香川県東かがわ市
巴堂 本店の「カステラ」
《菓子研究家・福田里香の民芸お菓子巡礼》

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は香川県東かがわ市にある老舗和菓子店・巴堂 本店の「カステラ」をご紹介。
福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。14年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中。

2024年7月に発行された別冊『Discover Japan_TRAVEL 香川』を読んで、がぜん香川県のアートとデザインに興味をもった読者も多いと思います。
今年こそは香川旅行を!と考えている方へ。菓子舗を訪ねるなら「巴堂 本店」をおすすめします。
香川出身の才人として親しまれ、後年は民藝の思想を取り入れた作風で地元産業のブレーンとなった和田邦坊所縁の菓子舗です。邦坊は1965(昭和40)年に讃岐民芸館の初代館長に就任し、香川の物品のプロデュースも多数手掛けました。巴堂の商品もそのひとつ。

1928(昭和3)年に開業した巴堂は、邦坊とともに東かがわの名物「ぶどう餅」を生み出しました。お土産として持ち帰るなら、日持ちがする「カステラ」もおすすめ。
日本の風物をモチーフにした邦坊が珍しく箱絵にポルトガル人を描いていて、話の種になること請け合いです。邦坊の真骨頂ともいえる軽妙な筆遣いが冴え渡ります。断面の肌理が美しいカステラは甘さ控えめで日本茶にも、コーヒーや紅茶にもピッタリです。
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巴堂 本店
住所|香川県東かがわ市三本松1152-7
Tel|0879-25-3115
営業時間|9:00~18:00
定休日|木曜
https://tomoedo.net/
text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
2025年2月号「温泉のチカラ」