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北海道《ICOR NISEKO/イコ ニセコ》
建築家・長谷川豪が手がけた
ニセコの自然に直に触れられる建築空間

2022.11.6
北海道《ICOR NISEKO/イコ ニセコ》<br><small>建築家・長谷川豪が手がけた<br>ニセコの自然に直に触れられる建築空間</small>

国産ビューティーケアブランドICOR(イコ)は、建築中から注⽬を集めていた本社及び店舗兼カフェ施設「ICOR NISEKO(イコニセコ)」を北海道虻⽥郡ニセコ町に昨年オープンした。ICOR NISEKOは、ビューティーケアブランド「ICOR」の、ブランド発信拠点となる本店&カフェ。スキンケア商品の販売はもちろん、併設するカフェでは美容を意識した軽⾷やドリンクも味わえる。ニセコの⾃然を感じながら、ICORの世界観を堪能できる贅沢なひとときを過ごせる「ICOR NISEKO」の建築を紹介しよう。

周囲を豊かな自然に恵まれたニセコ

ニセコは新千歳空港、札幌市内から車で約2時間ほど離れたところに位置。東側にある羊蹄山(蝦夷富士)が国立公園、北側のニセコアンヌプリを含むニセコ連山が国定公園と、周囲を豊かな自然に恵まれたリゾートエリア

ニセコは、アイヌ語の「ニセイ・コ・アン・ペツ(峡谷にある川)」から由来している。「蝦夷富士(えぞふじ)」と呼ばれる美しい稜線が有名な羊蹄山や、パウダースノーの雪景色など、自然豊かな美しい場所。また、約3000年前の縄文時代晩期の遺跡があるなど、はるか昔から人々が生活していた土地でもある。

すべてかけがえのない宝物

第二カシュンベツ川

「ICOR」は、アイヌ語で「宝物」を意味する言葉から名付けられた。地球、自然、水、すべてかけがえのない宝物。それらの美しさに感謝し魅力を引き出し、育み、輝かせるそれが「ICOR」の原点だ。

また、カフェのコーヒー容器や、北海道の工場で商品を製造することで原料の輸送距離を短縮するなど、サスティナブルな取り組みも行っている。

⾃然と⼈が共存するカルチャーを肌で感じる
「ICOR NISEKO」の空間

ICOR NISEKOは上から見ると、ゆるやかなS字型の形をしている

ICOR NISEKOは、建築家やランドスケープデザイナー、インテリアデザイナーが、ICORの「⾃然も⼈も⼤切な宝物である」というブランドコンセプトをもとに設計した空間。そして、そのデザインを実際に作りあげた職⼈たち、⾃らの⼿で内装も進めながらメニューを考えてきたICORスタッフなど、多くの協⼒のもと完成した施設。たくさんの⼈たちが関わり、環境に配慮してつくられたニセコ本店は、⾃然と⼈が共存し普遍的に皆から愛される場になることを⽬指している。

建物の壁に沿って設けられたベンチに座りながら、ニセコの風景を全身で感じられる
すべての開口部には木サッシを使用している

建築設計は、Airbnbとコラボレーションした「吉野杉の家」や、メキシコのルイス・バラガン邸庭園空間設計など、国内外で幅広く活躍する、建築家・⻑⾕川豪⽒が担当。本店では、ICORのブランドコンセプトを体現し、⼟地の魅⼒を最⼤限に引き出すことを念頭に設計。

天井材にはICORの商品にも使用されている北海道産のシラカバを使用。自然を眺めるためのギャラリーのような空間は細長い店内が意外なほど落ち着き、国道の音が遮断され、自然の音を感じられる
室内から外の眺め

交通量の多い国道沿いにある店舗だが、⻑⾕川⽒の設計により、視覚的にも聴覚的にも⾞の存在を感じさせないデザインとなっている。さらにS字型の⻑細い建築が、テラス側にある⼩川のせせらぎの響きを集め、⽺蹄⼭の湧き⽔の流れを全⾝で感じられる、⾃然のギャラリーを演出。ニセコの⾃然を春夏秋冬味わうことができる空間をつくりあげた。

建築家
⻑⾕川豪(はせがわ・ごう)
1977年⽣まれ。⻑⾕川豪建築設計事務所主宰。東京⼯業⼤学⾮常勤講師、ハーバード⼤学デザイン⼤学院客員教授、カリフォルニア⼤学ロサンゼルス校客員教授等を歴任。主な受賞歴にSDレビュー2005⿅島賞、平成19年東京建築⼠会住宅建築賞⾦賞受賞、第24回新建築賞受賞、AR Design Vanguard 2014など。
http://ghaa.co.jp/

透明感と光を取り入れたインテリア

店内 ガラス什器。ニセコエリア近隣ブランドの飲料や食品が揃う

インテリアデザインは、北海道出⾝のインテリアデザイナー・笹⾕崇⼈⽒に依頼。透明感のあるガラスのカウンター什器は、⽔にこだわりを持つICORのブランドコンセプトを、ガラスや光を取り⼊れたインテリアデザインで表現。細部までこだわった繊細な設計のカウンターは、商品やフードをより美しく引き⽴ててくれる。

無機質な素材とぬくもり感じる木材の空間

ICOR NISEKOは、⼀⽇を通してさまざまな光の表情を楽しむことができる施設。その時々で変化する光と影が、ガラスのカウンターや棚に映り込むことで、その⼀瞬しか⾒えない特別な光景を楽しむことができる。夏は外で⼩川のせせらぎと⾵を感じながら、冬は暖かな店内で雪を眺めながら、そして季節ごとの光を感じて過ごす時間─忘れられない贅沢な瞬間をICOR NISEKOで⾒つけられるだろう。

