九州観光まちづくりAWARD2025 特別賞–NEXT CREATE–を受賞した皆さま②
今年で4回目の開催となった、JR九州が手掛ける「九州観光まちづくりAWARD」が2025年も始動。宿・食・ものづくり・にぎわいづくりなど、旅心をくすぐる、魅力的な取り組みとの出会い。今回は、九州観光まちづくりAWARD2025 特別賞–NEXT CREATE–を受賞した5組をご紹介!
line
鹿児島・霧島市《obama village》
過疎地域に人を呼び込む、 現代版村づくり

2024年11月、鹿児島県霧島市の過疎集落に誕生した「obama village(オバマ ヴィレッジ)」。錦江湾と桜島を望む約7000㎡の敷地に、住む・働く・遊ぶを徒歩圏内で完結させる“未来の村”だ。立ち上げたのは、400年前から続く林業と製材業にルーツをもつ住宅会社「おばま工務店」の有村健弘さん、康弘さん兄弟。建物は、地元の木材を地元の職人が組み立てる地材地建という考えの下、外壁に焼杉を、内装や家具にも霧島の杉を使用している。海風が強い土地柄、海側に壁がある昔ながらのカマゴヤ(台所)をシェアキッチンのデザインに取り入れるなど、文化を感じる建築も見事だ。

現在、県外から誘致したIT企業を含む7つのオフィスが入り、地域雇用の受け皿にもなっている。また、ベーカリーやケーキショップなどが並ぶショップスペースもあり、地元客や観光客も気軽に立ち寄れる。このプロジェクトですでに8世帯30人が霧島市に移住。“村民”同士でさまざまな化学変化が起こり、託児チーム「OBAMA LIFE」も結成。「生きるをつくる、未来の村」として、持続可能な新しい暮らしに、審査員一同も大きな期待を寄せた。

obama village
住所|鹿児島県霧島市隼人町小浜28
Tel|0995-73-7739
営業時間・定休日|店舗により異なる
https://obama-village.com
鹿児島・鹿屋市《ユクサおおすみ 海の学校》
地域の人が輝く、 廃校活用の未来がここにあり

“日本一海に近い学校”といわれた、「旧鹿屋市立菅原小学校」を活用する体験型宿泊施設。一級建築士の川畠康文さんが代表を務める「Katasudde」が、行政委託ではなく自ら借り上げてリノベーションや運営まで自費で行う先進事例として全国から視察が絶えない。教室に泊まったり、校庭でキャンプしたり、大隅半島の自然や人と触れ合うアクティビティも楽しめる。

「地方だからこそ、ないものはつくってしまおうの精神で」と川畠さん。耕作放棄地でショウガを栽培してジンジャーシロップを開発したり、2025年3月にはサウナやカフェも新設。ビジター利用もできる廃校の活用は、新たなコミュニケーションの拠点にもなっている。川畠さんは「ポジティブなムードを広げ、幸福度の高い地域を子どもたちに渡したい」と笑顔を見せる。海風が心地よく吹き抜ける大隅半島で、“学校”を舞台に新しい循環の物語がはじまっている。
line

ユクサおおすみ海の学校
住所|鹿児島県鹿屋市天神町3629-1
Tel|0994-31-8193
料金|1泊2食付1万4000円~(税・サ込)
客室数|11室
カード|AMEX、DINERS、JCB、Master、VISAほか
IN|14:00
OUT|10:00
施設|カフェ、バーベキュー場、工房、整体院、体育館など
https://yukusa-ohsumi.jp
を振り返ろう
≫次の記事を読む
1|JR九州による「九州観光まちづくりAWARD2025」、結果発表!
2|福岡・糸島市「前田和子・大串幸男(白糸の森)」
3|福岡・柳川市「柳川藩主立花邸 御花」
4|大分・宇佐市「神谷禎恵」
5|熊本・南関町「ヤマチク」
6|長崎・諫早市「陣野真理」
7|特別賞–NEXT CREATE–を受賞した皆さま①
8|特別賞–NEXT CREATE–を受賞した皆さま②
9|「九州観光まちづくりAWARD2025」を振り返ろう
text: Nozomi Kage photo: Hiromasa Otsuka
2025年10月号「行きたいまち、住みたいまち。/九州」


































