年、出雲大社に「感謝」の書を奉納。実は出雲大社は双雲さんの両親の思い出の地でもある。そのことからも、“いい波の流れ”を感じたのだとか。
「ただ、出雲大社での奉納の儀の当日、見えない壁のようなものが立ちはだかったんです。いままで毎日ワクワクしていたのに、その日だけ未来にワクワクしなくなってしまって。そんな中、『感謝』と書いた瞬間、風が吹いたんですね。光が差し、心が晴れた。そのとき、僕にとってとても大事な書道教室をたたもうと決めたんです」。
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新作モバイルMMORPG作品に向けて書いた「武」。書を書く様子などを撮影した映像も公開中。「ゲームから感じられるパワー、東洋風の『武』をいかに引き出すかを意識しました」
そして同時にアメリカ・カリフォルニアへの移住を決意する。書道教室では尊敬し合える生徒に囲まれ、仕事にも恵まれてきた。安定した世界を閉じることは大きな決断であったという。
「生徒さんも僕も大泣きだし、家族もつらかったはず。こんなに悲しい思いをしてまでどうして書道教室を辞め、活動の拠点を移すのだろうとも思いました。だけど出雲大社で感じたのは、大いなる導きのようなものなんです」。
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双雲さんの出身校である東京理科大学が開催した「サイエンスフェス2019in大分」に出演。題字も揮毫した。フェスの最後には「楽」を書くパフォーマンスを披露
アート作品の制作に取り組むようになったのも、ちょうどこの頃である。「アートの世界にいけばいくほど、書道のすごさを感じます。書道は自分の礎。書道に対する感謝の気持ちが大きいですね。書道がなければ、僕はなんでもないただの人。
書道は僕と社会をつなげてくれる、糊のような存在です。僕は文字がもつ力を信じている。概念を言葉にし、言葉を文字にし、文字をアーティスティックに創作することで、莫大なエネルギーが生まれるんです」。
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新元号「令和」を記念する切手。双雲さんによる「令和」が載った82円切手(5枚組み)は、2万セット販売された。「素晴らしい機会をいただけたことに感謝しています」
活動の場を世界へ広げることで、伝えていきたい思いとは何か。「独立した2001年、アメリカ同時多発テロが起きました。そのときから僕は世界平和を訴え、人生の一文字でもある『楽』を届けたいと考えるようになったんです。
戦争は『楽』と真逆。悲しくて、苦しくて、つらいじゃないですか。アメリカでの活動をきっかけに、みんなが楽に、楽しく生きられる世界をつくっていきたいですね」。
1|2001-2008 会社員から書道の世界へ
2|2009-2012 武田双雲の名が知れ渡っていく
3|すべての活動の基盤は「感謝」にあり
4|2013-2017 最先端を走り続ける
5|2018-2019 “楽”を世界に伝える