インテリアデザイナー
笹⾕崇⼈(ささや・たかと)
1986年⽣まれ、北海道出⾝。設計事務所を数社勤務ののち2019年独⽴。現在は東京を拠点に店舗や住宅の設計から施⼯までを⼀貫して⾏う。

サステナブルなランドスケープ

四季折々の北海道らしい草花が見られる。秋には色鮮やかな紅葉など白樺の木立、イワナやヤマメも棲む羊蹄山から湧き出る小川。雪解け頃には小川沿いで水芭蕉、エゾリュウキンカ、フキノトウ、ワスレナグサ、エゾエンゴサク。5月中旬には山桜の並木、キタコブシの花。初夏は周囲の木立の新緑とフランス菊とルピナスの群生。

ランドスケープデザインは、その⼟地が本来持つ植⽣や地形を活かしたランドスケープ・造園設計を得意とする、parsleyの宇津⽊英俊⽒が担当。⾃然と⼈が共存する持続可能な社会をつくるためのデザイン⼿法「パーマカルチャー」に根ざしたランドスケープを⽬指した、庭づくりがされている。

店舗の前⾯に、庭園と菜園をミックスさせたガーデンエリアをオープン予定。その前段階として、堆肥になる植物や、来年植える種となる植物を、⽺蹄⼭の雪解け⽔で種から育てている。さらに、近隣の農家や施設から廃棄される予定だった酒粕やもみ殻、そば殻を引き取り、ICORスタッフも参加して堆肥を⼀から⼿作り。⾃然と⼈が⼀体となって、来年の春に向けた準備を整えている。

ランドスケープデザイナー
宇津⽊ 英俊(うつぎ・ひでとし)
1979年⽣まれ。武蔵野美術⼤学空間演出デザイン卒。PCCJパーマカルチャーデザインコース修了。ブロカント社でガーデンデザインから管理・施⼯を担当し、2019年に独⽴、parsley(パセリ)を⽴ち上げ。
https://parsleylandscape.com/

北海道の魅力と美容をたっぷり感じるカフェ

ニセコ野菜のサンドイッチ 770円(税込)
⾁は使わず、ニセコ産の新鮮な野菜で作ったヘルシーなベジタブルサンドイッチ。シャキシャキとした鮮度満点の野菜のうまみを、存分に感じていただけるサンドイッチ。バンズはニセコ本店の近くに店舗をかまえる「奥⼟農場」の⽯窯と薪で焼いたパン。ニセコの恵みと美味しさを堪能してみて
※旬の野菜で作るため、季節によって内容変更あり

カフェでは、軽⾷やドリンクが楽しめるメニューを用意。ニセコならではの素材を使ったサンドイッチや、ビューティーブランドのこだわりを発揮したスイーツとドリンクなど、北海道の魅⼒と美容をたっぷり取り⼊れた⾷事や飲み物を、店舗内のベンチに腰かけて楽しんでみて。

[左] ⼆世古酒造の酒粕発酵ブリュレエスプレッソ ソースがけ 583円(税込)
地元「⼆世古酒造」の酒粕を使ったブリュレは、エスプレッソのほろ苦いソースで⼤⼈の味に。発酵⾷品の酒粕は栄養もうまみもあり、腸活にも最適な⾷材。
[右] 北海道産エゾジカのサンドイッチ 880円(税込)
⾼たんぱくでビタミンB類が豊富なエゾジカのソーセージを挟んだ、ホットドッグ⾵のサンドイッチ
ドリンク各種 440円(税込)〜
ドリンクは、坂尾篤史⽒がオーナーバリスタを務めるコーヒーショップ「ONIBUS COFFEE」の⾖で淹れたコーヒーや、ニセコや余市など近隣でつくられるジュースを用意。また、脱プラスチックに配慮し、環境保全を意識してアイルランドで開発された、蓋もストローも不要な紙カップ「バタフライカップ」を採⽤している
⾃然の恵みで、⾝体の内からも外からも美しさを満喫

そのほかにも、ICORの商品を実際に⼿に取り、オリジナルのアロマや使い⼼地を実際に感じていただけるICORのスキンケア商品全ラインナップを販売している。美容知識豊富なスタッフが、肌の状態を詳しく伺いながら、商品の使い⽅やおすすめ商品などを説明してくれる。また、北海道のホテルとコラボしたバスソルトや、過去に期間限定で販売したアーカイブ商品など、オンラインストアや他店ではご購⼊いただけない商品も多数販売している。

冬には雪に包まれたお店から見る、静謐な白銀の自然が幻想的。屋根に下がる大きな氷柱、エゾリスやエゾウサギなどの冬の動物たちの姿が見れるかも。酒粕ホットチョコレートや野菜のポタージュなど、ICOR NISEKOならではの温かいドリンクを片手に探してみて

ニセコの自然を四季折々で味わうことができる「ICOR NISEKO(イコニセコ)」。自然のためのギャラリーのような空間は身も心も豊かにしてくれるだろう。

ICOR NISEKO(イコニセコ)
住所|北海道虻田郡ニセコ町羊蹄99-3
Tel|0136-55-5460
営業時間|10:00〜17:00
定休日|水曜定休、年末年始
https://icor.jp/pages/shop

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