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アート×自然でいま世界が注目する瀬戸内。その魅力を知る5つのキーワード

2019.8.8
<b>アート×自然でいま世界が注目する瀬戸内。その魅力を知る5つのキーワード</b>

2010年から3年に一度行われてきた瀬戸内国際芸術祭は今年4回目を迎える。多島美の景観にアートが介入することで、近年「SETOUCHI」は世界的に注目されるようになった。その大きな変化のキーパーソンである北川フラムさんに、「SETOUCHI」を語るうえで重要な5つのキーワードを聞いた。

瀬戸内国際芸術祭2019 総合ディレクター 北川フラムさん
1946年、新潟県生まれ。ʼ82年アートフロントギャラリーを設立し、アートディレクターとして国内外の美術展や芸術祭を企画。地域とアートを結ぶプロジェクトに多数参画。2018年度には国の文化功労者として顕彰

 

1.サステイナブルな観光

国連は2015年に「持続可能な開発目標」(SDGs)を掲げ、2017年には「持続可能な観光の国際年」としてサステイナブル・ツーリズムの普及を図っている。「名所旧跡に行くということではなく、違う土地に行って違う人に会う。異なる価値観の存在を知ることが重要で、そのための観光が世界的に重要視されています」(フラムさん)。8月21日から4日間は瀬戸芸の公式プログラムとして「瀬戸内アジアフォーラム」を開催する。

 

2.昨対比+50%! ヴェネチアビエンナーレを超える来場者

瀬戸芸の来場者は増加傾向にあり、前回は延べ100万人を超えた。試しに世界最大といわれる国際美術展ヴェネツィア・ビエンナーレと比較してみると、第57回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2017年5月13日〜11月26日の計198日間)が61万5000人だったのに対し、第3回瀬戸内国際芸術祭2016(2016年3月20日〜4月17日、7月18日〜9月4日、10月8日〜11月6日の計108日間)は104万50人。

 

3.日本で最初の国立公園

海面水位の上昇によって海水が流れ込み、日本最大の内海となった瀬戸内海地域は、大陸文化が北九州から大和方面へと伝えられる中で大動脈としての役目を果たしてきた。大小1000余りに及ぶ島々による多島美は明治期に来日した欧米人からも評価され、1934(昭和9)年には長崎県の雲仙、鹿児島県の霧島とともに「瀬戸内海国立公園」として日本初の国立公園に指定された。

 

4.2019年に行くべきデスティネーション第一位に

国際的に大きな影響力をもつ旅行雑誌『National Geographic Traveller』(UK版)では、The Cool List 2019の1番目に日本で唯一瀬戸内を選定し、その目的のひとつとして瀬戸芸を紹介。また、『The New York Times』では2019年に行くべき52カ所の7番目に芸術と自然が融合する場所として瀬戸内の島々を挙げた。「昔から美しいといわれてきたところにアートが入ることによって観光のきっかけをつくれたと思います」(フラムさん)。

 

5.観光の父・トマス・クック

世界ではじめて旅行会社を創り、近代ツーリズムの祖とされるイギリス人実業家トマス・クックは1872(明治5)年に瀬戸内海を訪れ、ギリシャのエーゲ海や地中海全体のイメージに重ねてその多島海景観を絶賛。「あまりにも豊かな自然の恵み、次々に移り変わって終わることを知らない景観の美しさに呆然としてしまった」と『トマス・クック物語』に記した。

文=小林さゆり 写真=西岡 潔
2019年8月号 特集「120%夏旅。」

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