TRAVEL

《IM TAXI LOUNGE 上越妙高駅前》
新潟県産材のスギを使ったタクシーラウンジ

2022.3.10
《IM TAXI LOUNGE 上越妙高駅前》<br><small>新潟県産材のスギを使ったタクシーラウンジ</small>

新潟県上越市の上越妙高駅前にある、タクシーやバスを待つためのタクシーラウンジ「IM TAXI LOUNGE/アイエムタクシーラウンジ」。設計を手がけたのは、えちごトキめき鉄道のリゾート列車「雪月花」や長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」をデザインした川西康之さん。地域産業への恩返しをしたいというアイエムタクシーの社長の想いから、新潟県産木材を積極的に活用した木造のタクシーラウンジとは・・・・・・。

暖かく迎えてくれるウェルカム感を表現

上越妙高駅東口のタクシープール向かい側に立地

陸新幹線上越妙高駅前に計画された、観光案内の機能を持つタクシー待合所「IM TAXI LOUNGE/アイエムタクシーラウンジ」は、地域における積極的な木材活用を目指し、構造・仕上げ・サッシ・家具・外構の全てに新潟県産材を用いた。また、県産スギ材で三翼型の新たな構造形式を開発することにより、豪雪地帯の積雪荷重に対応しつつ開放的で快適な待合空を実現させた。

建築家
川西康之(かわにし・やすゆき)
1976年奈良県生まれ。千葉大学大学院博士前期課程修了、デンマーク王立芸術院建築学校招待生、文化庁派遣新進芸術家制度でフランス国鉄交通拠点整備研究所AREP-SNCF勤務等を経て、土佐くろしお鉄道中村駅(グッドデザイン賞中小企業庁長官賞、ブルネル賞優秀賞、JCD新人賞等)、えちごトキめきリゾート雪月花(SBID国際デザイン賞最優秀賞等)等、車両、バス、駅、商業、福祉施設等を手掛ける株式会社イチバンセン一級建築士事務所代表取締役。

バドミントンの羽根のような三翼型の木造柱を開発
 

透明性の高いファサードが求められる駅前開発において、鉄骨やRC*の商業的な建築計画が多いなか、IM TAXI LOUNGEへ訪れた人を暖かく迎えるために小さな木造を選択した。

豪雪地帯において新潟県産スギ材では強度確保が難しいという課題感があるなか、あえてスギ材を活用した新たな三翼型の木造柱を開発し、積雪荷重対策と前面大開口の両立を可能にした。

※RCとは、鉄筋構造とコンクリート構造を組み合わせた構造のこと

スギのぬくもり感じる空間

全面ガラス張りの正面と外壁のコールテン鋼が特徴的な外観

外壁のコールテン鋼、家具の本革、そして県産木材と、経年変化を楽しめる素材を積極的に採用し、年数を経るごとにこの建物が地域に馴染んでいくことを目指したそうだ。

地域の魅力を伝えるスギ材の壁面書棚もあり、地元木材に囲まれた空間はタクシーを待つだけではなく、新たな地域交流の場としても活用されている。

ソファ席やイス席、授乳室や畳のキッズスペースもある

ラウンジにはスタッフが常駐しており、コミュニケーションにより生きた情報として地域木材の魅力を伝えることができると同時に、スタッフ自身も当たり前のように存在した木材の魅力を再確認する場となっている。

建築構造で開放感と壁量確保を両立させた、暖かく開放的な空間

また、断熱性能の高い木製サッシを建物前面に採用することで、冷暖房負荷軽減による地球温暖化防止への貢献を目に見てわかるよう計画されている。ふるさと新潟木づかい事業を活用するため、使用木材の75%以上を新潟県産材とし、工務店の木材納入ルートの開拓や積極的な地域林業への貢献をしている。

30か国以上を翻訳できるアプリを用意し、外国人観光客にも対応している

新潟県産材のスギをふんだんに使った、タクシーラウンジ「IM TAXI LOUNGE」は、訪れた人たちを暖かく包み込み、新しい待ち時間を提供してくれるだろう。

IM TAXI LOUNGE 上越妙高駅前
住所|新潟県上越市大和2丁目上越妙高駅前

photos © Nacasa & Partners Inc.

新潟のオススメ記事

関連するテーマの人気記事