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《青木良太 個展》
陶芸の限界を超え続ける釉薬のスペシャリスト

2023.4.6
《青木良太 個展》<br> 陶芸の限界を超え続ける釉薬のスペシャリスト

誰も見たことがない焼物をつくり続ける陶芸家・青木良太さんの個展が、2023年4月15日(土)より渋谷パルコ「Discover Japan Lab.」にて開催。青木さんの独自の世界観や作品ラインアップに迫ります。

公式オンラインショップでは4月17日(月)より順次取り扱いスタート!

青木良太の新作《琥珀焼》が誕生!
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青木良太(あおき りょうた)
何かを創造したい潜在的な欲求が殻を破ったのは、何げなくのぞいた町の教室で触れた陶芸だった。それ以降、陶芸をこの世で授かった宿命とし、今日も岐阜県土岐市のスタジオで日々制作を行っている。

誰もつくれなかった色やかたちを追求して

釉薬(ゆうやく/うわぐすり)は、陶磁器の表面を覆うガラス質。素材の組み合わせや焼き方で、仕上がりの風合いや色みを決定づける、陶器にとって重要な要素でもある。これはスタジオの壁に貼られた、釉薬の実験で得たサンプルピースの一部。予想外の結果から新たな釉薬調合のヒントを得ることもあるそうだ

「目指すのは21世紀の陶芸伝統」、「あの時代はすべてアイツがやり尽くしたと、1000年後の世界で言われたい」、「陶芸は宿命」。以上は、青木良太さん語録。いつも淡々と同じ科白を繰り返すから、おそらく口癖に近いのだろう。
しかし文字だけを列記すると、さぞや傲慢な性格か、あるいは常識外れのクレイジーな男と思われるかもしれない。果たしてこの陶芸家は、いずれに属するのか。
さておき、話を聞くのはおよそ一日の作業が終わった夕方で、毎度いささか疲れた表情を浮かべている。ところが、青木良太さんの人生の一大事に話題が及ぶと、わかりやすくほおがゆるむ。

「子どもが生まれてから、10カ月が経ちました。かわいくて、毎日が楽しい。赤ちゃん用のうつわもつくってあげたくなります」
こんなエピソードを挟み込んだのは、1000年先まで視野に入れた壮大な意思をもち続ける人間も、目の前で起きる事柄の影響は避けられないという、強いて言えば凡人を安心させるためだ。そういえば、1年前の同時期に言葉を交わしたときは、コロナ禍による変化を教えてくれた。展示会のキャンセルで生じた空き時間を使って、あらためて陶器の入門書や釉薬の基礎知識が詰まった書籍を読み漁ったという。約20年間、特に若い頃は寝食を後回しにしてまで独自の世界観を追求してきて、ふと陶芸基礎と自分の技法を照合したくなったようだ。

「料理もずいぶんやるようになって、それでスタッキングできる皿をつくったじゃないですか。あれ、発展しているんですよ。日本のお重にヒントを得て」
そう言って、彼の日常的な使用例を見せてくれた。そこが青木良太さんらしいのだ。
とにかく釉薬を研究し、ひたすら土を焼き続ける。誰も手をつけなかった素材で個性的な出来栄えと完成度の高さを示し、数多の称賛を受けようとも、決してその手を止めない。そんな姿を見ていれば1000年先を見据えた発言が単なる傲慢さから出るものではないことがわかる。
なぜ手を止めないのか。彼にすれば理由は至ってシンプルだ。遥か未来でも認められる価値観を生み出すには、その生涯を陶芸に捧げるしかないから。それが宿命ゆえ、気負いもなくひとつのことに集中できる。果てしなくクレイジーなまでに。

冒頭の言葉が具現化された焼物たち。4月から渋谷の「Discover Japan Lab.」ではじまる個展で、その突き抜けた輝きを目の当たりにしていただきたい。

読了ライン

土を練って狙ったかたちに仕上げるのも陶芸にとって不可欠な工程。青木さんの作品は釉薬が注目されがちだが、形状デザインも独特。練りながら土の声を聞いてかたちを決めるらしい
コロナ禍で料理時間が増え、重ねられるうつわの便利さに気づいたスタッキングシリーズの最新作。「カレーと目玉焼きなどを盛るのにちょうどいいお重スタイル」

火輪楽徳利

価格|4万4000円 サイズ|φ83×135mm 重量|460g

楽焼の製法を踏襲しつつ、楽焼では出せない色で仕上げた、まさに火の輪をくぐってきたような徳利。同じ釉薬を使っても火の感じで毎回色が異なるため、ひとつずつ焼くそう。

 

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太陽瓷カップ&ソーサー

価格|11万円 サイズ|カップφ105×H55mm(取っ手23mm)、ソーサーφ138×H25mm 重量|カップ135g、ソーサー190g

名称そのままに、夕暮れどきの太陽をイメージ。作者いわく「ぼこぼことした、かたちがかわいい」。この何とも言えぬ赤みを出すために、しつこいくらいの研究が重ねられた。

 

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〈青木良太 個展ラインアップ〉
スターブルー壷大

価格|44万円 サイズ|φ180×H232mm 重量|2790g

仕事終わり、山中に据えたスタジオから見上げた星空を再現したというスターブルー。キラキラした粒は、釉薬が結晶してできたもの。海を想像するファンも多いとか。

黄金乳瓷天目茶盌

価格|27万5000円 サイズ|φ150×H83mm 重量|420g

つくった本人が声を押し殺して「カッコいい」とつぶやく一品。抹茶碗で最も位が高い天目茶碗からヒントを得た。定番の茶碗型ながら、高台を長くするのはオリジナル。

赤金瓷Bowl

価格|16万5000円 サイズ|φ157×H62mm 重量|365g

初の個展で披露して以来、いまも代表作となっているボウル。ラインの繊細さと、釉薬が導き出す美しさにこだわった。「実用性なし。海外の方は彫刻として買っていきます」

溶岩金瓷Bowl

価格|27万5000円 サイズ|φ110×H82mm 重量|245g

惑星は高温で組成された鉱物の集合でできている。そしてまた、高温で土を焼くことで、この地上にない鉱物を生み出すのが陶芸の醍醐味、というイメージでつくったシリーズ。

 

公式オンラインショップ
 

青木良太個展
会期|2023年4月15日(土)~5月15日(月)
会場|DiscoverJapanLab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※新情報は公式Instagram(@discoverjapan_lab)などで随時紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
※掲載商品は一部であり、店頭にはさまざまなうつわが並びます。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。一部作品はオンラインショップで扱わない可能性がございますので、あらかじめご了承ください。

text:TonaoTamura photo:NorihitoSuzuki
2023年5月号「ニッポンの朝食」

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