渋谷パルコ《矢田久美子 ミニ個展》
柔和で上品なデザインのうつわが
暮らしに温かく寄り添う
日本の磁器発祥の地・佐賀県有田に工房を構える矢田久美子さん。土地に根づく有田焼の白磁文化を背景に、お茶や食事のシーンを豊かにするうつわを生み出している。12月6日(土)〜14日(日)、東京・渋谷パルコで開催される「矢田久美子 ミニ個展」では、人気の茶器や正月に使いたい作品がそろう。
※個展初日の入店について、一部時間帯に整理券が必要です。詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)、または公式オンラインショップをご確認ください。
Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を12月9日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)

矢田久美子(やだ・くみこ)
京都市立芸術大学美術学部卒業。デザイン専門学校の講師を経て有田で陶芸を学び、独立。うつわの造形から絵付けまで一貫して行う。
花束のようなティーカップ。
日常に彩りを添えるうつわ

愛らしい花々が描かれたティーカップ&ソーサー。お揃いのポットで紅茶を注げば、華やかな香りが広がり、白磁のしなやかな肌にきれいな色の紅茶が満ちていく。パステルカラーの抹茶碗は抹茶の豊かな表情を引き出す。
「日本はお茶の種類もバリエーションも豊富で、好きなお茶を愉しまれる方が多いですよね。ティータイムというリラックスできる時間を演出するのに、うつわは重要な役割を果たすと思うのです。だから自分がつくるものは、美しいもの、優しいものでありたくて」

日本の磁器発祥の地、佐賀県有田に工房を構える矢田久美子さん。京都市立芸術大学を卒業後、デザイン専門学校の講師の職に就くも、将来的に焼物で身を立てようと一念発起。有田で陶芸を学び、9年ほど前に陶芸家として独立した。
最初につくりはじめたのが「パステル彩」のシリーズだ。ろくろでやや厚めに挽いたうつわをナイフで面取りし、素焼きをした後に色絵の具で面ごとにごく薄く色をのせる。マットな釉薬をかけ、さらにプラチナ彩の線を加えていく。
「はじめは絵の具や釉薬のバランスで色ムラが出てしまったり、濃くなり過ぎたりと、理想の色を出すのが難しかったのですが、いまは思うように調整できるようになり、作品の幅が広がりました」

矢田さんの代表作ともいえるティーカップ&ソーサーは、シックな白磁に、一瞬で気持ちを明るくしてくれる花束が描かれている。
「一般的な有田焼にとらわれず、水彩画風の柔らかい絵付けができればと思って。いろいろ試してたどり着いたのが光沢を抑えたマット釉を使うことでした」

有田焼の基本的な製造技法を学ぶ中で、磁器ならではの表現の広さや、繊細につくり込めるところに自分の特性を生かせると感じた矢田さん。茶花を嗜むようになり、日本古来の花を意識するようになったそうだ。茶室では野や山にある季節の草花、時に枯れていく植物を素材として使う。すると普段は気に留めないような美しさを発見できるのだと。
ハレの日を彩るうつわも登場

今回の個展では、12月の開催に合わせて、正月などハレの日にふさわしいうつわの数々も登場する。縁起のよい根付き松を描いた銘々皿は、おせちを囲む食卓に。白磁の鉢に松を仕立てたミニ盆栽は、迎客の玄関やテーブルなど正月のしつらいにぴったり。手の温もりを宿す白磁のうつわが、気持ちを豊かにしてくれる。

盆栽=桜花苑 熊木勝裕さん
食卓を可憐に彩る矢田久美子のうつわ
作品ラインアップ

色絵花束のティーカップ&ソーサー
色絵花束のモチーフは矢田さんの代表作のひとつ。透明感を残しつつ色を重ね、思いのままにうつわに描いていく。

根付き松の銘々皿
ろくろで挽いた素地を型に被せてたたく「ろくろ型打ち」という技法で、うつわの表面に細かい凹凸を施している。

パステル彩の抹茶碗
淡いパステルがプラチナ彩で引き締まり、さまざまな色が一体となる。個展では片口やぐい呑などの酒器も並ぶ。
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個展作品がオンラインで買える!
公式オンラインショップ
矢田久美子 ミニ個展
会期|12月6日(土)~14日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※初日は混雑緩和を目的とした入店整理券を事前配布のうえ開催いたします。
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
text: Yukie Masumoto photo: Shiho Akiyama
2026年1月号「世界を魅了するローカルな酒」


































