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県最古といわれる温泉「恩湯」で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。~第1回 魅力編~

2020.8.31 PR
県最古といわれる温泉「恩湯」で、せせらぎと湯浴みに寛ぐ。~第1回 魅力編~
国道316号線沿いにある長門湯本温泉駐車場と温泉街をつなぐ「竹林の階段」。数百本の竹林が幻想的な雰囲気を醸す。そばに流れる音信川(おとずれがわ)をモチーフにデザインされた行灯が並ぶ

2020年3月、長門湯本温泉に建つ立ち寄り湯「恩湯(おんとう)」がリニューアルオープンしました。ここは約600年の歴史をもつ、山口県でもっとも古い温泉と伝えられています。「恩湯」を起点としたこの地域の魅力をご紹介。

恩湯
住所|山口県長門市深川湯本2265
Tel|0837-25-4100
営業時間|10:00~22:00
定休日|第3火曜(祝日の場合は変更あり)
入浴料|大人700円(土・日曜・祝日800円、特定日900円)、子ども(4~12才)400円
※特定日は年末年始、お盆、ゴールデンウィークなどの繁忙期
※3歳以下の子どもは無料
※山口県長門市民は18:00〜20:00限定の割引料金(大人500円、子ども300円)が利用可能
※月額の温泉パスポートや入浴回数券も用意

「恩湯」が稀有である理由と成り立ち

「恩湯」(おんとう)の男湯。温泉が湧き出る岩盤の上に住吉大明神像が鎮座。しめ縄は山口県下関市にある長門國一宮住吉神社から授かったという。壁を挟んで女湯があり、造りはほぼ同じ

山口県屈指の名湯として知られる長門湯本温泉。この地の象徴である「恩湯」には、複雑に絡み合う歴史と伝説が存在する。その謎を紐解いていく。

音信川のほとり、温泉街のほぼ真ん中に「恩湯広場」がある。向かって右側が「恩湯」、左側が飲食棟だ

山口県最古の温泉「恩湯」、住吉大明神が授けた名湯

長門湯本温泉の中央に流れる音信川。この川沿いに建つ「恩湯」は、古より人々の生活に寄り添ってきた。その歴史の起源はおよそ600年前までさかのぼる。

恩湯から歩いて15分ほどの場所にある大寧寺の第3世住職、定庵殊禅(じょうあんしゅぜん)の時代。ある夜、定庵殊禅が境内を散歩していると、石の上で座禅を組むひとりの老翁に出会った。定庵殊禅はその老翁に名を尋ねる。「松風の声のうちなる隠れ家にむかしも今も住吉の神」と、和歌で応えた老翁の真の姿は、長門国一の宮の住吉大明神。定庵殊禅は老翁を寺に招き、仏道を伝授する。そして1427年、定庵殊禅より錦の袈裟を授かった老翁は恩義に報いるため、「寺の東方に温泉を出しておきましたのでご利用ください」と告げ、竜蛇となり空に登っていったという。

 

写真提供:湯本まちかど資料館館長 吉冨尊一
昭和30年代の「恩湯」、下が2020年のリニューアル前の「恩湯」。いつの時代も地元の住民たちの憩いの場であり、温泉街のシンボル的存在であった

この温泉こそが恩湯だ。現在も泉源の所有は大寧寺であり、袈裟を纏った木像の住吉大明神が安置されるなど、伝説を裏付ける文化財や記録が多数残されている。伝説と史実にはどのような関連があるのだろうか。大寧寺第53世住職、岩田啓靖さんに問うた。

「大寧寺は1410年、大内家支族の鷲頭弘忠公によって創建された曹洞宗のお寺です。当時、曹洞宗などの禅宗は地方大名との結びつきが強く、加えて寺で修行を積む僧侶が身を清める場所として、各地に温泉が整備されていました。さらに大内家は中国や朝鮮との貿易によって莫大な富を得ています。住吉大明神は海上を守護する海の神。これらの背景のもと、大内家と大寧寺、住吉神社が結託し、政治的に活用するために恩湯物語を構築した可能性はありますね」

大寧寺第53世住職である岩田啓靖(いわたけいじょう)さん。大寧寺の墓苑には「住吉大明神の座禅石」がある

泉質はアルカリ性単純温泉(PH9.62)。岩盤から湧き出る39度の源泉はとろりと滑らかで、肌を優しく包み込んでいく。深さ1mの浴槽に身を沈めると、心と身体が浄化されていくようだ。

「いつから浴槽が深いのかは定かではありませんが、江戸時代の設計図を見るとすでに1mほどの深さがあったようですね。リニューアル前までは『恩湯』のそばに、別の湯『礼湯』もあり、昔は礼湯を武士や僧侶が、恩湯を庶民が利用していました。僧侶は神に感謝の祈りを捧げてから、湯に浸かっていたといいます」

恩湯の浴場には、代々伝わる石像の住吉大明神が鎮座。「神授の湯」と呼ばれる所以が、いたるところで感じられる。

「大内家滅亡後は、中国地方一円を治めたのは毛利家。大寧寺から毛利藩の寺社奉行へ出す報告書には、必ず『住吉の神によって授けられた湯』というエピソードが書かれています。古くから恩湯は霊験あらたかな温泉として、認知されていたのでしょう」

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山口県最古の温泉「恩湯」で、山間のせせらぎと湯浴みに寛ぐ。
1|魅力編:「恩湯」が稀有である理由と成り立ち
2|建築編:「神授の湯」の伝説を体現する建築
3|楽しみかた編:「恩湯」を起点とした楽しみ方

巡りかた編:そぞろ歩きが楽しい“オソト天国”とは?

text=Nao Omori photo=Daisuke Abe


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