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大阪府「龍造寺 Lab. 造(みやつこ)」
トキワ荘を思わせるクリエイターの“たまり場”

2022.3.31
<small>大阪府「龍造寺 Lab. 造(みやつこ)」</small><br>トキワ荘を思わせるクリエイターの“たまり場”

近年企業向けだけでなく、個人でもゲストハウス感覚で利用できるシェアオフィスが急増中。大阪城近くにある「龍造寺 Lab. 造」は、3軒の長屋を再生したシェアオフィス。3つの利用形態、会員同士をつなぐイベントの開催など、クリエイターたちのつながりを生みながらも居心地よく過ごせる「トキワ荘」のような空間とは?

「古い町並みと人に心惹かれました」

家族は好きだけれどひとりの時間も大事にしたい、大阪の中心地にセカンドスペースが欲しい、首都圏や地方の企業・団体のための関西サテライトオフィスがあったらいいな……そんなさまざまな想いに応える場所が、大阪ミナミから徒歩圏内に建つ「龍造寺 Lab. 造」だ。

大阪市営地下鉄の谷町六丁目駅から徒歩3分という好立地に建つ「造」は、懐かしい風情の空堀界隈の露地奥にある3軒の長屋をまとめて再生した、新タイプのシェアオフィス。内2軒をフルリノベーション。建築は建築家であり、施設を企画した空堀商店街界隈長屋再生プロジェクト「からほり倶楽部」の代表・六波羅雅一氏が担当した。

六波羅雅一(ろくはら まさかず)
1962年生まれ。長屋や町屋の改修・再生を行う「六波羅真建築研究室」代表。2001年4月に空堀商店街界隈長屋再生プロジェクト「からほり倶楽部」を設立。長屋すとっくばんくねっとわーく企業組合理事。直木三十五記念館やからほり悠、町や再生複合施設-橙-などを手掛ける。

六波羅氏が「造」が建つ空堀エリアと出合ったのは、15年ほど前。石畳や井戸、祠、入り組んだ路地、そして昔ながらの町屋が残る雰囲気に心惹かれ、また建築家の視点でも、建物を取り巻く環境とともに木造長屋がいまも残っていることに興味を持ったのだと言う。しかしながら時を経るごとに長屋は次々となくなり、空き家も増え、建築基準法のため、路地奥の長屋は建て替えが出来ないことから、廃墟として放置されたままになっていった。

六波羅氏が「造」が建つ空堀エリアと出合ったのは、15年ほど前。石畳や井戸、祠、入り組んだ路地、そして昔ながらの町屋が残る雰囲気に心惹かれ、また建築家の視点でも、建物を取り巻く環境とともに木造長屋がいまも残っていることに興味を持ったのだと言う。しかしながら時を経るごとに長屋は次々となくなり、空き家も増え、建築基準法のため、路地奥の長屋は建て替えが出来ないことから、廃墟として放置されたままになっていった。

家屋が老朽化し、違法建築物が建ち、雑草の生えた空き地が点在する……。変貌しはじめた町の問題を知人に知ってもらうことで、色々な知恵がもらえるのではないか、と六波羅さんが周囲の人々を集めたのをきっかけとして、プロジェクトがスタートした。

最初は建物再生を中心に考えていた六波羅さんは、まちづくりについて意識はしていなかったと言う。建物単体が再生されれば建築設計の役目は終わるが、知ってもらうための活動を続けるうちに、地元の人々が関わり、町が関わり、“まちづくり”に広がっていった。

そして活動の一環として2017年10月に「造」が誕生した。

龍「造」寺で、クリエイティブな化学反応が起きる

路地奥に建つ三軒長屋の「造」は、木(もく)のオイルステイン仕上げが特徴で、クリエイターたちの“自分で創りたい”という気持ちを掻き立てる。施設がある龍造寺という地名に「造」という字が入るように、昔からつくり手の町だったこの場所で、クリエイターたちが交流し、コラボレーションし、刺激を受けて化学変化が起こる、トキワ荘のような“たまり場”となっている。

共用部には20人まで座れるテーブルのほか、ミニキッチン、サンデッキを併設。専有部はシングルワーキングにぴったりなサイズのワークスペースが設けられている。もちろんWi-fiも利用可能で、複合機(有料)、プロジェクター、レンタル会議室も備わる。

施設の利用形態は、オープンスペースとすべての設備や備品を利用できる「Station会員」、ロッカー型スペースが使用できる「Pocket会員」、扉付き個別専用ブースが持てる「Den会員」の3タイプ。Pocket会員とDen会員は事務所登記も可能だ。

利用時間の縛りはなく、24時間365日、都合のよいタイミングで利用できるのも大きな特徴のひとつ。また施設内にはカフェも併設されており、一杯のコーヒーから食事、お酒まで、完備している。(カフェには規定の営業時間があります)

1階にあるStationエリア。すべての会員が利用できる
休憩したいときは、コミュニティキッチンへ。IHコンロ、流し、冷蔵庫、電子レンジが用意されており、簡単な調理も可能
DEN会員用の個室。扉は解体された古家の建具などを再利用している
窓に面したカウンター席など、共有部にはフリーアドレスで使えるスペースがたくさん
靴を脱いで上がるTAMARIBA。ハンモックが設置されるなどリラックスがコンセプト
POCKET会員用のロッカーは、縦長でたっぷり収納できる。電源もあるのでマイプリンターを置いている人も
もとは洗濯物干し用のベランダスペースだった場所も、リノベーション時にスペースを広げ、人工芝を貼り、リフレッシュできるスペースに生まれ変わった

創造意欲を湧きたてながらほっこりと和む空間が広がる「造」。自由に使える懐の深いこの施設は、町全体を巻き込みながら、新たなクリエイティブを発信していく。

龍造寺 Lab.「造」
住所|大阪府大阪市中央区龍造寺町4-3
Tel|06-7653-5991
時間|24時間
定休日|なし
料金|月5500円~3万3000円
現在の会員数|約60名
ワークスペースの座席数|44席
食事|カフェ併設
設備|会議室、電子レンジ、冷蔵庫、電気ケトルほか
https://ryuzojimiyatsuko.jimdofree.com/

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