アートが浸透する、岡山のまちづくり。
「岡山芸術交流2025」がまもなく開催!
瀬戸内の玄関口、岡山では2016年より現代美術の国際展「岡山芸術交流」が3年に1度開催されている。この9月にはじまる「岡山芸術交流2025」の魅力と、街を舞台に歴史とアートがつながる独自のまちづくりとは――。
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いま、岡山のまちが、
アートと融合中……

住所|岡山県岡山市北区城下地下広場
岡山駅から岡山城方面へ桃太郎大通りを歩いていると、突如現れるカラフルな構造物に目を奪われる。その下では市民を乗せた路面電車が駆け、奥に望むのは荘厳な岡山城。周辺を散策すれば岡山神社の拝殿で手を合わせる参拝者が木製格子とガラスの立体物と同じフレームに収まり、岡山県内唯一のミニシアターの壁面にもテキストアート作品が――。

住所|岡山県岡山市北区石関町2-33
岡山市はいま、日常にアートが息づく街として国内外から注目を集めていることをご存じだろうか。
瀬戸内の玄関口である岡山は、かつて兵庫から九州に至る山陽道の要衝であり、人やモノが交錯することで独自の文化が花開いた。特に丸の内界隈の天神町、内山下、石関町といった岡山城下は、岡山の歴史の中心地であり、いまもなおその文脈を色濃く受け継いでいる。
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岡山市が作品が交流する、
新鋭のカルチャー・アートスポットに。

岡山芸術交流2025のアーティスティック・ディレクターは、現代のフランスを代表するアーティスト、フィリップ・パレーノ氏。建築家、音楽家、思想家など、世界11カ国から選ばれた30組のゲストが岡山市の都市空間にアートを展示する
©Okayama Art Summit 2025 Left: Photo by Andrea Rossetti
このエリアに新しいアートの風を吹き込む起爆剤となったのが、2016年よりはじまった国際現代美術展「岡山芸術交流」だ。その舞台となるのは、岡山城、岡山後楽園周辺を中心とした市街地で、徒歩で周遊可能な岡山市内の各所に会場を設置。旧内山下小学校や岡山市立オリエント美術館など既存資産である歴史的建造物や公共施設を生かし、さらに世界的なアーティスト自らが“アーティスティック・ディレクター”として最先端のコンセプチュアルアートを集結させるといった斬新な試みは街に新たな魅力を生み出した。これまで3回開催され約72万人が来場するなど、いま岡山市は新鋭のカルチャー・アートスポットとして脚光を浴びている。
「瀬戸内アートの玄関口として、
岡山の文化に触れていただきたいです」

ストライプインターナショナル創業者。イシカワホールディングスCEO・石川文化振興財団理事長として岡山の地域活性化と経済振興のための貢献活動を行う。「茶下山」オーナー。岡山芸術交流総合プロデューサーを務める
photo: Sadaho Naito
この地に現代アートを持ち込んだキーパーソンであり、岡山芸術交流の総合プロデューサーを務める石川文化振興財団理事長・石川康晴さんはこう話す。
「ただ現代アートを展示するだけでなく歴史に敬意を払い、子どもから大人まで地元で暮らす人、世界中から訪れる人、そして作品が“交流”することで街に新たな価値が生まれる。アートファンだけでなく、これまで県内の中小生などが数千人単位で校外学習に訪れるなど、特に未来を担う子どもたちの多様な視点や価値観を養う一助になっている実感があります」
そして、2025年9月26日より第4回目となる「岡山芸術交流2025」が開催される。これまでのコンセプトを踏襲しながら、世界の芸術祭でも類を見ない取り組みを次の記事で紹介しよう。
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住所|岡山県岡山市北区丸の内1-5-1
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text: Ryosuke Fujitani photo: Kenji Okazaki
2025年10月号「行きたいまち、住みたいまち。/九州」



































