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わさびの未来を、育てる――
エスビー食品「道志村わさび田再生プロジェクト」

なぜいま、わさび田を復活させるのか。

2026.9.29 PR
<small>わさびの未来を、育てる――<br>エスビー食品「道志村わさび田再生プロジェクト」</small><br>なぜいま、わさび田を復活させるのか。

エスビー食品は1970年に日本で初となるチューブ入り香辛料を世に送り出してから約半世紀。素材そのものの風味・香りにこだわり、「わさび」の爽やかな香りを日本の食卓に届けてきた。同社はいま、50年もの間、時を止めていたわさび田の再生に取り組んでいる。そこにあるのは、スパイスとハーブのリーディングカンパニーとして、日本原産のわさびが支える食文化を未来につなぎたいという強い想い。食文化の源流と向き合う同社の志をひも解く。

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50年間止まっていたわさび田が
再び動きはじめる

エスビー食品の道志村わさび田再生プロジェクトメンバーと社内公募で定植作業体験に参加した社員たち

山梨県南都留郡道志村。富士山麓の清らかな湧水と深い森に抱かれたこの地では、かつて沢わさびの栽培が盛んに行われていた。しかし、瑞々しい緑の葉が広がっていた美しいわさび田は、生産者の高齢化や担い手不足、また当時のわさび栽培の収益性低下に伴い、事業転換や離農が進んだ。

再生前のわさび田。放置された約50年の間に枯れ葉や土砂によって埋もれ、畑のかたちすら失われていた

約50年にわたって人の手が入らなかったわさび田は、枯れ葉や土砂によって埋もれ、周囲の石垣だけがかろうじて残っている状態だった。その止まった時間を動かしたのが、近隣の忍野試験農場でハウスを用いたわさびの研究を長年行っているエスビー食品だ。生産現場に近い自然環境下での栽培データを蓄積していた同社は、より実効的な知見を得るための露地圃場を探していた。そうした中、イベントを通じた地域との縁から耕作放棄地の存在を知る。わさび文化を守り、未来へつなぐために自分たちにできることはないか――。その想いから2023年、わさび田再生の社内プロジェクトが産声を上げた。

棚田状のわさび田を維持する石垣。手作業でひとつずつ積んであり、非常に繊細でくずれやすい

かつての美しい姿を取り戻す道のりは、地道な作業の連続だった。車が入れない山中で、周囲に生い茂った木々を間伐し、何往復もして木材や土砂を搬出。隣接する沢から清流を引き込む水路を整え、くずれた石垣を手作業でひとつずつ積み直した。さらに、地中の石組みに堆積した泥や有機物を取り除くなど、長く手の入っていなかったわさび田を丁寧に整えていった。2023年12月にはじめた作業は約5か月間続き、わさび田としてかたちになったのは2024年4月のことだった。

年間を通じて10〜12℃ を保つ清涼な沢水がわさびの健やかな生育を支える

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エスビー食品が
わさび田を再生させる理由

なぜ、そこまでしてわさび田を再生させるのか。その背景には、国内のわさび栽培が直面する深刻な危機感がある。

地中は、最下層の大石、中層のガラ石、表層の作土層の3層構造になっている。その石組みの間を絶え間なく水が通過することで、酸素供給とろ過が行われる

近年、生産者の高齢化や後継者不足に加え、地球温暖化に伴う水温上昇や激甚化する自然災害により、国内のわさび生産量は減少の一途をたどっている。このままでは、栽培を支えてきた伝統的な技術だけでなく、日本固有の食文化そのものが途絶えてしまいかねない。

スパイスコントロール室の栽培チームリーダー・下村義典さん

エスビー食品にとって、わさびは単なる「原料」にとどまらない。清らかな水と豊かな土地、生産者の手仕事と知恵が重なり合って育まれる食文化そのものだ。同社スパイスコントロール室の栽培チームリーダー・下村義典さんは、「このわさび田で露地栽培特有の課題に向き合い、感覚だけでなく定量的なデータを集めたいと考えています。そしてここで得た知見を全国の生産地へ還元していくことが私たちの目標です」と語る。

成長した際に葉や根が混み合わないよう、またひと株ひと株に光や水が均一に行き渡るように、約30cm間隔の千鳥状(互い違い)に苗を植えるための計測作業

実際、温室とは異なる露地での栽培は試行錯誤の連続だ。わさび田に引き入れている沢の水は、下流で生活用水として使われているため農薬を使うことができない。夏場に発生する害虫は一匹ずつ手作業で取り除いている。ほかにも野生動物の侵入や落葉など、課題はさまざまあるが、栽培環境や生育状況を各種センサーも活用しながら継続的に観察・記録し、データに基づいた検証を重ねている。課題をひとつずつ解明し、改善を積み重ねていくことが、持続可能なわさび栽培の未来につながっていく。

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一株の苗から
わさび田の未来を育てる

今回の定植作業体験では、ともに青系に分類される「イシダル」と、自社で種から育てたオリジナルの苗の2種類を植えた

その未来に向けた使命感と熱量は、社内全体に広がっている。プロジェクトの動向が社内に共有されると、当事者として関わりたいという声が相次ぎ、定植作業体験の社内公募には、定員を大きく上回る応募が殺到した。

ひとつずつ、丁寧に苗を植えた社員たち。体験後には、「自社の取り組みや商品の魅力についてより理解を深められた。これからはいままで以上に自分の言葉で語れるようになると思う」と振り返った

新緑がまぶしい2026年5月、抽選で選ばれた社員たちが道志村のわさび田へと集まった。冷涼な清流を感じながら、水路に張られた縄を目印にわさびの苗を植えていく。葉の根本にある小さな新芽を砂利で埋めてしまわぬように気を付けながら、指先で優しく砂れきをかぶせる細やかな作業が続く。

忍野試験農場のプロジェクト担当者・小林拓夢さん

普段は、製品を届ける側にいる社員たちが、その源流にある土地の豊かさと自然の美しさを五感で感じとる。普段からこのわさび田の管理を担い、体験当日は参加した社員たちにわさび田の構造や苗の植え付け方を伝える案内役を務めた忍野試験農場のプロジェクト担当者・小林拓夢さんは、「ここは55㎡ほどの小さな圃場ですが、自然環境の中で栽培試験に挑める貴重な現場です。課題も多いですが、その分だけ挑戦しがいがあります。冷たい水や泥に触れながら作業をするのは大変ですが、わさびを育てるのは本当に楽しくて、日々やりがいを感じています」と表情をほころばせた。

社内公募で集まった社員たちが実際に定植作業を体験した

わさび文化を
次の世代へつないでいくために

植え付けた苗が青々と葉を茂らせ、収穫できるまでに育つには約1年半から2年の時間がかかる。その間、自然環境と向き合いながら蓄積していくデータや知見は、今後の栽培研究や全国の産地を支えるノウハウとして生かされていく。

葉や余分なひげ根を削ぎ落とす調整作業を経たわさび。清々しい香りと辛みをもつ1本1本に、エスビー食品の志がつまっている

普段、食卓で何気なく味わっているわさびは、きれいな水や豊かな森、そして日本の食文化を守ろうとする人々の地道な営みから生まれる。エスビー食品が蘇らせたわさび田に整然と並ぶ小さな苗は、その想いを未来へ届けるための大きな一歩になる。

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text: Miyu Narita photo: Shiho Akiyama

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