《SABOE OKAYAMA》岡山から
はじまる最先端のお茶の愉しみ方
中編|日本茶と和菓子のペアリングを愉しむ


歴史ある岡山後楽園の門前町に新たなランドマークが誕生した。日本茶を現代の様式に再定義し、世界へ発信する「SABOE」が岡山で手掛けたプロジェクトとは?中編は、「SABOE OKAYAMA」で体験できる日本茶と和菓子のペアリングを愉しむコースや「茶方薈」の象徴である日本茶コレクションについてご紹介。
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日本茶と和菓子のペアリングを愉しむ。

「SABOE」が提案する、現代的な日本茶の様式。茶房のシグネチャーメニューである「一服一煎の小茶会」で、その一端に触れてみたい。
闊達にして繊細な日本茶と和菓子のペアリング、美しいうつわと所作で供されるコースに、気持ちが華やぎ満たされていく。美作市の茶農家「茶下山」の茶師である下山桂次郎さんが直々にお茶を淹れ、接客するという取り組みも画期的だ。

一献茶と水菓子は季節に合わせて供される。この日はT., Collectionのブレンド茶より「1. 果 Ka」の水出しと岡山県産のシャインマスカット。冴えた色合いが美しい水出し茶は冷水で時間をかけて淹れることで旨みや甘みが際立つ

茶葉の見本から選べるT., Collectionのブレンド茶。主菓子は地域の和菓子店が手掛ける季節の上生菓子や「HIGASHIYA」の五三焼カステラ、道明寺羹などから好みの一品を。お茶と菓子、どちらかを軸にペアリングを相談するのも楽しい

自然な甘みのナツメヤシにクルミと発酵バターを合わせた、HIGASHIYA定番の茶請け。季節ごとに2種を提案するブレンド茶とともに味わいたい。冬は焙じ茶にリンゴを合わせた「檎 Kin」や玉緑茶にローズレッドを合わせた「薔 Bara」が登場

季節のブレンド茶を楽しむタイミングでもうひと皿供されるのが、菓子で表現した八寸。先ほどとは別の主菓子や豆菓子、季節のドライフルーツなど風味や食感もさまざまな3品が盛り合わせに。アーティスティックな菓子皿にも美意識がみなぎっている

コースを締めくくるのは、薄茶。福岡・八女などから届く特製の抹茶を使い、目の前で点てられる一服は、まろやかで香り高く背筋が伸びるよう。さまざまな素材を異なるあんで包み込んだ、HIGASHIYAの「ひと口果子」とともに供される
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お茶のニュースタンダードを、ご自宅で。

「茶方薈」ブランドの象徴ともいえるのが、SABOE全店共通の「T., Collection」。従来は産地や品種といったキーワードで語られていた日本茶を、香りや味わいから発想した10種のブレンドで表現している。おもしろいのは、それぞれのお茶に「時間」という視点がプラスされていること。
朝はフレッシュジュースのように爽やかな味わい、夜はふくよかな焙煎香など、暮らしのシーンに寄り添うお茶を揃える。どの茶葉も90℃の湯で美味しく淹れられるので、湯冷ましなどの準備は不要。飲み手との距離をぐっと近づけ、世界中の誰もが気負いなく楽しめる、まさに“十茶十色”のコレクションだ。

スタンダード10種に加え、季節や地域限定の品も。「SABOE OKAYAMA」独自のブレンド茶として登場したのが、茶下山の茶葉をベースとした「青 Sei」。岡山の風土を感じさせる一品を、ぜひ味わいたい。

岡山の地域限定茶。茶下山の青番茶をベースに、いちじくの葉とシナモンの葉、少量の国産烏龍茶をブレンド。森林や海苔、柑橘の香りとタイム、ミント、いちじくの味わいで爽やか

ほのかな渋みの煎茶にユズと黒文字の香りを重ねた、清涼感のある一品。ハチミツやレモングラス、森のニュアンスも。フレッシュジュースなどの代わりに、朝の目覚めのお茶におすすめ

特別な栽培法でつくられた玉露のアンサンブル。青海苔を思わせる芳醇な香りと、出汁やみたらし餡のような濃厚な旨み。玉露ならではの贅沢な味わいを堪能したい。イメージは午前10時半

花の蜜のような芳醇な香りの紅茶と、華やかな香りと渋みの烏龍茶に、黒ブドウの葉や赤シソをブレンドしワインを思わせる味わいに。さっぱりとした後味で、食事や菓子にも最適な一品

温度や時間など焙煎具合を細かく設定し、香りや味わいの異なるさまざまな焙じ茶をブレンド。トーストやコーヒーを思わせる心安らぐ焙煎香で、世界中で幅広く楽しめる。午後8時のイメージ

大麦やトウモロコシ、黒大豆といった穀物や薬草を合わせ、香り高く焙煎。トーストや黒糖に通じる香ばしさと自然な甘みが引き立つ。ノンカフェインなので、睡眠前の一杯としてもぴったり
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瀬戸内の旅の起点をSABOEに
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text: Aya Honjo photo: Maiko Fukui
2025年2月号「温泉のチカラ」